軽度認知症から"予想外"に良くなったお姑さんの話を書いたのは、去年の3月でした。
(続編も合わせて目を通してみてください)
この友人から丁寧な年賀お手紙が来ました。
知り合って、とちょっと数えてみてびっくり。そろそろ43年になります。会うことはほとんどないのですが、このようなお手紙や電話などを通じて、生活の動静は結構深く知り合っているという関係です。
伊豆高原の花(1月7日)去年、念願のチベットに行ったそうです!
青いケシの花をみるために。
標高が5000メートルを超えるヒマラヤ山脈のふところは文字通りの花園だったそうで、写真を見ながら私までもがわくわくしました。
いつものように、ご家族の様子も書き綴られています。
気になるのは、お姑さんのその後。
「義母との同居も一年を過ぎて、チャボ先生の提案されるボケ防止を具体的に実行していったところ・・・今では見違えるぐらい、脳が生き生きしてきた義母の様子に知識の大切さをしみじみ思います。結果は実にはっきり出ています」
よほど自立意識が高くないと、高齢になると一人暮らしは生活能力が低下する。
食事の大切さなど、まさにその通りと膝を打つような感想が続けて書かれていました。
お手紙からわかるお姑さんの様子を箇条書きにしてみます。
・肌色がピンク色になった
・よく笑うようになった
・食欲旺盛
・血糖値も安定し、一度も風邪を引いてない!
・朝の散歩は習慣化した
これらの変化は、友人が食事に配慮していることも大きく影響しているでしょうし、上手な声掛けや励ましもきっとあるはずです。
認知症予防には、まずは体調の安定は必須条件です。
続けて、いかに前頭葉機能が活性化されてきたかの証拠が列挙されていました。
まず一文
「あっぱれ、90歳!ここにきて自分なりの日常生活を築いたと感心しています」
*身づくろいを気にする
*嫌がっていたデイケアに週三回きちんと行くようになった
*毎朝散歩した後、家の外回りの掃除を自発的にして近所の人から褒められている。見事にきれいに掃除をしてくれる
*部屋では読書を楽しむ
*ジグソーパズルを楽しんでよくする(曾孫に額装してプレゼント)
うれしい報告が並んでいましたが、たった一つ気になるところが。
「…近い記憶はとっても悪くて、すぐ忘れるけど。習慣になるときちんとやれる様子です」
いくらなんでも季節外れ?
皆さんは、年齢が90歳と知ると、「このくらいは普通でしょう」と感じられるでしょう。
そして、「やっぱりちょっとはボケてるのね」
世の中では「物忘れはボケの始まり」といいますが、認知症の始まりは物忘れではなくて、意欲低下です。状況判断の悪さです。
症状から言えば、上記のとおりですが、脳機能から言えば、アルツハイマー型認知症は前頭葉機能低下から始まります。
このことに早く気付いてくれないと、認知症の最早期を見つけることができません。早く見つけることができればできるほど回復させることが簡単にできるのです。
お姑さんは、前頭葉機能が実にしっかりしています!*マークの症状をもう一度読んでみてください。イキイキと自分で楽しんで生活を組み立てていることがよくわかります。
もし記憶の障害があまりにも目につくようだったら、それはちょっとボケているのではなくて、単に新しい記憶が入っていかない、側頭葉性健忘ということが起きていると考えたほうが説明の筋が通ります。
友人のチベット遠征に関しては、なんとお姑さんが「感謝の気持ち」ということで費用を分担してくださったそうです。
その顛末もよくよく聞くと、お姑さんのほうから息子(、つまり友人の連れ合い)に声をかけて二人で旅行代金を払ってくださったそうです。
どんなに軽症であったとしても、こういう気配り(これこそが前頭葉の働き!)ができる認知症の方はいません。
生活をよく知ってあげると、適切な指導をすることができます。
生活を知るということは、その生活を成り立たせている脳機能を知ってあげる事なのです。