自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

サンパウロ/盗難事件

2011-03-04 | 体験>知識
サンパウロ市のコンゴーニャ空港に降り立った。
10日ほど滞在して出国と旅行の手続きを済ませ観光バスで名所見物もした。
ブラジルの内陸は大方海抜700m前後の高原になっている。
だからサンパウロ市から船が出るサントス港に行くにはバスで急峻の坂道を
いっきょに60kmくだらねばならない。
次の目的地はサントスだ。
だがその前にわが家族がブラジル生活の最後に体験した衝撃的な盗難事件を
語らねばならない。
サンパウロの宿に貨物列車で送った複数の大トランクが荒らされ帰国土産の
高級毛布等金目の物が抜き取られてしまった。
旅館の主人はブラジルの恥だ、新聞に載せると息巻いていた。
父母は落胆のあまりやはりブラジルは日本に比べて2等国だったと納得し一刻
も早く出国したいと思ったに違いない。
しかしこの事件ははからずもわが家族の数十年の生活と体験がきわめて局地
的で限定的だったことを明らかにした。
盗ってくださいと言わんばかりの牛革仕立ての立派な大トランクをなぜ作ったか。
そのトランクは大きな革を貼りあわせて鋲留した特注品でハリウッドの俳優なら
移動用に作ったかもしれないような代物だった。
ブラジルは斉一ではない。
北と南では違う。大都会と田舎では違う。
サンパウロとロンドリーナではもっと違う。
だからわたしのブラジル体験記も北パラナ国際植民地ロンドリーナ市体験記と
読み替えて読んでほしい。