足止めぬ定家葛の花の香に
キョウチクトウ科の蔓性常緑木本。
山野に自生し、庭木にもされる。
茎は地をはい、また気根を出して樹や岩に絡む。
初夏、枝先および葉腋に芳香のある白い花を集散花序につけ、後に黄色に変わる。
花冠は五裂し、風車状にねじれる。
茎、葉は民間薬として鎮痛、解熱などに利用される。
鎌倉時代、式子(しょくし)内親王に恋をした歌人藤原定家が、死後定家葛に生まれ変わり、内親王の墓に絡みついたという伝説からこの名がついた。
古名は「柾(まさき)の葛」。
長い坂道を下りて街路の歩道を歩いていると、いい香りがした。
立ち止まって見ると、ある家の垣根に花を咲かせていた定家葛であった。
歌にある柾の葛花つけぬ