新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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DVD「ブルー・マックス」

2013-03-09 17:17:17 | 芸術鑑賞
昨日の「騎兵隊」に続き、猛烈な花粉の中これを見ていました。窓が開けられないので、室温は気が付いたら26度でした。

パッケージの惹句は、
第一次大戦末期、ドイツ国家最高の名誉と栄光を得られるブルー・マックス勲章に生涯を賭けた若き戦闘機パイロット、スタッヘル少尉。貴族階級出身の航空隊員に敵視されながらも、次々と敵機を撃墜し、勲章獲得へと近づくが、それは同時に悲劇の英雄への第1歩でもあった……。

これを読んだとき、私の苦手なシチュエーションかとガッカリしたのですが、とんでもなくいい映画でした。庶民出身の主人公が貴族階級のパイロットたちに理不尽にいじめられるのかと思っていましたが。

でもこの映画に登場する貴族たちを鼻持ちならない貴族として描くのでなく、騎士道精神のあふれる良き時代の人間として描かれています。ボタンやミサイルで遠くから打ち落とす現代と異なり、目の前の手動式の機関銃で敵機を撃つ1対1の戦いです。
登場する複葉機や三葉機は完全復元された実機による空中戦が繰り広げられます。

軽々と飛び交う飛行機を見ていると、操縦してみたくなります。

ジェイムス・メイスンのフォン・クルーガーマン伯爵は適役です。彼の佇まいは老練な伯爵を見事に演じています。また彼の妻である伯爵夫人をウスラ・アンドレスが演じていますが、その肉感的な魅力は当時の貴族が若い美人の妻を絵画コレクションと同じように扱っていたという話を思い出し、納得したのです。
昔にさかのぼれば十字軍などで実力で戦い領土を獲得してきた欧州の貴族は、明維持維新のころの日本の御公家様たちとは全くその性根が違っているようです。

貴族階級の航空士官達の名誉を守るために国民的英雄に上り詰めた主人公を、伯爵は試験飛行の足りない設計不十分の試作機に搭乗させてしまうのです。でもその少尉を可哀そうと思えないのは、少尉のブルーマックス勲章に対する人間関係を無視した執念のすごさに引いてしまう自分がいます。

でも実機を使いCGなしの空中戦は感動です。トップガンとは全く異なる、良き時代の空中戦です。



コメント
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