脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

電話のたびに警告音がー皆さんの前頭葉、大丈夫?

2020年07月01日 | 前頭葉の働き
コロナの影響で、長電話が増えました。もちろんラインやメールも使ってますけど。続けて同じような結論になったので、ブログでも警告発信しましょう。(今日の花は伊豆のアジサイ尽くしで)
コロナのせいで、誰にとっても「普通でない、ここ数か月」がありましたね。この自粛生活が私たちの前頭葉も自粛させてしまったということにもう少し目を向けてほしいのです。
前頭葉は、今自分が置かれている状況を理解し、そして今自分が何をなすべきかを判断します。そして実際に行動に移し、その結果修正すべきは修正しながら、その行動を続けさせる・・・というような、まさに脳の司令塔の役を担っています。

どこにも行かず、誰とも会わず、昨日も今日も明日も同じ一日を続けていても、それなりに前頭葉は役割を果たしていますが、変化に富んだ楽しい日々をくらしていた人にとっては別世界に生きているようなものですね。
東京の友人と久しぶりの長電話。彼女は1か月に6回はコースに出るほどのゴルフ好き、人の世話にいつも心を砕いているし、ランチだけでなく夕食も外で知人と楽しむというような生活を送っているのです。
できたら読んでいただきたいのですが、一番言いたいことは
「前頭葉機能がちょっとしたことで(例えば今回のStay Home、ケガや体調不良が続くとか、心配事が起きてしまうとか)、今までとは刺激の質量ともに変わってしまうと、前頭葉が、正常老化の道ではなくて老化を加速させる道の方を向いてしまうことを知ってほしかったからです。そしてその最初は必ず自覚があります(だから、生活を改めて小ボケにならないでください)」ということにつきます。
この話を聞いて友人が「わかる!」と一言。
「自粛生活に入ったときに、まず断捨離をやったのね。前からやらなくっちゃあと思っていたし、私手際がいいんでドンドンはかどってやってて楽しかった。それからお庭をきれいにしたのよ。雑草を全部抜いて、お花を植えて見違えるほどきれいにしたの。その次には今までクリーニングに出していた洋服を手洗いしてみたら、それがまたうまくいって。達成感があったわぁ。
と、いうふうに人から見たら自粛生活何のその、楽しくイキイキと生活してるって思われていたと思うのね」
お話は続きます。
「でもね。マスクだし、出かけないととにかくお化粧はしないでしょ。洋服を考えることもないし。
今言われてすぐに思い当たったのは、『行きたくなくなった』ってこと。今は自粛も解けたので、出かけてるのよ。でもそのスタートの気持ちが違う。確かに前とは違うことがよくわかる」
「その違いって、自分ではわかるけど、人から見たらわからないような感じなのでしょう?」と私。
「そうそう。今は前みたいに出かけてるし、今絹子さんと話さなかったら自分でも自覚してなかったかもしれない」
また私「どんなに外から見て大丈夫なようでも、『大丈夫!』と判断するのは自分の前頭葉だから、前頭葉が満足できる生活をしてないと、ちょっと微妙に元気がなくなる・・・でも、今は生活が元にもどってるし、何より私の話で自覚できるところがすごい。本当に前頭葉が元気がなくなる方向に向いた時って、必ず自覚できるから覚えておいてね。ズルズルその生活を続けて小ボケへ至る道を進まないでね」
また別の友人と電話で話しました。83歳の彼女は、家業の農作業の手伝いや家事などを分担してこなしています。
ちょっとハードかなと思うことも再々あったので、「少しお仕事量を減らした方がいいんじゃないか」とお話したこともありましたが、「本当に家族にとって役に立つ仕事をこなさないと、あまり意味がないから」という信念を感じて黙ってみていました。
私「いつも、お仕事量が多いと心配してたけど、今回のような思いがけないことが起きると、『ちょっと違ったかな』って思ってます。もし分担のお仕事がないと想像してみたら、けっこう大変なこと。何をしても、しなくても自由。それってどうでしょうか?必ずやることが83歳というお歳であることは、よかったんじゃないかって思ってました」
友人「私もそう思ってました。確かに体がちょっと辛いということが増えてきたけど、頼りにされていることは気分がいいこと!
それより自粛だったでしょう。前のように時間を作ってちょっと遊びに行くとかランチに行くとかしなかったでしょう。そうしたら、自粛が終わっても行きたくなくなっちゃたの。不思議ねえ」
そこで東京の友達に話したことを繰り返しました。
友人「とっても納得!ちょっと自分を励まして、前のように遊びに行くようにしよう・・・っと」
そこで私はあわてて「7月の第3水曜日に楽しい音楽会があるから、伊豆高原バターノートまで足を運んできて!」こういうふうに具体的に動きを促すことは大切なのです。気持ちは理解しても、行動にまで移すのにはもう一つエネルギーがいりますから。
友人「バターノート!何度も行ったことがあるわ。マダムとも顔なじみだし」
結論が出ました。体調の問題が起きないならば、来てくれるそうです。
おもしろいのは、このような会話のやり取りだけで電話の声がだんだんと明るく若々しくなってくるのですよ。
このような気になる電話事件も。
久しぶりの知人とおしゃべりしていたら「ピンポーン」の音が聞こえたので、慌てて電話を切りました。
その後、その知人から届いたメールには、要略してこんなことが書かれていました。
「先ほどは失礼しました。来客は同じマンションの方でした。ご自身の結婚以来の、ご主人や姻戚関係での苦労話等が次から次に話し出したら止まらず、延々と昼過ぎまで。そうなさりながら溜まった腹立つ感情を解消されておられる、その聞き手でした。私達より年上の方々にとって聞いてくださる相手は少ないのが現実のようですからずっと聞きました。自粛期間、マスク着けてなのです」
このお客さんは、ちょっとおかしいですね。あ、前頭葉が老化を加速しているという意味ですよ。
中学校の同級生から、全く同じ内容の電話が2回かかってきたことも、実は気になっています。
彼女にとって不本意な家庭内での事件があったので、電話が来ることは少しもおかしくないのです。その電話が2回あってもおかしくはありません。そのくらい承服しかねる事件だったことは、私にもわかりますから。
ただその2回目の電話の時「前にも言ったけど」とか「何度も聞いてもらって」とかいうことばが全くないのです。1回目と同じ私の反応や言葉にも、「そうよね~」とか「やっぱり絹子さんもそう思う?」とまったく同じように返事が返ってきます。
この違和感。もう一度かかったら教えてあげなくてはと思いましたが、幸いなことに、かかってきていません。
2度吐き出したら気がすんだのでしょうか?それならば単に私の取りこし苦労で、こんなうれしいことはありません。
義姉ともおしゃべりしました。
上に書いたような電話事件の話をしたら
「よくわかる。こういう生活でだんだん意欲的でなくなっていって、『このままこうして干からびてボケていくのよね~』と思ってた」だいたい義姉はいつも悲観的に「歳を取ったらだんだんボケていくのよね」といいます。そのたびに私は
「普通に歳を取っていくのとボケるのは違う道。体と同じように脳にも加齢現象はあるけど、それは正常老化というか『歳のせい』でみんなに起きること。小ボケへの道は全く違う道筋だから!ナイナイ尽くしの生活、とにかく楽しみのない生活がいけないの」と答えます。
「そうよね。もう出られるようになったから、友達に声をかけて遊びに行ったり食事に行ったりしなくっちゃあ」こういう話の時には声は弾むものです。その義姉の声を聞きながら、私も言いました。
「誘えるお友達がたくさんいてよかったね。お姉さんのためでもあるけど、そのお友達のためでもあるわけだから。まったく『情けは人の為ならず』でみんなでボケないように楽しまないと。
ボケない秘訣が『楽しむこと』でよかったわ。だって誰にでも心を込めて楽に言えるでしょ?ずっと言ってきたけど、なかなかこんな簡単なことがボケないカギと思ってもらえないのよね。
今度のコロナ自粛のせいで、前頭葉の元気がなくなったと感じることができる人には、ちょっといい警鐘になるはずよね」

近所の「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」のあじさい園は、ほんの少し盛りを過ぎていました。
一緒に行った友人と「来年はもう少し早く来ましょうね」といいながら、二人同時に顔を見あって「来年のことは言えないわね・・・」
でも気持ちが暗くなったわけではありませんよ。
また二人同時に顔を見あって「だから、とにかく楽しまなくっちゃあ」で吹き出しました。そうです、こういう生き方は、とってもお勧めです。

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