まるみのあっちこっち巡り

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映画 存在のない子供たち

2019-08-06 18:42:37 | 映画(劇場鑑賞)

両親を告訴する。僕を生んだ罪で。

子どもが主役の映画ですが、穏やかな話ではなく、
邦画に例えると是枝監督の「誰も知らない」
あまりにも重いテーマで、涙も出ず、
圧倒されるばかりでした。

中東の貧民窟に生まれたゼインは推定12歳。
両親が出生届を出さず、誕生日も分からず、
法的には存在していない少年、家族も同じです。

初潮を迎えた大切な妹が強制結婚させられると
二人で家を出ようと計画するものの
親に見透かされて・・・。

ノンフィクションではないものの
中東の貧困・移民問題を抉り出した人間ドラマ。

この日本にも戸籍のない人が存在、
人の弱味につけこむ金儲け、人身売買、
他人事ではない混沌とした社会を見るようです。

ゼイン役のゼインくんはシリア難民、
出演者のほとんどは演じる役柄に
よく似た境遇にあるとか。

彼らが体験する出来事を演出する手法をとっていて、
リアリティを突き詰めながらも
ドキュメンタリーとは違う物語になっていて
ただただ重いだけではなく、希望にも満ちた作品に。

過酷な状況にいたからこその知恵を持ち、
幼い妹やエチオピア難民の赤ちゃんを守ろうとする
懸命な姿に心を動かさない人はいないでしょう。

ゼイン君の笑顔に一筋の光が見えるような
ラストが特に印象的です。

監督:ナディーン・ラバキー
出演:ゼイン・アル=ラフィーア/ヨルダノス・シフェラウ/
ボルワティフ・トレジャー・バンコレ
2018年/レバノン・フランス/アラビア語/125分

ヒューマントラストシネマ渋谷

2019.7.29

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