安倍晋三 アベノマスク vs 大串博志(立憲)4/28 衆院・予算委
昨日4月28日の衆院予算委員会質疑のやり取りがインターネットにアップされたので、今日29日に改めてもう一度観ました。「衆議院インターネット審議中継」サイト「4月28日衆院予算委員会」ページ発言順の上から11番目、14時38分からの立憲民主党・大串博史議員の項目です。この中で、アベノマスク受注企業の選定にまつわる疑惑が取り上げられました。
予算総額約466億円のアベノマスクを受注した企業は、今分かっているだけでも5社(厳密には6社)あります。Wikipediaの現時点での情報では、これら5社または6社の概算受注額やマスク生産国は、それぞれ以下の通りです。
・興和(キャベジンコーワのCMで有名) 受注額54.8億 生産国ミャンマー等
・伊藤忠商事 受注額28.5億 生産国海外
・マツオカコーポレーション(広島県の繊維会社) 受注額7.6億 生産国ミャンマー
・ユースビオ(福島市の企業) 受注額5.2億 生産国ベトナム
・シマトレーディング(後述) 受注額も生産国も不明
・横井定(よこい・さだ)株式会社(名古屋の繊維会社) 受注額は不明 生産国はフィリピン
上記の内で興和、伊藤忠、マツオカコーポレーション3社は、それなりに名の通った大企業や中堅企業です。その名の通った企業が扱った妊婦用のアベノマスクからも、黄ばみやカビなどの不良品が多く見つかったと今、問題になっています。問題はそれ以外のユースビオなどの企業です。予算総額の大半をこれらの企業が受注しています。大串議員はその中でユースビオを取り上げました。以下、hitorasikuさんのブログの記事も参考に、ユースビオについて説明します。
ユースビオは福島市内に本社を構える企業ですが、会社登記を済ませたのはつい最近です。資本金僅か一千万で社員も5名しかいません。本社所在地の福島県福島市西中央5丁目54番地6号には一棟のプレハブ小屋しかありません。小屋の中には何もなく誰もいません。小屋の壁には、なぜか公明党の候補者ポスターが貼られています。この住所にはユースビオも含め11社もの会社登記がなされています。その中の一社「樋山ユースポット」(経営者もユースビオと同じ樋山茂氏)は以前、消費税脱税容疑で福島地検に告発されています。
ユースビオ自体も、復興副大臣の若松謙維(かねしげ)参院議員(比例区選出、公明党所属)に政治献金を行い、その見返り(?)に福島の復興事業で補助金を得ています。これでは、公明党のポスターが貼られていたのはその為だったのかと勘繰られても仕方ありません。公正であるべき行政が縁故でゆがめられ、そこに国民の税金が使われているのではないか?森友・加計問題と同じ事が、ここでもまた繰り返されていたのでしょうか。
但し、ユースビオはマスクの輸出入には携わっていません。輸出入にはまた別のシマトレーディングという会社が携わっていたと、加藤厚労相が当該国会質疑の中で明かしました。このシマトレーディングを含めるか含めないかで、受注企業の数が変わります。私が5社(厳密には6社)とカウントしたのもその為です。シマトレーディングは千葉県に本社がある花卉(かき=草花)の貿易会社ですが、この会社も過去に植物検疫法違反で千葉地検に書類送検されています。いずれも怪しげな幽霊会社です。だから受注企業の数も定まらないのです。
「興和や伊藤忠ならいざ知らず、経営実態も定かでない、ユースビオやシマトレーディングのような怪しげな会社に、何故、競争入札ではなく随意契約で、政府からわざわざお願いする形で、5.2億円も契約したのか?」それを大串議員が聞いているのに、安倍は「品薄状態のマスクを調達する為にアベノマスクを始めた」と、質問とは無関係な答弁を繰り返した挙句に、「緊急性を要する事業なので、手を上げてくれる企業なら、問題さえなければどこでも良いだろう」(実際は前述したように問題大有りなのですが)と、無責任な答弁を繰り返すばかりでした。
私はこの国会質疑を観ていて、「うちの会社の外国人労働者の問題と同じではないか」と思いました。国家事業のマスク特需に各社が参入し、二次・三次下請けに事業が丸投げされる中で、下に行けば行くほど「安かろう悪かろう」となり、粗悪品のマスクが流通する事になる。他方で、私の勤務先企業も、少子高齢化の穴埋めに低賃金のベトナム人労働者を集め、派遣会社に外注に出したのは良いが、「安かろう悪かろう」でロクな人間が集まらない。何の事はない。それと全く同じではないですか。
同じ事は福島の復興事業にも言えます。まだまだ福島原発事故は収束していないのに、もう問題が終わったかのように言われ、汚染水を水で薄めて海に放出しようとしている。その陰では、東京の山谷や大阪のあいりん地区から、食い詰めた日雇い労働者を連れてきて、ピンハネされた低賃金で被爆労働に従事させている。森友も福島も、外国人や非正規雇用の労働問題も、アベノマスクも、全部同じじゃないですか。国難だ何だと言って、国民にはさんざん耐乏生活を強いながら、上の方では一部の者が甘い汁を吸う。だから、諸外国では徐々に収束に向かい始めた新型コロナウイルスの感染も、日本では、逆に感染が更に広がろうとしているのです。政府の外出自粛要請がなかなか国民に伝わらないのも、政府に信用が全然無いからです。
安倍政権が本当に国民の事を思うなら、もっとまともなマスクを、もっと早くに用意できているはずです。黄ばんだ、カビの生えたマスクが、あちこちで見つかるはずがありません。国の肝いりでやっている事業なのに、何故これだけ粗が目立つのか?時間がなかったからではありません。確かに、新型コロナウイルスの感染防止は、一筋縄では行かない問題ですが、それでも、中国の武漢で最初の感染爆発が起こってから数か月の準備期間がありました。その間にもっと色々できたはずです。それが何故ここまで迷走しているのか?安倍政権が「火事場の焼け太り」「濡れ手に粟」とばかりに、「私腹を肥やす事しか考えてこなかった」からではないですか。
アベノマスクよりも、もっと他にやる事がいくらでもあるはずです。1人10万円の給付金も、最初は自民党は全然やる気がありませんでした。野党だけでなく国民からも要求する声が噴出して、ようやく重い腰を上げたのに過ぎません。そんなアベノマスクなら、もう要りません。安倍政権も自民党も、もういい加減、政権から下りてください。