NHKから「特別あて所配達」という名の謎の郵便物が届きました。郵便物の中身を確認したら放送受信契約書とその手続き案内でした。契約書に記入して、5月7日の返送期日までに、NHKに送り返すように書かれていました。
今までNHKの受信料なんて払っていなかったので、「遂に来たるべき物が来たか」と若干焦りました。しかし同時に、「そもそも何故、他の民放には払っていない受信料をNHKにだけ払わなければならないのか?」ずっと疑問だったので、この謎の郵便物の由来について調べてみました。
「特別あて所配達」と書かれた封書の但書の下には、ご丁寧に「これは、住所又は居所のみを記載した郵便物です」と説明書きが書かれていました。「居所」と言うのは、下宿先や単身赴任先として、住民票の住所とはまた別の場所に住んでいる場合を指します。
つまり、宛先の住所(居所)だけが書かれており、宛名が書かれていない郵便物が届いたのです。私、そんな郵便物を生まれて初めて見ました。なんか変な気分です。相手の名前が分からなくても住所さえ分かれば送れる郵便物?そんな物が果たしてこの世の中に存在するのだろうか?
イメージとして一番近いのはダイレクトメールですか。マンションの集合ポストに毎日山のように入っているピザ屋や不動産会社、インターネット接続業者の広告。その中でも、私はもらった事はありませんが、闇金が多重債務者の名簿を基に送り付けて来るダイレクトメールなんかが、一番近いんじゃないでしょうか。これも住所だけでなく宛名も入っていますが、強いて一番近いものを上げるとすれば、これぐらいしか思い浮かびません。
闇金にとっては、顧客の多重債務者は全てただの金ヅル。「債務者がどんな人で、今までどういう人生を送って来て、何故闇金のお世話にならなければならなくなったのか?」なんて事は、実は闇金にとってはどうでも良くて、ただ貸金を回収できればそれで良いのですから。まさに「特別あて所配達」にピッタリの顧客じゃないですか。
日本郵便のホームページには、
受取人の氏名が不明であっても、受取人の住所または居所が分かっていれば郵便物を配達してほしいというニーズがあることなどを踏まえ、事前にご利用のお申し出をいただいた上、受取人の住所または居所が記載され、かつ、受取人の氏名が記載されていない郵便物をその住所または居所にお届けする新たな特殊取扱として、特別あて所配達郵便の取り扱いを試行します。
…という事が書かれていました。どこにそんな「ニーズ」があるのか?思わず突っ込みを入れたくなりますがw。
その為に、1通84円の定形郵便物の基本料金に200円の特別配達料が上乗せされた284円で、1年間の期間限定(2021年6月21日〜2022年6月20日)で、このサービスを試験的に始める事にしたそうです。
建前上は、NHKの受信契約締結、受信料支払督促だけでなく、それ以外の企業やサービスでも、この「特別あて所配達」を使う事が出来るようです。
でも、どこに、こんな1通284円もかけてダイレクトメールを送る企業があるのでしょうか?こんなバカ高いサービスを使うくらいなら、新聞の折り込み広告やDM業者、ポスティング業者のサービスを使う方が、はるかに安上がりで効率的にダイレクトメールを送る事が出来ます。
よくよく調べたら、このサービスは、NHK受信料回収率向上と、低迷する郵便需要の喚起を狙って、総務省が音頭を取って導入したサービスのようです。本当はNHKの受信料回収だけに使いたいのでしょうが、それを露骨に書いちゃうと、「今は日本郵政も民間企業なのに、何故NHKだけ特別扱いするのか?」と叩かれるので、こんな形にしたのでしょう。
そりゃあ、NHKや日本郵政にとっては、このサービスは願ったり叶ったりでしょう。
NHKは、今まで年間300億円もかけて、大量のアルバイトを雇って受信料集金業務をしていたが、コロナの影響で、最近は集金もままならなくなりました。それが特別あて所配達を使うと、その10分の1の費用で、契約書(請求書)の送達が出来るようになったのですから。
日本郵政の方も、ネットの普及で手紙を出す人が減り、小荷物配達も宅急便サービスに食われる中で、1通284円もの高額で大口の配達料収入が見込めるようになりました。
でも、こんな郵便物を受け取った所で、「NHKの受信料を払う気になるか?」と聞かれたら、誰もが「否」と答えるでしょう。
保険の外交員ですら、保険を薦める時は、相手の年齢や職業、年収を考えて、その人に一番合う保険を薦めるのに。相手の名前も氏素性も分からないまま、「ただカネさえ回収出来たら良い」と、こんな「闇金のダイレクトメール」みたいな郵便物もらって、誰が受信料払う気になりますか?
「NHKは、俺らを多重債務者と同じように見なしているのか?俺らはただの金ヅルか?NHKはいつから闇金に成り下がったのか?そんな扱いするなら、もう絶対にNHKの受信料なんか払わない!」となるでしょう。これでは完全に逆効果です。
「相手がNHKを視聴しているかどうか?」や、それ以前に「実際に人が住んでいるかどうか?」も定かでないのに、ただ実在の住所があるという理由だけで、こんなオレオレ詐欺みたいな迷惑メールを送りつけられても、逆に反感しか生まれません。
確かに特別はい所配達で契約書を送れば、契約・集金の営業マンを雇うよりも安い費用で契約書を送る事が出来ます。しかし、いくら契約書が届いても、視聴者が契約書にサインしなければ契約は成立しません。その肝心の視聴者が「名無し」のままで、どうやって未収金の回収をするつもりかw。どう考えても税金の無駄遣いでしかない。
反発食らうだけ、税金の無駄遣いで済むだけならまだ良いです。下手したらこれ、犯罪に悪用されてしまいますよ。誰かがNHKを装って、一人暮らしの高齢者をターゲットに、「NHKの受信料を払って下さい!今すぐ指定先の銀行口座に受信料を振り込んで下さい!」と、マンションの集合ポストに片っ端から投函していったら、どうなります?何も知らない高齢者の中には、慌てて金を振り込む人もいるでしょう。天下のNHKが、こんな反社みたいな事して果たして良いのでしょうか?
NHKが不偏不党、公正中立の公共放送として、権力におもねる事なく、真実を追求し、金儲け主義でスポンサー言いなりの民放には真似の出来ない報道をしているなら、私もNHKの受信料を払う気になります。
しかし今のNHKはどうか?「政府が右と言うのに左とは言えない」というような事を平気で言う会長の下で、民放と同じように、政府の顔色をうかがい、総理大臣の記者会見もそのまま垂れ流すだけで、まるで政府広報みたいな放送しかやらない今のNHKに、誰が受信料なんか払う気になるか!
案の定、職場の人間に聞いても、誰もNHKの受信料なんて払っていませんでした。「自分の親はNHKの集金人を不法家宅侵入で追い返した」「高校野球の中継を見ていた時に集金人が来ても、それでも追い返してやった」…そんな武勇伝を一杯聞く事が出来ました(^^)。
いくら放送法の条文を盾に、「公共放送だから受信料を払わなければならない」と言われても、それに相応しい仕事をしていなければ、誰も払う気にはなりません。そんなに受信料を払ってほしければ、それだけの仕事をして下さい。それが、親方日の丸まるだしで、まるで闇金みたいな態度で、反社みたいな事して。これで「受信料払え」と言われても、誰が払う気になりますか?「人をバカにするな!」と言いたいです。