くみあがったステップアップをヒョイッと担ぎ、まずはスターティックバランスを見てみる。
ステップでは、15サイズの場合テールヘビーを感じたが、このステップアップではそれが感じられず、理想的といえるバランスに仕上がっている。
テールヘビーのグライダーは、よりテイクオフの時ノーズが上がりやすくなるので、これは有難いことだ。
風も良いので、そのまま気軽るにテイクオフ‥。
飛び立ってまず気が付いたのは、ステップよりも少し安定を感じるハンドリングとなったことである。
ステップては少しフワフワ感があったが、ステップアップでは少しだけハンドリングに安定感が出ている。
これはおそらくバテンをすべてアルミ製に変えたためだと思われる。
そのためだと思うが、ベースバーを引き込んで加速していっても、あまり不安定感が表れず、ヨーイングに入らずに気持ちよく速度を出すことが出来る。
この辺がステップの特性とは、一番の違いになると思う。
そして、加速時のピッチ安定も、ステップよりも確かなものに変わっている。
ステップでは、ベースバーを引き込んでいくと、最初はバープレッシャーが理想的に増して行ったが、ある速度を過ぎると、そのバープレッシャーの増加が止まってしまった。
しかし、ステップアップでは、ベースバーを引き込んでいくと、理想的にバープレッシャーもどんどん大きくなり、それはフルロック状態まで安定して増加してくれた。
この特性は、安全性が向上したことを意味している。
このように理想的なバープレッシャーに仕上げられたのは、全アルミ製のバテン+ノーズバテンを2本化したことが大きいと思われる。
最高速まで出したので、今度は失速テスト。
ハンググライダーにおいての一番理想的な失速特性は、ベースバーを押し出すほどにバープレッシャーも大きくなり、やがて失速に入っても決してハンマーヘッドストール(ノーズをストンと落とすストール)に入らず、そのまま対気速度を失いながらもパラシュート降下に入ることである。
で、ステップアップの失速特性はというと、まさにこの通りのもので、申し分のないものである。
このように、パラシュート降下に安定して入ることが出来る機体は、ランディング時にフレアーのタイミングがたとえ早くても、決して引き込まずにそのまま頑張って押し出し続ければ、安全に着陸することが出来る。
一通りテストを終えてランディング。
フレアーの効きについては、ステップ15ではアップライトの位置が前になり、若干効きずらさを感じていたが、ステップアップではコントロールバーポジィションが手前に改善されたため、アップライトの押ししろが多くなり、フレアーの効きはグッと向上していた。
今回このステップアップを試乗してみて、すべての面において旧作ステップを超えていると感じられた。
値段も¥388500と、今までの初級機よりグッとお求め安くなり、更に国産機なので納期も早いものが期待できる。加えて、補修パーツが安定して入ることの安心感も大きいといえる。
「なぜもっと早く売り出さなかったのか!」。
そんな文句も言いたくなるくらい、ステップアップはなかなか出来の良いグライダーであった。