1975年に陽の目を見た未発売作品二枚組アルバム。
1枚はS・リヴァースのリーダー・セッションものですが、もう一枚は本来A・ヒルのリーダー・セッションもの。カヴァにもきちんとクレジットされている。
どうしてリヴァース名義のアルバムの中に組み込まれたのかと言うと、ヒルの未発売作品二枚組も同じ”RE-ISSUE SERIES”で発表されたため。三枚組ではちょっと・・・・・・・
一枚目のS・RIVERS のセッションのパーソネルは
Sam Rivers (ts,ss,fl) James Spaulding (as,fl) Donald Byrd (tp) Julian Priester (tb) Cecil McBee (b) Steve Ellington (ds) 1967.3.17 録音
二枚目のA・HILL QUARTETは
Sam Rivers (ts) Andrew Hill (p) Walter Booker (b) J.C. Moses (ds) 1966.3.7 録音
一枚目はピアノ・レスのSEXTETで、D・Byrdの名が気になりますね。「たまにはこういうセッションで時代の流れを体感」ではないと思いますが、どういう意図か分かりません。ただ、足手纏いになっていない所が、逆に本作のインパクトを弱め惜しい。ひょっとしてByrdはピンチ・ヒッターだったかも。いずれにしてもリヴァースにしては聴き易いアルバムです。
聴きものは、やはり二枚目ですね。6曲中2曲はトリオ演奏。
ヒルとリヴァース、曲者同士の組合せ。乱闘を危惧?、期待?する向きがありますが、予想に反し四つに組んだ力相撲(4曲)が展開されている。たしかに一曲目のタイトルも”Violence”はラジカルな演奏ですが、そんじょそこらの前衛小僧達とはわけがちがい、落とし所をちゃんとわきまえている。4曲ともリヴァースが「オレはただのサイドではないぜ!」と言わんばかりにガチンコ勝負を挑み、ヒルも敢然と立ち向かっている所が本作の「肝」。
決してキワものではなく、むしろ正統ものです。J.C.Mosesの大胆にして繊細なドラミングもGoo。
反面、2曲のトリオはヒル流リリシズムが極めてナチュラルに溶け込んでいる。”Pain”はタイトル・イメージと異なりやや甘く、フォークロア風で、“Lust”も真逆のまるで果てのない 彷徨の旅をpで描いているようだ。
この作品は、ちょっと構えてしまいそうですが、案外、ヒルの本音を衝いており、彼の世界への近道かも。
”BLACK FIRE”から始まる詰込み録音により、結局「お蔵入り」の破目にされたとしたら・・・・・・・
もし、リアル・タイムで発表されていたら、世間のヒルを見る目が変わっていたかもしれない。
なお、後年、其々、タイトル名を変えた単体でリリースされている。ただ、ヒルはCDだけだったかも?
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