先月、B・ハッチャーソンとR・ヴァン・ゲルダーが相次いで亡くなったという。享年75、91。
ミュージシャンとレコーディング・エンジニアという立場こそ違え、BNとの関わりは大きい。特にゲルダーはあのゲルダー・サウンドとしてをBNの屋台骨を支えた功績は大きい。またハッチャーソンにしても人材が少ないヴァイブの世界で、所謂「新主流派」ヴァイブ奏者として数多くの名演を残している。
そこで、二人を偲んでボビ・ハチの初リーダー作を。所有盤はカヴァはオリジナル盤仕様ですが、ラベルはリバティ。ただ、ひょっとしてラベルだけ貼り替えたものかもしれないほど盤自体は重く、音もがっちりとしたゲルダー・サウンドそのもの。
録音は1965年4月3日、意外に遅い気がしますが、後述で。
メンツを見ると実力者、個性派がズラリ、なんだか不穏な気配が、そしてヒルの作品が3曲、チェンバースが2曲となると不安さえ・・・・・・
一見、チェンバースのオリジナル曲をそのままアルバム・タイトルにしているようだが、実は「ダイアローグ」、つまり各人の「対話・問答」を演奏コンセプトにしている。
1、2曲目まではともかく、3曲目、ヒルの‘Les Noirs Marchent’から左傾化し、B-1の‘Dailogue’はもう「フリー・ジャズ」ですね。ラストの‘Ghetto Light’(ヒル作)も怪しげなムードを撒き散らしている。
この頃、ボビ・ハチは既にマクリーンの新しいグループのメンバーに迎い入れられ、‘ONE STEP BEYOND’、‘DESTINATION OUT’、‘ACTION’を、また、ヒルの‘JUDGMENT’やドルフィーの‘OUT TO LUNCH’等々に参加していたのでこうしたプログレッシブ路線上の作品となるのも必定と思います。
全体に対話というより「問答」に近く、なかなか手強い。
こちらがボビ・ハチの「幻の初リーダー作」、‘THE KICKER’。
1963年12月29日に録音されながらリリースは見送られ、36年後の1999年にCDで初出。
パーソネルは11月に録音された‘IDLE MOMENTS / GRANT GREEN’と同じ(但し、GREENは3曲のみ)。
出来映えは同レベルで決して悪くないが、続編の感じが強く、新人の初リーダー作としてのインパクトがやや弱い。ただ、チェンバースの名曲‘Mirrors’でのボビ・ハチのクリスタルなリリシズムは傾聴に値します。
ライオンはプログレッシブなセッションを通じ、この才能ある若者にコンサバのイメージが付く事を危惧し、「お蔵入り」させたのだろう。そして、一年半近いインキュベート期間を経て、1965年を象徴する過激な「初リーダー作」が誕生したのだ。
さすがライオン=BNですね。
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