脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

認知症予防教室10周年記念茶話会ー小布施町大島・飯田地区

2015年07月31日 | 各地の認知症予防活動

小布施町では、正常な方が正常のままでいられるために「脳のリフレッシュ教室」と名付けられた認知症予防教室が町内各地区にあります。
2002年の山王島地区を皮切りに、毎年1地区ずつ立ち上げてきました。
2012年にその山王島地区の10周年のお祝い茶話会がありました。小布施便りとして書きましたからお読みください。
その後2013年北部教室、2014年東部教室と10周年お祝いが続き、今年は大島公会堂での大島・飯田地区合同の会でした。

もともとは2地区合同でスタートしたのですが、集まりやすいので、各地区での教室開催になったそうです。
交流会でも、大島地区と飯田地区は雰囲気が違います。
エイジングライフ研究所では、昨今のように統合する前の中学校区に一つ教室があるといいと指導しています。交通の問題もあるし、地区の持っている特長にも差があるものです。もちろん小学校校区に一つならもっといいですよね。
「脳の健康」を考えて教室参加している仲間たちですから、こうして集まれば仲の良いこと!

話し声も笑い声もたえません。全体が静かになって「高槻さんの話を聞きましょう」という体勢にはなりません。

みんな実に楽しそう。

在宅介護支援センタースタッフも溶け込んでいること!
上手にゲームを楽しませてくださったI村さんは、ほんとにレク指導がうまいですね。自分も結構楽しんでるみたいですけど。
もちろん、教室生誰も引っ込み思案にならないのが10年間の積み重ねだなと感動しました。

小布施町は、集まりがあると自家製お漬物や果物、たまには煮物やお菓子などがテーブルに並びます。

一番最初に教室が始まった山王島でも同じシーンが繰り広げられ、私はI井会長に尋ねました。
「お料理を持ってくることは負担になりませんか?」
「どうせ家にあるものだし、気にすることはなかろう」とごく簡単に答えられました。
そこで、持ち回りの当番にあたっている方にも聞きました。
「会長さんのいうとおり。昔風の煮物を作っても家人は大して喜ばないけどここに持ってきたら皆さん大喜びしてくれるでしょ。みんなに喜んでもらったり褒められたりするとうれしいので、テレビや雑誌の料理情報にも気を付けるようになりました」

実際、この集まりでも「これどうやって作るの?」「ニラ入りでしょ?」等と声を掛け合っていました。仲間がいるっていいですねえ。
皆さんおしゃれで、表情豊か。若々しいのは、冒頭の写真で証明済み。次の10年に向けて進んでください!


 


10年以上続いている認知症予防教室ー長野県小布施町

2015年07月31日 | 各地の認知症予防活動

長野県小布施町の認知症予防活動は、最初の啓蒙講演会から数えるとそろそろ15年になりました。
「脳のリフレッシュ教室」と名付けられたこの予防活動の特徴をあげてみましょう。

1.目的はあくまでも、正常な方が正常でいるための教室。
2.脳の健康を維持する教室なので、脳機能検査は必須。
教室に初回参加した時と各年度末にも実際されます。この脳機能検査は、当然本人の生活指導に役立てるために行われるのですが、全体をまとめてみることもでき、そうすると客観的な教室の効果判定もできることになります。手元に古いデータがあるので参考までに。
教室初回参加時と平成20年度末の脳機能検査の推移

S地区 8年間(2002~2011)の参加者の脳機能推移
H地区 7年間(2003~2011)の参加者の脳機能推移

3.1年に1地区を原則に、各コミュニティーに1教室を立ち上げる。2015年の交流会のプログラムをみるともう12地区に教室ができていることがわかります。残りは1地区にまでなりました。

4.在宅介護支援センターがサポートはするが、基本的には自主的な運営に任せる。

5.年一度は各教室参加の交流会を開催する。2015年度の交流会。この山王島地区は教室開始から13年たちました。

認知症予防や早期発見を声高に言い立てる人達に、この地道な活動を紹介したいと思います。70代で教室に参加した人たちが、軒並み80代になっていらっしゃいますが、少なくとも教室参加している方たちはお元気なのです。(上のグラフを見てください)

さて今回、最後の地区第3コミュニティーで教室立ち上げのための講演会が開かれました。新装なった横町公会堂での講演会は、とても男性の参加が多くちょっと驚きました。
よく聞いてみると、会長さんがご自分の予定変更までして参加してくださった位ですから、事前の口コミが功を奏したのでしょう。

暑い日でしたが会場いっぱいの皆さんがとてもよく聞いてくださいました。

これで、教室が立ち上がってくれると小布施町の認知症予防活動は一区切りつくことになります。
正常者は、趣味の会やボランティア活動など確かにイキイキと生活しているものですが、この教室に参加すると「脳の健康」について考え、また測定してもらい(ちょうど血圧測定のようですね)安心しながら生活をつづけることができるのです。
一方で、ちょっとだけ脳の老化を加速させてしまった人は、教室生として受け入れ、みんなの力で元気にさせていきます。

あたかも、水源池の栓を占めるように、正常者を正常のままにしていく方策をとらなければ、認知症に対応することはいつも後手に回って果てしないものになります。
小布施町では、教室参加が無理な方たちへの施策も考えられています。
小布施町は観光誘致でも成功しているとよく言われますが、実はこの活動も町を底支えする大きなものだと思っています。


 


 


ブログ村

http://health.blogmura.com/bokeboshi/ranking_out.html