両親を告訴する。僕を生んだ罪で。
子どもが主役の映画ですが、穏やかな話ではなく、
邦画に例えると是枝監督の「誰も知らない」
あまりにも重いテーマで、涙も出ず、
圧倒されるばかりでした。
中東の貧民窟に生まれたゼインは推定12歳。
両親が出生届を出さず、誕生日も分からず、
法的には存在していない少年、家族も同じです。
初潮を迎えた大切な妹が強制結婚させられると
二人で家を出ようと計画するものの
親に見透かされて・・・。
ノンフィクションではないものの
中東の貧困・移民問題を抉り出した人間ドラマ。
この日本にも戸籍のない人が存在、
人の弱味につけこむ金儲け、人身売買、
他人事ではない混沌とした社会を見るようです。
ゼイン役のゼインくんはシリア難民、
出演者のほとんどは演じる役柄に
よく似た境遇にあるとか。
彼らが体験する出来事を演出する手法をとっていて、
リアリティを突き詰めながらも
ドキュメンタリーとは違う物語になっていて
ただただ重いだけではなく、希望にも満ちた作品に。
過酷な状況にいたからこその知恵を持ち、
幼い妹やエチオピア難民の赤ちゃんを守ろうとする
懸命な姿に心を動かさない人はいないでしょう。
ゼイン君の笑顔に一筋の光が見えるような
ラストが特に印象的です。
監督:ナディーン・ラバキー
出演:ゼイン・アル=ラフィーア/ヨルダノス・シフェラウ/
ボルワティフ・トレジャー・バンコレ
2018年/レバノン・フランス/アラビア語/125分
ヒューマントラストシネマ渋谷
2019.7.29
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