この後の記事とも関係すると思いますので、読者のまことさんがミクシイでまとめてくれた、標記の掲示板での議論内容を、参考資料として、こちらにも転載させて貰います。尚、このまま転載したのでは、当レンタル・ブログでの制限字数を超過してしまいますので、2つに分割して転載させて貰います。
(転載開始)
日雇い派遣の問題について、いま四トロ二次会(注:下記リンク参照、各人の投稿には■印を添付・明示)で議論になっています。ちなみに、私は現時点での日雇い派遣原則禁止には問題があると考えております。
http://6305.teacup.com/mappen/bbs?
■派遣法改定で本当にハケンは「保護」されるのか?
■投稿者:まこと@日雇い派遣会社登録者 投稿日:2010年 3月24日(水)16時33分37秒
●「労働者派遣法改正で失業者が増える!? 中小企業は対応に苦慮、派遣女性も困惑」(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100321/biz1003210701003-n1.htm
今回の労働者派遣法の「改正」の目玉は、いわゆる26業務を除き登録型派遣を原則禁止する点でししょうが、これ、本当に派遣労働者の「保護」に繋がるのでしょうか?
というのも、私は前職の頃から時間の合間にいわゆる日雇い派遣副業として従事してきたのですが、その経験から言えば、日雇い派遣労働者の多くは働き方の一つとして日雇い派遣を有効に活用していますし、いわゆる「運動」に関わっていない普通の労働者で「日雇い派遣を禁止すべきだ」と言っている人に私は出会ったことが無いのですね。
それに、今回の法改正によって、日雇い派遣で食っている人達は確実に収入を減らすか、あるいは仕事を失うでしょう。ここ昨今、全面禁止を見込んで、日雇い派遣業界では仕事が減っていましたし、こうした流れに拍車を掛けるでしょう。
一体どうすれば良いのでしょうか。
まさか、日雇い派遣を生業としている人々が全て正社員などの直接雇用に置き換えられると、本気で考えているのでしょうか。
確かに今の派遣に問題があるのは事実ですし、日雇い派遣を生業にせざるを得ない状況は私もおかしいとは思います。が、安直な全面禁止論は派遣労働者の「保護」どころか、派遣労働者を窮地に追い込むだけではないでしょうか。
■エリートの言い分
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)08時45分51秒
登録型派遣がどれだけ理不尽な首切りを正当化してきたのか、合同労組に関わる人たちからすれば歯ぎしりと悔しさばかりが思い出されます。
まことさんがそうおっしゃるのは、端的に言えば、まことさんがそのような危機にさらされたことがない「エリート」派遣労働者だからなんじゃないでしょうか。でもそれは幻でしかない。エリートでも奴隷は奴隷ですから。
■Re: エリートの言い分
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)10時26分13秒
いずみさん、こんにちは。
> まことさんがそうおっしゃるのは、端的に言えば、まことさんがそのような危機にさらされたことがない「エリート」派遣労働者だからなんじゃないでしょうか。でもそれは幻でしかない。エリートでも奴隷は奴隷ですから。
確かに、私自身は登録型派遣を本業にしている訳ではないです。が、でも今は派遣での収入に「かなり」依存している面があるのが実態です。
ただ、私がこれまで出会ってきた日雇い派遣労働者の中には日雇いを生業としてきた人もいますが、 いわゆる運動に携わっていない人の中で、「日雇い派遣廃止」を切実な声として訴える向きはこれまで殆ど耳にしたことが無いのですね。
それに、日雇い派遣というシステム自体は労働者の側にも支持されている側面もあるのは否めない現状に対しては、どう思われますか?他に本業なり学業なりがあり、スポット的にアルバイトをしたい人は日雇い派遣を「便利」に活用しているんじゃないですか。
■古典的労働観と現代の労働
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)11時09分30秒
現在問題になっている非正規雇用や変則労働条件について、それらの問題を資本の剰余価値追求手段に「のみ」解消して理解し、非難するような態度は教条主義の一種でしょうね。
もちろん、資本の貪欲性は基本的に絶対押さえておかなければならない原因ですが。
しかし、資本とは、全ての人間活動を自己の下に包摂し賃労働に転化することによって、賃労働自体の解体にもまた従事せざるを得ないような矛盾です。
マルクスは、このことを著作の中では詳しく展開しませんでしたが予見だけはしていました。『要綱』や『諸結果』の中には、現代をも射程に入れた労働論が散見されます。
例えば、他に志望する「本業」をもち、当面はあくまでも「副業」として就労しているような若年層などの問題は、単純な企業規制だけでは解決しえない。
また、本来は「賃労働」に適さない(「公務」とすべき)分野まで、現在では資本の下に賃労働として包摂されている。
単純な「資本=悪」説だけでは問題は解決しないでしょうね。
私見ですが、問題は、投下労働価値説が妥当しないような分野まで資本が包摂してしまっていることにより起こっているのだと思います。資本の胃袋が消化不良を起こしているというのが現代でしょう。
■時代の変遷
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)11時17分21秒
派遣問題を考える上では、労働を巡る環境変化も考えなければならないと私は思うのですね。
高度成長期以降の日本の(少なくとも大企業)の賃金思想は生活給という考えが背景にありましたよね。独身の若い頃には安い賃金で抑える代わりに、配偶者や子供を抱え物入りになる世代になればその分賃金を上げていく。だから、長年同じ企業で働いていないと労働者の側も損ですし、資本の側も企業内福祉や教育制度を拡充しつつ、労働者を囲い込んでいたのですし。これが、労使協調という名の下の労使馴れ合い・労働貴族と資本の癒着に陥った一因でもあるでしょう。
しかし、昨今の労働現場では、同じ企業で長く働く熟練労働者を以前ほど必要としていません。だから、生活給思想や企業内教育思想を捨ててきている。また、労働者の側も状況の御変化に併せ、「終身雇用」を信じなくなってきています。
現在の派遣制度はこうした時代状況の中で捉えられるべきだと思いますね。
例えば、日雇い派遣にしても、「会社から縛られるのがイヤだ」という思いで、敢えてそういう働き方を選択している人達もいることを見過すべきではないでしょう。
私は「社会化」がキーワードになると考えています。
派遣にみられるような労働現場の流動化を否定するのでは無く、社会全体のシステムとして労働者の生活を保障していくことが必要なのではないでしょうか。
「派遣断固廃止!」ではなく、「派遣でも安心できる社会を!」をスローガンにしたいものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(追記 11時50分ころ)
連続投稿になるといけないので、追記の形にしますが。
現在の日雇い派遣が労働者の願望(好きな時間に働きたいとかいずみさんが指摘されるトランスジェンダー等々)を利用・搾取している面も多分にあるのは否めないと思いますよ。
ただ、とりわけ第三種産業には正社員による常時雇用を困難にしている業種が少なくないという現実も一面にはあると思いますよ。例えば、今の時期日雇い派遣業界では引っ越しの仕事が増えていますが、引っ越しなんて「季節商材」みたいなものなので、全て正社員で雇用することなんて出来ません。人手が要る時だけ集められる日雇い派遣は経営側にとってはありがたいし、また、そうした需要と「空いた時間だけ働きたい」という労働者側のニーズが合致することもあるわけです。
問題は、今の日雇い派遣というシステムが基本的に雇用主にとって有利になっていることだと思います。例えば、都合の良い時だけ労働者を雇うのだから、むしろ時給は正社員よりも高く支払うよう義務付けるとか、派遣会社や登録型派遣を常用するような企業からは割り増しの法人税なりを取り、その分を派遣労働者の生活保障に回すようにするなど、企業にとって都合の良い働き方をさせる企業にはそれなりの社会的責務を負わせるようなシステムは早急に必要だとは思います。
■Re: エリートの言い分
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)11時25分54秒
> 確かに、私自身は登録型派遣を本業にしている訳ではないです。が、でも今は派遣での収入に「かなり」依存している面があるのが実態です。
私も、今は請負受注が低値安定しているのでやってませんが、かつて乱高下していたときは仕事の合間合間でかなり助けられました、日雇い派遣に。
そのとき私が感じた日雇い派遣のメリットは、自分のぶろぐにも書きましたが、
(1)ニコニコ現金払い
(2)性別問題
(3)普段出会わない人との休憩時間の会話とかが勉強になる
といったあたりです。
ただ、他のあらゆる出会いの場にあてはまる(3)はともかく、(1)はそのことで正規雇用の機会を奪っているわけですし、(2)はそのことでトランスジェンダーの「願望」を搾取しているだけです。もちろん、私はそのおこぼれでよい思いをしたわけですが。
> ただ、私がこれまで出会ってきた日雇い派遣労働者の中には日雇いを生業としてきた人もいますが、 いわゆる運動に携わっていない人の中で、「日雇い派遣廃止」を切実な声として訴える向きはこれまで殆ど耳にしたことが無いのですね。
これはおっしゃるとおりです。というか日雇いでない登録派遣でもほぼ同じような印象です。
> それに、日雇い派遣というシステム自体は労働者の側にも支持されている側面もあるのは否めない現状に対しては、どう思われますか?他に本業なり学業なりがあり、スポット的にアルバイトをしたい人は日雇い派遣を「便利」に活用しているんじゃないですか。
繰り返しになりますが、これはまさに「イスの奪い合い」そのものであって、そうすることによって労働者総体の雇用状況を悪化させています。もちろん、悪化させようが何しようが個人個人は食べていかないといけませんから、個人個人がそういう働き方を選ばざるを得ないのは仕方がないことですが。
私が登録型派遣を絶対悪だと思うのは、それが、解雇という本来緊急時にしか認められない手法を、堂々と、胸張って行うことができる方法だからです。
日雇い登録派遣は、まさに、毎日解雇されています。究極の解雇です。
■Re: 時代の変遷
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)11時31分54秒
> 現在の派遣制度はこうした時代状況の中で捉えられるべきだと思いますね。
> 例えば、日雇い派遣にしても、「会社から縛られるのがイヤだ」という思いで、敢えてそういう働き方を選択している人達もいることを見過すべきではないでしょう。
まるで財界人のコトバを聞いているようでびっくりしてしまうのですが。
コトバが生まれた頃のフリーターの多くはまさにそうでしたが、いまやそういう向きはかなり減少しています。
同様に、日雇い派遣しかできないという人も増えています。
> 私は「社会化」がキーワードになると考えています。
> 派遣にみられるような労働現場の流動化を否定するのでは無く、社会全体のシステムとして労働者の生活を保障していくことが必要なのではないでしょうか。
これだけ取ればそのとおりです。
で、私は、日雇い派遣を認めることが社会全体のシステムとして労働者の生活を保障することにはつながらず逆向きだと考えるから、日雇い派遣廃止に賛成しています。
> 「派遣断固廃止!」ではなく、「派遣でも安心できる社会を!」をスローガンにしたいものです。
これに「失業者、障碍者、病者でも安心できる社会を」とつけ加えるなら大賛成です。
もう1つ、なんで女性の労働問題がこの議論で出てこないのかが不思議なんですが。
■主意主義的な「撤廃」ではなく、
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)12時32分46秒
賃労働の「死滅」の必然性までを射程に入れた労働観、労働政策をこの際一緒に考えてみませんか?そう、賃労働も、国家同様にやがて死滅するからです。
マルクスは、生産過程での科学(的労働)の比重増大が労働時間に基づく価値生産という資本の存立基盤自体を掘り崩す(『要綱』)とか、サービス部門などの非物質的生産の領域の発展は資本の下では「考慮する必要はない」(『諸結果』)などと錯綜した書き方もしてますが、賃労働が解体して行く道程を明確に認識していました。
現在論議されている問題も、このような普遍性の地平に据え置かれてこそ理解を誤らないと思います。
自説に都合の良い事実を投げ合うだけのような実証主義的認識態度では、歴史の問題を解決出来ませんよ!
なお、資本の下での賃労働を人間能力の全面発達に資する肯定面もあると考えるマルクスの立場からは、「日雇い」の対立的究極である「終身雇用」を擁護するという主張は当面の改良政策としてさえ出てこないと思いますよ。
(以下、第2部に続く)
(転載開始)
日雇い派遣の問題について、いま四トロ二次会(注:下記リンク参照、各人の投稿には■印を添付・明示)で議論になっています。ちなみに、私は現時点での日雇い派遣原則禁止には問題があると考えております。
http://6305.teacup.com/mappen/bbs?
■派遣法改定で本当にハケンは「保護」されるのか?
■投稿者:まこと@日雇い派遣会社登録者 投稿日:2010年 3月24日(水)16時33分37秒
●「労働者派遣法改正で失業者が増える!? 中小企業は対応に苦慮、派遣女性も困惑」(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100321/biz1003210701003-n1.htm
今回の労働者派遣法の「改正」の目玉は、いわゆる26業務を除き登録型派遣を原則禁止する点でししょうが、これ、本当に派遣労働者の「保護」に繋がるのでしょうか?
というのも、私は前職の頃から時間の合間にいわゆる日雇い派遣副業として従事してきたのですが、その経験から言えば、日雇い派遣労働者の多くは働き方の一つとして日雇い派遣を有効に活用していますし、いわゆる「運動」に関わっていない普通の労働者で「日雇い派遣を禁止すべきだ」と言っている人に私は出会ったことが無いのですね。
それに、今回の法改正によって、日雇い派遣で食っている人達は確実に収入を減らすか、あるいは仕事を失うでしょう。ここ昨今、全面禁止を見込んで、日雇い派遣業界では仕事が減っていましたし、こうした流れに拍車を掛けるでしょう。
一体どうすれば良いのでしょうか。
まさか、日雇い派遣を生業としている人々が全て正社員などの直接雇用に置き換えられると、本気で考えているのでしょうか。
確かに今の派遣に問題があるのは事実ですし、日雇い派遣を生業にせざるを得ない状況は私もおかしいとは思います。が、安直な全面禁止論は派遣労働者の「保護」どころか、派遣労働者を窮地に追い込むだけではないでしょうか。
■エリートの言い分
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)08時45分51秒
登録型派遣がどれだけ理不尽な首切りを正当化してきたのか、合同労組に関わる人たちからすれば歯ぎしりと悔しさばかりが思い出されます。
まことさんがそうおっしゃるのは、端的に言えば、まことさんがそのような危機にさらされたことがない「エリート」派遣労働者だからなんじゃないでしょうか。でもそれは幻でしかない。エリートでも奴隷は奴隷ですから。
■Re: エリートの言い分
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)10時26分13秒
いずみさん、こんにちは。
> まことさんがそうおっしゃるのは、端的に言えば、まことさんがそのような危機にさらされたことがない「エリート」派遣労働者だからなんじゃないでしょうか。でもそれは幻でしかない。エリートでも奴隷は奴隷ですから。
確かに、私自身は登録型派遣を本業にしている訳ではないです。が、でも今は派遣での収入に「かなり」依存している面があるのが実態です。
ただ、私がこれまで出会ってきた日雇い派遣労働者の中には日雇いを生業としてきた人もいますが、 いわゆる運動に携わっていない人の中で、「日雇い派遣廃止」を切実な声として訴える向きはこれまで殆ど耳にしたことが無いのですね。
それに、日雇い派遣というシステム自体は労働者の側にも支持されている側面もあるのは否めない現状に対しては、どう思われますか?他に本業なり学業なりがあり、スポット的にアルバイトをしたい人は日雇い派遣を「便利」に活用しているんじゃないですか。
■古典的労働観と現代の労働
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)11時09分30秒
現在問題になっている非正規雇用や変則労働条件について、それらの問題を資本の剰余価値追求手段に「のみ」解消して理解し、非難するような態度は教条主義の一種でしょうね。
もちろん、資本の貪欲性は基本的に絶対押さえておかなければならない原因ですが。
しかし、資本とは、全ての人間活動を自己の下に包摂し賃労働に転化することによって、賃労働自体の解体にもまた従事せざるを得ないような矛盾です。
マルクスは、このことを著作の中では詳しく展開しませんでしたが予見だけはしていました。『要綱』や『諸結果』の中には、現代をも射程に入れた労働論が散見されます。
例えば、他に志望する「本業」をもち、当面はあくまでも「副業」として就労しているような若年層などの問題は、単純な企業規制だけでは解決しえない。
また、本来は「賃労働」に適さない(「公務」とすべき)分野まで、現在では資本の下に賃労働として包摂されている。
単純な「資本=悪」説だけでは問題は解決しないでしょうね。
私見ですが、問題は、投下労働価値説が妥当しないような分野まで資本が包摂してしまっていることにより起こっているのだと思います。資本の胃袋が消化不良を起こしているというのが現代でしょう。
■時代の変遷
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)11時17分21秒
派遣問題を考える上では、労働を巡る環境変化も考えなければならないと私は思うのですね。
高度成長期以降の日本の(少なくとも大企業)の賃金思想は生活給という考えが背景にありましたよね。独身の若い頃には安い賃金で抑える代わりに、配偶者や子供を抱え物入りになる世代になればその分賃金を上げていく。だから、長年同じ企業で働いていないと労働者の側も損ですし、資本の側も企業内福祉や教育制度を拡充しつつ、労働者を囲い込んでいたのですし。これが、労使協調という名の下の労使馴れ合い・労働貴族と資本の癒着に陥った一因でもあるでしょう。
しかし、昨今の労働現場では、同じ企業で長く働く熟練労働者を以前ほど必要としていません。だから、生活給思想や企業内教育思想を捨ててきている。また、労働者の側も状況の御変化に併せ、「終身雇用」を信じなくなってきています。
現在の派遣制度はこうした時代状況の中で捉えられるべきだと思いますね。
例えば、日雇い派遣にしても、「会社から縛られるのがイヤだ」という思いで、敢えてそういう働き方を選択している人達もいることを見過すべきではないでしょう。
私は「社会化」がキーワードになると考えています。
派遣にみられるような労働現場の流動化を否定するのでは無く、社会全体のシステムとして労働者の生活を保障していくことが必要なのではないでしょうか。
「派遣断固廃止!」ではなく、「派遣でも安心できる社会を!」をスローガンにしたいものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(追記 11時50分ころ)
連続投稿になるといけないので、追記の形にしますが。
現在の日雇い派遣が労働者の願望(好きな時間に働きたいとかいずみさんが指摘されるトランスジェンダー等々)を利用・搾取している面も多分にあるのは否めないと思いますよ。
ただ、とりわけ第三種産業には正社員による常時雇用を困難にしている業種が少なくないという現実も一面にはあると思いますよ。例えば、今の時期日雇い派遣業界では引っ越しの仕事が増えていますが、引っ越しなんて「季節商材」みたいなものなので、全て正社員で雇用することなんて出来ません。人手が要る時だけ集められる日雇い派遣は経営側にとってはありがたいし、また、そうした需要と「空いた時間だけ働きたい」という労働者側のニーズが合致することもあるわけです。
問題は、今の日雇い派遣というシステムが基本的に雇用主にとって有利になっていることだと思います。例えば、都合の良い時だけ労働者を雇うのだから、むしろ時給は正社員よりも高く支払うよう義務付けるとか、派遣会社や登録型派遣を常用するような企業からは割り増しの法人税なりを取り、その分を派遣労働者の生活保障に回すようにするなど、企業にとって都合の良い働き方をさせる企業にはそれなりの社会的責務を負わせるようなシステムは早急に必要だとは思います。
■Re: エリートの言い分
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)11時25分54秒
> 確かに、私自身は登録型派遣を本業にしている訳ではないです。が、でも今は派遣での収入に「かなり」依存している面があるのが実態です。
私も、今は請負受注が低値安定しているのでやってませんが、かつて乱高下していたときは仕事の合間合間でかなり助けられました、日雇い派遣に。
そのとき私が感じた日雇い派遣のメリットは、自分のぶろぐにも書きましたが、
(1)ニコニコ現金払い
(2)性別問題
(3)普段出会わない人との休憩時間の会話とかが勉強になる
といったあたりです。
ただ、他のあらゆる出会いの場にあてはまる(3)はともかく、(1)はそのことで正規雇用の機会を奪っているわけですし、(2)はそのことでトランスジェンダーの「願望」を搾取しているだけです。もちろん、私はそのおこぼれでよい思いをしたわけですが。
> ただ、私がこれまで出会ってきた日雇い派遣労働者の中には日雇いを生業としてきた人もいますが、 いわゆる運動に携わっていない人の中で、「日雇い派遣廃止」を切実な声として訴える向きはこれまで殆ど耳にしたことが無いのですね。
これはおっしゃるとおりです。というか日雇いでない登録派遣でもほぼ同じような印象です。
> それに、日雇い派遣というシステム自体は労働者の側にも支持されている側面もあるのは否めない現状に対しては、どう思われますか?他に本業なり学業なりがあり、スポット的にアルバイトをしたい人は日雇い派遣を「便利」に活用しているんじゃないですか。
繰り返しになりますが、これはまさに「イスの奪い合い」そのものであって、そうすることによって労働者総体の雇用状況を悪化させています。もちろん、悪化させようが何しようが個人個人は食べていかないといけませんから、個人個人がそういう働き方を選ばざるを得ないのは仕方がないことですが。
私が登録型派遣を絶対悪だと思うのは、それが、解雇という本来緊急時にしか認められない手法を、堂々と、胸張って行うことができる方法だからです。
日雇い登録派遣は、まさに、毎日解雇されています。究極の解雇です。
■Re: 時代の変遷
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)11時31分54秒
> 現在の派遣制度はこうした時代状況の中で捉えられるべきだと思いますね。
> 例えば、日雇い派遣にしても、「会社から縛られるのがイヤだ」という思いで、敢えてそういう働き方を選択している人達もいることを見過すべきではないでしょう。
まるで財界人のコトバを聞いているようでびっくりしてしまうのですが。
コトバが生まれた頃のフリーターの多くはまさにそうでしたが、いまやそういう向きはかなり減少しています。
同様に、日雇い派遣しかできないという人も増えています。
> 私は「社会化」がキーワードになると考えています。
> 派遣にみられるような労働現場の流動化を否定するのでは無く、社会全体のシステムとして労働者の生活を保障していくことが必要なのではないでしょうか。
これだけ取ればそのとおりです。
で、私は、日雇い派遣を認めることが社会全体のシステムとして労働者の生活を保障することにはつながらず逆向きだと考えるから、日雇い派遣廃止に賛成しています。
> 「派遣断固廃止!」ではなく、「派遣でも安心できる社会を!」をスローガンにしたいものです。
これに「失業者、障碍者、病者でも安心できる社会を」とつけ加えるなら大賛成です。
もう1つ、なんで女性の労働問題がこの議論で出てこないのかが不思議なんですが。
■主意主義的な「撤廃」ではなく、
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)12時32分46秒
賃労働の「死滅」の必然性までを射程に入れた労働観、労働政策をこの際一緒に考えてみませんか?そう、賃労働も、国家同様にやがて死滅するからです。
マルクスは、生産過程での科学(的労働)の比重増大が労働時間に基づく価値生産という資本の存立基盤自体を掘り崩す(『要綱』)とか、サービス部門などの非物質的生産の領域の発展は資本の下では「考慮する必要はない」(『諸結果』)などと錯綜した書き方もしてますが、賃労働が解体して行く道程を明確に認識していました。
現在論議されている問題も、このような普遍性の地平に据え置かれてこそ理解を誤らないと思います。
自説に都合の良い事実を投げ合うだけのような実証主義的認識態度では、歴史の問題を解決出来ませんよ!
なお、資本の下での賃労働を人間能力の全面発達に資する肯定面もあると考えるマルクスの立場からは、「日雇い」の対立的究極である「終身雇用」を擁護するという主張は当面の改良政策としてさえ出てこないと思いますよ。
(以下、第2部に続く)