久しぶりの友人(Aさん)宅訪問。ちょうど彼女の友人夫婦(Bさん)も来て一緒に楽しいランチ会。
Bさんのところには97歳のおばあちゃんがいることもあって、初めてお会いした時から「認知症」が共通のテーマですぐに親しくなりました。経過を考えると残念ながら今は大ボケに入っている可能性が大きい。もし中ボケにとどまっているとしても下限に間違いありません…
2017年、ハワイで出会ったクリスマスツリー。
お会いしたとたんに、Mr.Bが話し始められます。
「まったく、うちのおばあさん。しゃべらせたら筋の通る話をするんだから!今朝の出来事なんだけど、手を見ながら『こんなにまあ細くなってしまって…』というものだから、なんと慰めようと言葉を選んでいたら、続けてこんなことを言うんです。
『お母さんが何も食べさせてくれないもんだから。こんなに細くなってしまった』
もう腹が立って、『何言うんだ!そんなこと一度もないだろう!嘘ばっかり言うんじゃない!』と殴りたくなってしまったんです」
ああ、予想通り。
「食事をしたことをすぐに忘れる」ということは二段階方式ではもう大ボケに入ったということを意味します。前頭葉機能は極端に低下し、脳の後半領域の認知機能も30点満点でそろそろ一桁しか動いていないレベルです。
Mrs.Bも続けます。
「あれこれ大変なんだけど、いうことだけはしっかりしてるでしょ?筋が通ってるでしょ。『こんな癒せてしまった。なぜかというと食べさせてくれないから』
他の人が聞いたら『まあ、ひどい!』って思うでしょうね」
そこで私が言いました。
「どうして?
『食べさせてくれない』ということが大きな間違いでしょ!現状の一番大切な認識が間違えていて、つまり根本が理解できてない訳でしょ。としたら、何を言ったとしても『それなりに筋が通ること』じゃないんです」
Mrs.B「どうしても、いわれてることで判断してしまうの。ちゃんとした日本語の文章なんだもの。
それと、ほんとにしっかりしたおばあさんだったし。尊敬するところもいっぱいあったし、ボケてると思いたくないという気持ちもある…」
私「それでショックを受けないのならいいんだけど。『ご飯もおやつも食べさせてあげてるのに』と悔しいやら、悲しいやらじゃないの?」
たまに会うだけですが、何度もこういうやり取りを繰り返してきたのです。
2018年4月「ここでも認知症が進行中」の後半にこのおばあさんのことを書いてありますので、この記事を再掲しておきましょう。
実は今日、もう一人の友人からも電話がありました。
「だって、ほんとにしっかりしたことを言うのよ、とってもボケてるとは思えない」
「そうね。お話はね。でも、本当に状況が理解できていたらそういうことは言わないという見方はできないかしら?それからやってることはどう?」
2013年にこんな記事を書いています。このおばあさんのその後です。
(これはまだ小ボケだったころのエピソード。どういうことに対して、家族が「あれ?なにかおかしい。まさかボケじゃないと思うけど」と気づくか。そしてなぜこういうふうに脳の老化が加速してしまったかも解明してあります)
この時から5年たってます。この時小ボケですから、今はもう大ボケに入ってもおかしくはないタイミングです。このおばあさんはとてもよく働く方ですから(つまり、ボーと居眠りばかりするのではなく体は動かすタイプ)進行は遅めであったとしても、中ボケ下限は覚悟しなくてはいけないでしょう。
聞かされる症状から言っても、脳機能はかなり低下しています。
便通のコントロールがうまくいかないために、結構大変な事件がよく発生するというのです。
『悪いねえ』という発言をすることもあるのですが、だからと言って何かを工夫するとか、努力することは一切ない!変です。
一方で「お前だけに面倒を見てもらう訳にはいかないから、次女にも連絡しておくれ」と全く正常な発言(友人の弁)があるといいます。「電話しておくれ」と大騒ぎしてもつながらず、後につながったら「あんた、最近ちっとも顔ださないねえ」と普通の世間話の口調でやり取りしたそうです。
「顔を出さない」という会話は筋が通ってる訳ですが、「次女に面倒を見てもらう」という前提での大騒動は吹っ飛んでしまっているところがおかしい・・・
レベルを納得してもらうように説明するのですが、その時思いがけない抵抗にあいます。
「ディに行く前になると、めまいとか頭痛とか訴えるから、ついつい休ませてしまう」といいます。
私「今の前頭葉機能では状況判断はできないのだから、おばあちゃんのために必要ならばその判断は家族がするべきよ。中ボケレベルの脳機能になってしまったら、それはちょうど幼稚園のこどもと同じくらいの判断力だと思えばいいの。自分の将来を考えて今の行動を決められるわけがない」ときつく言ってみても「でもねえ。ほんとに普通のことを、言う時は言うのよ」
「でも脈絡ないでしょ」と話は堂々巡りです。
最初のやり取りが、大ボケ。
ここに再掲したのが中ボケ。
そして、小ボケの症状2 を開いてみてください。ボケ初めにおきるエピソードです。