1879年~1912年の33年間、9万3000時間を費やし、
たった一人で築き上げた「シュヴァルの理想宮」は、
“素朴派唯一の建築物”と高い評価を受け、
1969年にフランス政府の重要建造物に指定されています。
ピカソも驚嘆したという建造物を造りあげたのは、
フランス南東部の自然豊かな村をまわる
寡黙で風変りな郵便配達員のシュヴァルです。
その歩行距離は、地球を5周以上もされたとか。
寡黙な男性なので、セリフはとても少なく、
映像から感じ取ることになりますが、
シュヴァルを理解することはできても
この男性の妻には絶対になれないと思いました。
シュヴァルには、夫を傍らで見守り支える妻がいて、
パパを慕う娘、子どもの頃に別れた息子、後には孫も。
村人には偏屈と思われ、過酷な運命も襲い掛かかるも
理想宮を完成させることができたのは、妻フェロメーヌの存在。
妻は、彼女でなければならなかったのです。
これもまた奇跡的な出会いと言えるでしょう。
観客も疎らな劇場でしたが、泣き出す人も多く、
まるみも遠慮せずに泣くことができました。
口下手で人付き合いが苦手なシュヴァルの
たくさんの想いを込めて、途方もないと思える
西洋と東洋が融合するような理想宮が完成
ジャングルの中にあるアンコールワットのような
アントニ・ガウディの作品群のような
絵はがきや新聞などの写真から着想されているようですが、
建築家としては素人であるものの驚愕の見てみたい建造物です。
ほぼ全編を通し、現存する理想宮で撮影を敢行された
実話を映画化したヒューマンドラマ。
シュヴァルが郵便配達で歩きまわるフランスの
田舎の風景の美しさにも魅了されました。
監督:ニルス・タベルニエ
出演:ジャック・ガンブラン/レティシア・カスタ/
ベルナール・ル・コク
2018年/フランス/105分
YEBISU GARDEN CINEMA
2019.12.13
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