大阪市廃止の後に出来る特別区と区役所の所在地(大阪市の説明パンフレットより)
4月28日(火)夜7時から大阪・難波の府立体育会館であった「4.28大阪市なくしたらアカン!府民大集合」という集会に行って来ました。
どういう集会かというと、今度の住民投票で大阪市を廃止するかどうかが決まるので、「廃止反対!大阪市をなくしたらアカン!」という事をアピールする為のものです。
大阪市に住んでいる方は、今度の5月17日の日曜日に住民投票があるのはご存知でしょう。橋下徹・大阪市長が盛んに宣伝している「大阪都構想」の基になる設計図(特別区設置協定書)の賛否を問う住民投票の事です。
ところで、そもそも「大阪都構想」というのは何でしょう。橋下市長の説明によると、「大阪市も大阪府も似たような仕事をしている。市営水道と府営水道、市立病院と府立病院など。そんな二重行政のムダを省き、大阪も今の東京都のように”大阪都”に一本化する事で、浮いた金を住民サービスに回そう」というのが「大阪都構想」だそうです。また、橋下市長はこうも言っています。「たった一人の市長が見るには大阪市はデカすぎる。だから大阪市は一旦廃止して、大阪都の下で5つの特別区に分割し、それぞれ区長と区議会を置くのだ」と。
上記がその「大阪都」の下に出来る「特別区」です。北区・湾岸区・東区・南区・中央区の5つです。湾岸区以外は今の名称と同じですが、エリアが広がります。そして、今までの区とは違い、「特別区」になります。何が特別かと言うと、区長を選挙で選んだり区議会を置く事が出来るようになるのです。つまり、今の東京都の23区と同じしくみとなります。但し、直ぐには「大阪都」にはなりません。「大阪都」にする為には、また別の法律を新たに作らなければなりません。それまでは「大阪府湾岸区」「大阪府××区」・・・というようになります。
だから、今度の住民投票も、「大阪都」ではなく、あくまで「特別区設置」の賛否を問う住民投票なのです。その住民投票で賛成票が1票でも反対票を上回れば、2017年4月1日からは「大阪市」は無くなり、「大阪府」の「特別区」になるのです。
でも、おかしいと思いません?「二重行政がムダ」と言うなら、他の都道府県の県庁所在地もみんなムダという事になります。しかし、他の広島市や高松市、札幌市など、大阪以外の都道府県庁所在地で、「二重行政だから都にしなければならない」と言っている所がありますか?ないでしょう。唯一、名古屋の河村という市長が、大阪都の真似をして一時期注目を浴びた事がありましたが、最後には誰も相手にしなくなりました。また、「大阪はデカすぎて一人の市長では見れない」と言いますが、そんな事言い出せば横浜や京都、神戸は一体どうなります。横浜なんて今や大阪よりも百万人も人口が多いのに。それでも林と言う女性の市長だけで充分やって行けてるやないですか。1億2千万の人口を抱える日本の首相ですら一人で仕事をこなしていると言うのに。大阪市にも大臣に相当する局長や部長が大勢いるのに、何で大阪市長の橋下さんだけそんな事言いだすのか。
そして「ムダをなくす為に、大阪府と特別区で仕事を分担するのだ」と橋下市長は言います。橋下市長は、カジノ誘致や関空への新たな交通網建設に力を注ぐと言っています(地下鉄なにわ筋線や阪神高速淀川左岸線など)。そういう大事な仕事は大阪府が受け持ち、保育所を作ったり国民健康保険料を集めたりする身近な仕事を特別区にさせるそうです。では、特別区の区長が、「カジノなんてギャンブル熱を煽るだけだ。そんな物よりも保育所を増やす方が大事だ」とか、「高速道路なんか作る金があるなら税金や保険料を引き下げろ」と言ったら、橋下市長はどうするつもりなのでしょうか?区長とちゃんと話し合って調整するのでしょうか?
いいえ、「区長にはそんな権限はない」と言ってはねつけるだけです。「大阪市が大阪府の思い通りにならないから、せっかく二重行政だと難癖を付けて無くしたのに、特別区にそんな権限を与えてどうするの?」という感じでしょう。いくら特別区の区長を選挙で選べるようになるからと言っても、そんな「下請け」区長に一体何が出来るでしょうか。
実際、京都大学大学院の藤井聡という教授は、もし今度の住民投票で大阪市廃止が可決されてしまったら、次のような事になると言って警鐘を鳴らしています。
(1)「大阪府」は「大阪府」のままで「大阪都」にはならない。「都」にする為にはまた別の法律を作らなければならないから。結局、大阪市が廃止されてしまうだけだ。
(2)その結果、大阪市は前述の5つの特別区にバラバラにされてしまう。
(3)そして、それまで大阪市が持っていた年間2200億円もの税金がみんな大阪市の外に流れ出てしまう。
(4)しかも、そのお金は旧「大阪市」=新「特別区」以外の所で使われるようになる。(カジノとか関空への交通網拡充とか)
(5)橋下市長はよく東京を引き合いに出すが、そもそも東京と大阪とでは全然違う。人口規模からして、東京が1千万人もいるのに対し、大阪は200万人台と約5倍もの開きがある上に、人口の集中具合も、東京の場合は区部が全体の7割を占めるのに対して、大阪の場合は全体の3割にしかならない。その3割の意見がどれだけ府政に反映されるか。実際にはほとんど反映されなくなる。
(6)実際、東京23区の人々は「東京市」が無いせいで損をしている。
(7)それでも東京は繁栄しているのは、首都として官庁や大企業の本社が多数存在しているからであって、別に特別区だからではない。人口も財政規模も小さい大阪が同じような事をしてもうまく行くはずがない。
(詳細は藤井聡・著「大阪都構想が日本を破壊する」文春新書を参照の事)
そう、東京の人々は、逆に「東京市」が無いせいで損をしているのです。
昔は東京も大阪のように、「東京府」の下に「東京市」がありました。但し、戦前の事なので、市長は国が任命し、選挙で選ばれるのは市議会議員だけでしたが。それが今の「東京都」になったのは、戦時中の1943年です。太平洋戦争が激しくなる中で、国の号令一つでもっと国民を動員しやすくする為に、無理やり「東京市」を廃止してしまったのです。その目的は、あくまでも戦争遂行の為であって、住民サービス向上の為なんかでは全然ありませんでした(ウィキペディアの資料参照)。だから今でも、東京の区長にはほとんど何の権限もありません。都市計画に必要な用途地域の指定(どこを商業地にするか住宅地にするか等)や、特別支援学校の設置権限もないのです。
そんな事の為に、なぜ大阪市民の税金が使われなければならないのでしょうか。大阪市を廃止した後に出来る特別区の区役所も、今までの区庁舎だけでは手狭なので、大阪市役所をそのまま流用できる新「北区」以外は、すべて新たに庁舎を作らなければなりません。それだけで680億円ものお金が必要です。その上に、新たに出来る区議会や区の教育委員会の維持費用や人件費も必要です。
また、水道・消防や国民健康保険などは、それぞれの特別区の財源だけではまかなう事が出来ないので、いくつかの特別区が集まって「一部事務組合」という組織を作り、そこが行う事になっています。もし一部事務組合で水道料金や保険料が値上げされても、今までみたいに市議会で反対する事も出来なくなります。特別区に苦情を申し立てても、区長一人ではもはやどうする事も出来ません。
それに対し、橋下市長は「不足する財源については、その後に府と特別区や特別区同士の間で調整する」と言っているそうですが、何の権限もない特別区が、はたして大阪府にどれだけ物が言えるでしょうか。実際は、ごくわずかのおこぼれにあやかれるだけ、そのごくわずかなおこぼれを、特別区同士で奪い合うだけに終わるでしょう。
実際、会場でもらった資料には、「それまで大阪市に収めていた法人市民税や固定資産税は全て大阪府に取られ、特別区には個人市民税や軽自動車税、たばこ税など、今までの4分の1の税金しか入らなくなる」「その為に、国民健康保険料や介護保険料はさらに大幅に値上げされ、生活保護の切り捨てもますます進む」とありました。
これでは「二重行政」どころか「三重、四重行政」じゃないですか。これの一体どこが「きめ細かい住民サービス」なのでしょうか?一体どこが「住民自治」なのでしょうか?自治や民主主義のカケラも無いじゃないですか。結局、橋下市長が言う「ムダ」とは、ハコモノや公共事業ではなく、住民福祉の事なのです。彼にとってはカジノの利権を手に入れる事が全てであって、住民はその為の「金づる」でしかないのです。
それに対し、「利権まみれなのは歴代の大阪市長や自民党の政治家も同じじゃないか。こんな大阪市なら、むしろ橋下市長の手で無くしてもらった方が良いのではないか」という意見もあります。なるほど、今までの大阪市政も決して褒められた物ではなかった事は確かです。しかし、だからといって、こんな橋下市長のデタラメを許してしまって良いのでしょうか。こんな事をしても、今までのお役所利権がカジノ利権にすり替わるだけじゃないですか。これでは、地方分権どころか「中央集権」の「独裁、ファシズム」そのものです。こんな人の言う事を聞いていたら、「自分で自分の首を絞める」事にしかなりません。
以上、前置きが非常に長くなってしまいましたが、ここをきちんと説明しておかない事には、前述の集会の重要性が理解されないので、敢えて書かせてもらいました。普段なら翌朝も朝7時から仕事なので、こんな平日の夜7時から9時頃まで行われる集会には参加出来ないのですが、幸いにも翌日の水曜日は公休日だったので、私も飛び入りで参加する事にしたのです。
会場の大阪・難波の府立体育会館には開演時間の20分ほど前に着きました。着いたらもう大勢の人が詰めかけていました。後で聞くと6千人以上も集まったそうです。会場では「We Say NO!」のTシャツも販売していました。
私は体育館のステージ正面の二階席に座りました。ステージの登壇者のようすは演壇後ろのアストロビジョンで見る事が出来ます。
会場でもらった資料を見てまず驚いたのが、集会出席者の多士済々な事です。この集会を主催したのは「明るい民主大阪府政をつくる会」と「大阪市をよくする会」という二つの団体です。どちらも共産党系の団体です。ところが、この資料を見たら、共産党系の労働組合や市民団体の役員以外にも、左藤章(防衛副大臣)や中山泰秀(外務副大臣)、竹本直一(衆院議員)といった自民党の政治家や、田中誠太(八尾市長)、松嶋三夫(住之江区医師会長)などの、多くの保守系の市長や地域の世話役も、この集会に祝電でメッセージを寄せているではありませんか。八尾の田中市長などは、この後、実際に集会に駆け付けて下さったそうです。
集会は7時に、黄色のスーツを着た女性の元気な司会で幕が上がりました。
まず最初に、第一部として、自民党参院議員の柳本さんと堺市長の竹山修身さんなどが挨拶をされました。
その後、第二部で「ザ・ニュースペーパー」によるコントがあり、安倍晋三や橋下徹、元首相の小泉純一郎、東京都知事の舛添要一の「そっくりさん」が登場し、会場を沸かせていました。どれもこれも本当にそっくりでした。橋下徹が登場した時は、会場から「帰れ!」とヤジが飛び、橋下徹役が「ニセモノでも傷つく」とぼやく一幕も。舛添要一役が上半身裸で登場し、「舛添体操」を披露した様子も、本当は写真に撮ってブログに紹介したかったのですが、遠くの二階席からではそれは少し無理でした。
そして第三部で、共産党書記局長で参院議員の山下よしきさんによる挨拶の後、SHINGO★西成のコンサートでもよくやった「OSAKAアップ!」の「大阪締め」を参加者全員で行い、9時前に集会は終わりました。
もう、これ以上長々と書くのも気が引けるので、代表として話された3名の方の発言をここに紹介しておくだけにします。幸い「しんぶん赤旗」HPの4月30日付記事に3名の発言が既に詳しく載っていました。私があれこれ書くよりもこちらの方が正確なので、それを下記に引用しておきます。
(引用開始)
●でたらめ「都」構想絶対反対(自民党参院議員 柳本 卓治さん)
かつて大阪市会議員を務めさせていただきました柳本卓治でございます。共産党の先生方が人間愛の上に立って政治をし、家庭の幸せを照準に日常活動を続けておられることに敬意を表しています。
きょう私がこの集会に出席させていただいたのは、(1975年に市議に初当選してから)40年以上の私の政治の歴史の中で初めてです。きょうも自民党の府連の局長から「先生、きょう府立体育会館行かれるんですか?」と連絡がありましたが、私は「当たり前じゃないか」と。「これに出席しなければ、大阪市がどうなっていくんだ」と。(「そのとおり」の声と力強い拍手)
自民党大阪府連の会長も3期6年間務めて最高顧問として現在おりますが、8年前に橋下(徹)君を知事に推薦したのが大きな私の失敗だったと思っています。(笑いと拍手)
大阪府政の改革や財政再建もろくにできないで、府庁舎の移転問題で「都」構想なるものが出てきたわけです。大阪府の大阪市に対するM&A(合併・買収)を彼は考えた。まことにひきょうなやり方です。(「そのとおり」の声と拍手)
大阪府政がうまくいかないと言って、白か黒かというのは、かつての小泉(純一郎元首相)さんの郵政民営化のやり方の手法と同じなんです。私は郵政民営化においては実は賛成しなかった国会議員でもあります(拍手)。私は、もし大阪市を五つの特別区に分割して良くなるんだったら、これは何も言わないけれども、大阪市の財源をみんな府に乗っ取られて、市政の2200億円あまりの金が府に移管されて、特別区で行政サービス、市民サービスが向上できるはずがないじゃないですか。(「そうだ」の声と拍手)
同時に、仮に大阪市が廃止されたって、「大阪都」にしようと思ったら国会の議決が必要なんです。国会で「大阪都」になる法律なんて、できるはずがない。断固反対いたします(拍手)。こういう見せかけのでたらめな「都」構想に対して、みなさん、オール市民で5月17日までいっしょに頑張りましょう。よろしくお願いいたします。(「いいぞ」のかけ声、大きな拍手)
●市民の誇り、ご破算できない(堺市長 竹山 修身さん)
堺は歴史と文化のまちです。1600年前から仁徳天皇陵をはじめ、百舌鳥(もず)古墳群をつくるためにたくさんの人が集まり、物づくりをして文化をつくってきました。そして、自由自治都市として諸外国と交易してきました。そうした堺の歴史や文化、芸術というものに堺市民はプライドを持っとるんです。
今、大阪市民のみなさんには、大阪市の歴史や文化をどうするかが問われています。
堺は45年かけて政令指定都市になりました。そういう市民、市議会議員、市の職員の45年の思いをご破算にされて、分割やと言われるのはホンマにおかしい話なんです。(拍手)
特別区になったら用途地域の指定はできません。用途地域の指定の権限は大阪府にある。そうなったら自分たちのまちづくりはできない。財源はしっかり確保しながら市民の福祉やまちづくり、教育に使っていくという分権改革と真逆のことをやろうとしているんです。
維新の会は、お金と人をどっさり持ってます。堺では全国から動員していました。それをはね返さんといかん。それをはね返すのは、広範な政党や団体、市民の団結力やというのがわかりました。今回もそれが絶対条件です。(拍手)
私は橋下徹大阪市長の部下でした。彼は言葉の魔術師で、壮大なイリュージョン(幻想)をかけます。しかし、すべて種がある。市民のみなさんは、その種明かしを、より多くの市民に知らせんとあかんのです。
大阪市にはいろいろ課題があったと思います。それは大阪市をつぶして解決できるものではなく、反対に大阪市民の生活に大きな不利益をもたらすものです。今大事なことは、文化や都市の魅力で世界都市大阪市をつくっていく。そして人と人の結びつき、地域と地域の結びつきをより強固にしていく。そういう地域の支え合い、連帯が求められています。
一度つぶしてしまったら取り返しがつかない。大阪の子どもは“大阪っ子”と言いますが、五つに分割されてしもたら“湾岸っ子”というのができるんでっせ。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。いっちょ浪速のど根性見せましょう。頑張りましょう。(拍手)
●立場こえた共同で未来開く(日本共産党書記局長 山下 芳生さん)
大阪で育てていただき、選んでいただいた政治家の一人として、黙ってはおれないと駆けつけました。
うれしいですね。政治的立場の違いを超えた大阪府民・市民の共同にこそ、大阪の未来を開く力があります。(拍手)
「大阪都」構想の正体は「大阪市廃止・解体」構想です。その中心は暮らしと自治の破壊です。
いま大阪市では子ども医療費を中学校卒業まで助成しています。府の制度では小学校入学前までしか助成していないので、市は独自の上乗せをして頑張っているのです。
なぜ大阪市にそれができるのか。一つは、大阪市民の大きな運動があったからです。もう一つは、大阪市には特別の権限と財源があるからです。大阪市は全国20の政令指定都市のひとつで、政令市には一般の市にはない財源と権限があります。それを使って市民のためのさまざまなサービスができます。
大阪市がなくなるとどうなるか。たとえば市税収入。税収6270億円のうち、4627億円は大阪府に取り上げられ、たった4分の1しか特別区には残りません。これでは、市が独自にやっている子ども医療費の助成はできなくなるのではないでしょうか。(「そうだ」の声)
橋下氏は「ちゃんと財源を渡す」と言いますが、どれだけ分配するか何の保証もありません。総務省も「何も決まっていない。市がなくなったあと、大阪府の条例で決める」と述べているように、特別区の議会に決める権限はなくなります。
自分たちの税金をどう使うか、自分たちで決めることができない。これは住民自治の破壊です。
橋下氏は「住民サービスはよくなる」「私を信じて」と言っています。しかし、「大阪市民はぜいたくしている」と医療や福祉を次々切り捨て、若者も高齢者も泣かせてきたのが橋下・維新市政の3年半です。「言っていること」ではなく「やってきたこと」に真実があるのではないでしょうか。
私たちは、大阪市を壊すのではなく、「オール大阪」・庶民の力でよりよい大阪にしようという立場です。
▽カジノやリニアではなく、「くらし第一」の大阪に▽「何でも民営化」ではなく、安心、安全な大阪市で、医療・介護・福祉の大阪に▽市長の独裁と暴走ストップし、市民の声が届く、住民が主人公の大阪市に―。この方向は立場の違いを超えて、大阪を愛する人たちの共通の認識になりつつあります。
維新とたたかう中で、新しい大阪をつくる「オール大阪」・庶民の力も見えてきました。ここには「一人の指揮官」による強権政治ではなく、立場を超えて話し合い、一致点で共同する本当の自治の姿があります。そのことに確信を持って、5月17日の住民投票に共同の力で勝利しましょう。みんなの力であたらしい大阪をつくろうではありませんか。(大きな拍手)
(引用終了)
そもそも、おかしいじゃないですか。大阪都構想の影響を受けるのは大阪市民だけではありません。その周辺の堺や東大阪などの周辺都市も、いつ「大阪都」への合併を迫られるか分かりません。市町村がそのまま特別区に移行するだけなら、その市町村議会の議決だけで済みますから。なのになぜ、大阪市だけに住民投票の実施を限るのでしょうか。しかも、公職選挙法の適用を受けながら、他の選挙とは違い、選挙資金は使い放題で、どんなに投票率が低くても1票でも賛成が反対を上回れば大阪市は無くなり、もう後戻りも出来ないなんて。他の選挙では、投票率が25%を下回ると選挙をやり直さなければならないのに。
本当に民意を問うのであれば、大阪市だけでなく、それ以外の他市に住んでいる大阪府民にも投票権を与えるべきではないでしょうか。そして、投票率にも下限を設け、余りにもみんなが無関心なら、もう一度選挙をやり直すべきじゃないですか。選挙資金にも上限を設け、金権選挙や税金のムダ使いになるのを防ぐべきじゃないですか。
ところが、住民説明会も参加出来るのは大阪市民だけで、説明会の入口では金属探知機まで動員して参加者のボディーチェックをやる有様。徹底した秘密主義です。それで言う事も、「金儲けが全て」と言わんばかりの拝金主義に、上から目線の弱者蔑視。「俺様の後ろには安倍首相が付いているんだ」と言わんばかりの権威主義。私は大阪市民ではないので説明会にも参加出来ません。仕方なく、区役所で大阪市が発行する住民投票の説明パンフレットをもらいました。しかし、そこにも、将来の財政コストの試算も推計グラフが載っているだけで、肝心の試算根拠が何も書かれていない。そのくせ、橋下市長の言いたい事だけが最初にバンと載っている。こんな「維新のPR宣伝」でしかない事を、大阪市の税金でやっているのです。
これではまるで丁半博打(ばくち)と同じじゃないですか。「選挙に勝ちさえすれば何しても良い」のだと、選挙を単に自分の独裁政治のアリバイ工作に使っているだけじゃないですか。少数意見も含めて、意見を広く募るのが民主主義の本質であって、多数決や選挙はあくまでその手段の一つにしか過ぎないのに。これでは共産圏や独裁国の選挙と同じです。「政治の私物化」以外の何物でもありません。
左が特別区設置住民投票の広報掲示板、右が大阪市の説明パンフレット。
上記がその説明パンフレットの一部。そのうちの左が橋下市長直々の住民投票PR、右が試算グラフだけでその根拠が一切載っていないページ。
そんなにカジノをやりたければ、大阪市長なんて辞めて自分の金でカジノを経営すれば良いのです。何も我々の税金を使ってやる事はないでしょう。安倍政権も、橋下市長が憲法改正にも協力的だと見越して、その為に「大阪都構想」や「住民投票」実施を裏取引に使っているのです。でも、我々は何も橋下の野望実現の為に生きている訳ではありません。憲法改正の為に生活している訳でもありません。今でも税金や保険料はバカ高く、福祉は申し訳程度しかないのに、これ以上、橋下のワガママに振り回されるのはゴメンです。
住民投票に棄権したり、白票や無効票を書いて出しても、全然抗議した事にはなりません。どんなに投票率が低くても、どんなに無効票が多くても、賛成が反対を1票でも上回れば、大阪市は無くなってしまい、もうリコール(やり直し)投票も出来なくなります。これ以上、福祉が切り捨てられたり、橋下のワガママに振り回されるのはゴメンだという人は、5月17日の住民投票で、ぜひ反対に1票を投じて下さい。当日は仕事やその他の用事で投票できない人も、期日前投票の制度を利用して反対に1票を投じましょう。