私の最大の趣味である読書。気に入った本を探しに本屋に通う日々。いわゆる娯楽小説以外で、近年と言うかこの十年来最高の本に出会いました。
ノンフィクションです。実際にあった話です。
私の知的好奇心を十分満足させ、若き頃の趣味を思い出させる楽しい本で、一昨日小朝の公演を聴くため、一日ウロウロしましたがその道中の車中と、時間調整の新宿御苑で上下2巻あっという間に読了しました。その感激を以下に述べます。
『ストーリー』
1991年アメリカ北東部で活動するダイバーのグループが、ニュージャージー沖100キロの海底70mに沈んだ潜水艦を発見した。第二次大戦の独Uボートと思われるが、艦名は不明。第一次、第二次大戦の戦闘で沈没した潜水艦の記録を管理しているアメリカ海軍でも、そしてドイツでもその艦名は不明であった。
ダイバー達は自身で、艦名とその状況の真相究明に乗り出した・・・
私の感激したこと。
①レック・ダイビング。レジャーダイビング楽しむ人は日本では100万人、アメリカでは1000万人いるそうですが、そのアメリカでも本格的なレックダイバーは2、300人しかいないだろうといわれています。
レックダイビングは、沈没船に潜るダイビングですが、その中でもそれまで誰も知らなかった沈没船を発見し、船の正体をつきとめるダイビングを、本書は書いています。
レックダイビングの危険性は、1章(第2章 視界ゼロ)を立てて書くほどで、多少ダイビングをかじったことのある人はとても自分では出来ないと、ぞっとするでしょう。
②潜水艦の中は、ドイツ軍兵士の墓場である。無数に散らばっている遺骨の尊厳を傷つけず、艦名だけを判定する証拠を探すダイバー達。
③公式資料にはその沖合いにはドイツ潜水艦は存在せず、その調査の過程は、それも一般人が探していく様子にわくわくするものがあります。
④下巻がその艦名調査とその判明後の乗組員の遺族への旅となります。その遺族から潜水艦の出航当時の様子が再現されます。
⑤マイク・ネルソン、ロイド・ブリッジス等の名前が出てきます。初期のダイバーに人たちには懐かしい名前ではありませんか。
⑥近眼にならなければ潜水艦の乗組員になりたかった。ジャック・イブ・クストーに会った事がある。そんな私に最高の関連蔵書が手に入りました。
《アメリカらしきこと》
①ドイツ潜水艦の艦名の調査の過程で、アメリカ海軍の研究所で資料を閲覧するシーンが出てきます。ドイツ潜水艦の全ての航海日誌が保管整理されていることにも驚きますが、その極秘資料を勿論手続きを踏んでですが、一般人が簡単にそして頻繁に閲覧できることが驚きです。
②トレジャーハンティングといって、沈没船から財宝を見つけるダイバーがいますが、沈没船発見の名誉を横取りする海賊まがいの連中がいます。これも驚き。
③今回の一連の調査で、3人のダイバーが死亡しますが、沿岸警備隊からの中止命令等が出ない。勿論逮捕もされていません。この辺も自己責任の行動と証明されるとお構い無しなのでしょうか。
でも、事故が発生したときに、沿岸警備隊の聴取に耐えられるよう、事故報告と救助経過を分単位で記録する様子が、描かれています。
④十数名の上級ダイバーが登場しますが、この調査が全てボランティアで行われていることです。みな本業を持っていることです。そのため主な二人は離婚をしていますが。
⑤敵国のドイツ兵の骸骨を2000ドルで売ってくれ言って来るアメリカ人がいること。飾りたいからと。
まだまだ述べたりないのですが、1500字にもなっています。この辺で止めます。私の感激を感じて頂けたらと思います。