脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

脳機能という物差し①

2019年12月09日 | 二段階方式って?
A保健師さんからリンゴが到着。立派なリンゴで見とれてしまいました。同封のカードで近況もわかりましたが、それにしても久しぶりだったので、懐かしくて電話でお話ししました。

若々しい、ふっくらしたお顔が胸いっぱいに広がっているのに、もう退職して3年もたつとは!
退職して3年。もし何もしていなければ小ボケですが(笑)、「グループホームの第三者評価委員や保護司をしながら、家庭では果樹農家と孫育てや高齢の親たちの世話をしています」この生活状態からは、脳の老化が早まることはほとんどないといえるでしょう。
それでも一応聞きました。認知症予防活動に携わった保健師さんですもの。
「忙しい毎日が目に見えるようだけど、そしてお元気なことは十分わかるけど、もしこの生活でで認知症が始まるとしたら、どういうことが考えられるでしょうね…
この生活が嫌で嫌で仕方がない。親の世話がなかったら。孫の面倒を見なくていいのなら。果樹農家の忙しささえなかったら。もちろん保護司もグループホームの評価委員も負担で負担で仕方がない。こういう気持ちで毎日を過ごすと、外からみたら『毎日忙しくてうらやましい。これじゃあボケる暇なんかないものね』といくら言われても、脳は老化を速めます。評価するという働きは前頭葉だから、自分の生活を肯定的に見られないとしたらだんだんに意欲低下が起きてくるに決まってるでしょ」
(写真は11/25撮影)

笑いながら「それは大丈夫。思いがけず息子たちが同居することになって、1歳と3歳の孫もりしてますが、かわいいものですね。両親も毎日リンゴ山に行ってくれているし」
私も笑って「それは良かった。『転ばぬ先の杖』過ぎたわね。それとは別にちょっと気になることがあるんだけど」と続けました。

「カードの本文をパソコンで打っていたのがちょっと気になったのよね。ふつうはこのくらいの長さなら肉筆で書くでしょう?そして表を見たら、振戦(ふるえ)があるじゃない?まさかパーキンソン症候群なんて言われてないでしょうね」
A保健師さん「受診したんです。いろいろ検査してもらいましたが『書痙でしょう』って」
私「パーキンソン病の人を長く見続けたことがあるけど、書字は下に行くほどだんだん小さくなることが多いのよ。
高齢者が『無表情、小刻み歩行、震え』などで受診して『パーキンソン症候群』と診断されることがよくあってね。そのとき『パーキンソン』まで聞いて『パーキンソン(という病気)なんだ』と妙に納得してしまうの。
ほんとにパーキンソン病なら、その治療を始めることになるでしょ。薬物療法ですけど。パーキンソン症候群の人には、ドクターはLドーパ出されたりしないはずなのにね。
そうそう。ほんとにパーキンソン病の場合は、手首でも肘でも首でも関節を逆の手で触りながら動かしてみると、歯車のようなカクカクした動きも伴うのよね。ちょっとやってみてごらんなさい」
A保健師さん「あ、カクカクしません」
私「パーキンソン病じゃないんだから、当たり前」と笑いあいました。
そして、「書痙はストレスからでしょう」と診断されたそうです。
私は「もう書きたくない!って言えないから書けなくなったんじゃないの。『私震えてうまく書けないから書いて』って言えない?」
A保健師さん「とっても言えない。だって恥ずかしい…」
私「脳が働いていないときは『書けない」のじゃなくて『何を書くのか判断できない』のだから、違うでしょう。脳が働いていないなら恥ずかしいかもしれないけど」

私「問題は小ボケの人は、無表情だし、歩き方がトボトボしてるし、意欲的でないし。症状がまるでパーキンソン病に重なるようなところがあって、病院で『パーキンソン(症候群)』といわれてしまうと、納得するのかあきらめるのか、小ボケを撃退できる生活改善をしない!そうすると脳を使わないから老化がどんどん加速して、小ボケから中ボケになっていってしまうのね。
ほんとうのパーキンソン病の人は、姿勢保持ができないので体は二つ折りみたいになって、もちろん無表情で、すくみ足になって最初の一歩が出ないなんて言う症状もあって、横断歩道が赤なのに突進したりするので一見したらボケてるみたいにいわれるけど、脳機能を測るとなんとMMSは合格するの。長くフォローした人はさすがに前頭葉機能は不合格になっていったけれど」

私「その脳機能を持たせた人は、家業が餃子屋さんで、息子が配達するときには、必ず車に同乗して回って挨拶していたというの。考えさせられるでしょ」

日常生活で現れる様々な症状は、脳の働きの結果です。だから症状をよく観察したり理解することで、脳がどのように機能しているか類推することはできるのですが、このパーキンソン病やパーキンソン症候群(小ボケ)のように似通った症状を持つときには、症状だけの観察や理解にとどまらず脳機能という物差しを当ててみることが大切です。
「大切」では不足。「必須」になってほしいと切望しています。






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