ハーネスで一番大切な調整箇所はどこだと思いますか?
実は、レッグストラップの長さの調整なのです。
この箇所の調整がまずいと、まず、テイクオフで不都合が生じます。
具体的には、アップライトを押さえきれずに、ノーズ上りになりやすくなったりします。
そして、ランディングでも不都合が生じます。
具体的には、コントロールバーに対して、体が下になり、フレアーが効かなくなってしまうのです。
ですから、レッグストラップの長さの調整は慎重に決めなくてはなりません。
でも、これは理論さえしっかり理解していれば、シミュレータを使えば短時間に、簡単に済ませてしまうことが出来るのです。
今回はその方法をお教えいたしましょう。
この図はグライダーにぶら下がった人間を表しています。
そして、仮にいま、あなたのハーネスのレッグストラップを緩めたとします。
するとどういうことが起こるか考えてみましょう。
レッグストラップが緩められれば、その分、ハーネスの中で体が下に落ちることになることがお分かりいただけるでしょうか?
上図の矢印は、緩められたストラップの分、体が下に落ちることを表しています。
さて、レッグストラップが緩められて体が下に落ちるとどのようなことが起こるでしょうか?
まず、テイクオフで考えてみましょう。
あなたはいま、テイクオフのために走り出したとします。そして、グライダーが浮き始めました。次に、グライダーが加速していくと、今度はあなたの体を吊り上げるはずです。
しかし、この時、レッグストラップが長いと、その分あなたの体を吊り上げるタイミングが遅くなることがお分かりいただけるでしょうか?
つまり、レッグストラップが長いと、なかなか体重がグライダーに乗っていかないのです。
するとどういうことになるでしょうか?
ノーズ上りを腕で押さえながら加速していましたが、揚力の発生とともにドンドン腕が上に引き上げられてしまい、しまいにはノーズ上りが押さえきれなくなってしまうのです。
これは、レッグストラップの長過ぎのみならず、上級ハーネスでも、メインラインのスライド量が大きすぎるものでも、同様の現象が起きます。
ですから、理想的には出来るだけ早いタイミングで人間の体重がグライダーに伝わってくれれば、安全なテイクオフがしやすいハーネスであるということが言えるのです。
次回は、同様にレッグストラップが長すぎたときのフレアーを考えてみましょう。