住之江公園だけでなく住吉公園の桜も満喫して来ました。訪ねたのは4月10日(水)のお昼です。まずは腹ごしらえに老舗の「いづもや」で鰻丼を食べました。阪堺線住吉電停前の、昭和に舞い戻った様な古い店の前に、午後12時15分ぐらいに着きました。店の建物だけ見たら、まるであばら屋みたいな感じですが、老舗の有名店なので既に行列が出来ていました。
13時過ぎにようやく入店する事が出来て、カウンター席に通されます。店のメニューは6百円、8百円、千円、千5百円、二千円の鰻丼と、だし巻き4百円、赤だし又は肝吸い各2百円の8種類のみです。今日は奮発して二千円の鰻丼とだし巻き、肝吸いを注文しました。だし巻きが出て来たのが13時15分。そこから15分ほどしてようやく鰻丼と肝吸いが出て来ました。鰻丼は関西風のご飯に出汁が染みた櫃まぶし。鰻も関東風の焼きではなく関西風のまむしで。
何故出来上がりが遅いのか、店の中に入ってようやく分かりました。二代目と思しき旦那とその息子、旦那の祖母と思しきお婆ちゃんの三人だけで切り盛りする家族経営の店だからです。店内にはカウンターが4席、4人掛けのテーブルが4つしかない小さな店ですが、それでもたった3人の家族だけでは、大勢の客の注文に応えるのは大変でしょう。
味は確かに美味しかったです。特にだし巻きは、柔らかくジューシーで、私には到底真似の出来ない仕上がり具合でした。鰻も、備長炭で焼いた国内産の鰻が、ほんのり柔らかく仕上がっていました。しかし量は少なめで、これならチェーン店の「宇奈とと」で食べる千円の鰻丼の方が、ボリュームがあるし安いです…と思っていましたが、後で満腹感がこみ上げて来ました。やはり鰻丼は高カロリーです。
ここまで住之江公園から自転車で来ました。休日には混雑する住吉公園の桜も、その日は平日の公休日だったので落ち着いてゆっくり鑑賞出来ました。住吉公園だけでなく高灯籠の桜も綺麗でした。昔は今の阪神高速湾岸線付近が海岸線で、写真の高灯籠もそこに建っていました。そこで皆、船から降りて、「汐掛け道」という海岸の参詣道を通って、住吉大社にお参りしていました。公園の事務所で桜の写生展がちょうど開催中で、昔の写真や地図も掲示されていました。
阪堺電車の上町線も、昔は天王寺から住吉大社にお参りする人を運ぶ為に敷かれました。最初は馬車鉄道で、やがて路面電車として開業しました。南海本線住吉大社駅の隣にある住吉公園駅が上町線の終点でした。今はもうこの駅はありませんが、当時の駅舎が今も保存されています。この辺りは住吉大社の参詣道であると同時に、紀州街道沿いの宿場町でもあったので、古い町並みが今でも残り、昭和の名店が今でも営業を続けています。当時の宿場町「安立町(あんりゅうまち)」の名前が今も阪堺線の駅名に受け継がれています。
私の住んでいる住之江区は、江戸時代の新田開発や明治以降の埋立で出来た比較的新しい街なので、こんな古い町並みを堪能する事は出来ません。でも、自転車で15分ほど走れば、こんな古い町並みに出会う事も出来るのです。以前住んでいた西成のあいりん地区も、非常に住みやすい街でしたが、ここもそれと同じぐらい住みやすいです。何も新世界や道頓堀だけが大阪ではありません。それを改めて感じました。