下町情緒が色濃く残る谷中の街に
ひときわ存在感を放つ建物が「朝倉彫塑館」、
大正から昭和にかけて活躍した
彫刻家・朝倉文夫氏のアトリエ兼住居です。
1935年に完成した建物は、朝倉氏が設計、
細部に至るまで工夫を凝らし、こだわりを感じるもので、
国指定名勝・国登録有形文化財に指定されています。
館内の写真は撮影できませんが、
西洋建築であるアトリエと日本建築である住居が融合、
庭との一体感が感じられる空間建築には、
朝倉氏の美意識や彫刻家としての視点が活かされ、
驚きとともに感動することばかりでした。
特に印象に残ったのは書斎の作り付けの書棚、
「書斎は建物の壁のようにする」という
関東大震災を経たこだわりとか。
天井高8.5mのアトリエは、三方向から光を取り入れ、
壁面はカーブを描き明かりとりの窓から陽光が差し込み、
彼の作品をやさしく包み込んでいます。
屋上にも上がることができ、ここは写真OKです。
≪砲丸≫と≪ウォーナー博士像≫が
谷中の街を見守っています。
屋上緑化の貴重な事例の一つで、
朝倉氏の生前は菜園として活用されていたとか。
大きなオリーブの木もあります。
当時から使われている板張りの床を保存するため、
スリッパ、裸足の入場は厳禁、靴下着用が必須。
夏場の見学は注意が必要ですが、
彫刻に興味がなくても一見の価値があります。
東京都台東区谷中7-8-10
2021.11.28