飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

14メートルの翼

2014-12-20 21:00:38 | ハング(hangglider)
ハンググライダーリジット最新鋭機の「ATOS VR14」のセール修理を行ったのですが、いろいろな意味で大変な機体でした!

まず、機体を組み立てるとご覧のようにウチの庭いっぱいになってしまいます。



横のハイエースとの対比でその大きさが分かると思います。

スパン14m以上!!もっとも高性能なハンググライダー。それなりの車が買えてしまうお値段‥。

琵琶湖の鳥人〇コンテストにノーマル状態で参加しても上位に入れるくらいの性能を持っています。

ウチは修理工場の前を、機体の組み立て検査のためにわざと広場にしていますが、さすがにこの機体はいっぱいになってしまいます。

今回のセール修理はこの部分‥。



分かりますか?

下の赤線で囲んだ部分のセール交換作業です。



VRは最近流行のテクノーラセールクロスが使われています。

これ、伸びが極めて少ない優秀なセールクロスではあるのですが、実は修理屋泣かせのセールクロスでもあります‥。

ミシンでの縫いに弱く、針穴から切れて広がりやすいのです。

そのため、実はこの類のセールクロスは縫いの部分にダクロンセールを帯状にサンドイッチし縫製するというテクニックを使います。

こうするとミシン穴が広がらないのです。

その他、今回の修理では出来るだけきれいに修理するためにUVカットシートも新しく交換しました。

これはドイツより入荷した専用のもので、もともとカーボンのUVカットの目的で開発されたものです。

琵琶湖の鳥人〇コンテストでも、真夏の日差しからカーボン桁を守るためにそのまま応用できるでしょう。

そして、VRのセールは一部カーボンシートと共に縫製していますが、この部分の修理もする必要があったため、新しく縫い直しています。

パワーのあるミシンでなければ修理はムリでしょう。

ちなみにこの時に使用した針は、ORGAN#23使用。

普段私はハンググライダーのセール縫製はORGAN#21を使用していますが、この針だとカーボンシートに負けてしまうためサイズアップしています。


最近ハング人口もドンドン減ってしまい、その保守や修理などの技術も無くなろうとしています。

現在のハンググライダーの保守の技術を残すためにも、今後今回のような修理技術についてもその記録を残して行こうと思います。


コメント (2)
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