穴があけられたピッチトリマーを、ひとつひとつ、ブラシで磨き上げていきます。
これは、ピッチロープを傷つけないためで、丁寧に磨き上げないと、アルミについたわずかなバリでも確実にロープをいためてしまいます。
ちなみに、ピッチトリマーの調整は、一人一人違う状態で出荷されています。
具体的には、ユーザーの体重と重心位置、更に、そのユーザーの技量も考慮に入れ、ハーネスのバランスも変えて作るため、当然ピッチトリマーの調整もそれに応じて変更して出荷されています。
あまり説明すると複雑になってしまうのですが、一般には、ピッチトリマーのロック力が柔らくなるほど、扱いやすいハーネスになっていると思ってもらって間違いありません。
この後、穴あけ加工がなされ、研磨処理が施されます。
実はこのピッチトリマー。技術的にはもっと小さく作ることが出来ます。
しかし、以前、納品したばかりのハーネスで、顧客がピッチ角が簡単に変わるからと面白がってしまい、シミュレーターに下がった状態で連続して30分ほど動かし続けたところ、ロープの表面が融ける不具合が発生したとのクレームがあったため、対処として、ピッチトリマーの表面積と熱容量を稼ぐため大きくしました。
と、いっても、これは通常では考えられない使用方法。
ロープスライドタイプのハーネスと違い、RXCシリーズはレールスライドタイプのため、メインラインはしっかり後ろまで移動するので(だからピッチ安定のよいハーネスになる)前方に張られたピッチラインには、体重の1/5ほどの荷重がかかってしまいます。
その荷重を支えるため、ピッチトリマーには大きな摩擦力が必要になるわけです。
そのため、ピッチトリマーの動作時は、どうしても摩擦熱が大きくなってしまうのです。。
しかし、マニュアルも読んでくれない、インストラクターのレクチャーもほとんどなされない現状としまして、どんな使い方をしても壊れなくしておかなければならないため、仕方なくこのような対応をしたものです。
常識的な使い方をしていただければ、もっとカッコいいハーネスが作れるのですが…。