蘖や用水の道鳥鳴きて
春になって樹木の切株や根元から続々と萌え出てくる新芽をいう。
多くは断ち切られるが、里山の櫟や小楢などの場合は、建材や薪炭用に育てられる。
「ひこばゆ」と動詞として用いることもある。
用水沿いの道端の切株から蘖が出ていた。
樹木の上では鳥が鳴いていた。
人を見ぬ米軍基地や蘖ゆる
蘖や用水の道鳥鳴きて
春になって樹木の切株や根元から続々と萌え出てくる新芽をいう。
多くは断ち切られるが、里山の櫟や小楢などの場合は、建材や薪炭用に育てられる。
「ひこばゆ」と動詞として用いることもある。
用水沿いの道端の切株から蘖が出ていた。
樹木の上では鳥が鳴いていた。
人を見ぬ米軍基地や蘖ゆる
歩くときイヤホン耳朶に八重桜
八重咲きの桜の総称。
山桜から変化したもの。
花期は四月中旬から五月上旬と、桜のなかで最も遅い。
ぼってりとした花房は、普通淡紅色で濃淡があり、白色もある。
散歩で歩くときはいつも耳にイヤホンをつけ、音楽を聴いている。
八重桜を仰ぐときもそうであった。
用水の上(へ)を風に揺れ八重桜
散策の彩一つ花蘇枋
マメ科の落葉小高木。
中国原産。
日本には江戸時代に伝わった。
庭木として栽植されている。
四月頃、葉に先立って枝のあちこちに赤紫の小さな蝶形花をびっしりとつける。
花の色が染料の蘇枋の色に似ているところからこの名がある。
散策をしていると、ある家の塀の上に彩のある花を見つけた。
花蘇枋であった。
忘るるもしあはせのうち紫荊
園児らのゐて蒲公英の百二百
キク科タンポポ属の多年草。
道端、空地、土手などで普通に見られる。
日本にはエゾタンポポ、カントウタンポポ、カンサイタンポポ、シロバナタンポポなどの在来種が分布するが、いずれも帰化したセイヨウタンポポに圧倒されている。
三~五月頃、黄色または白色の頭花を花茎に一つつける。
花のあとに形成される実は白い冠毛を持ち、風に乗って飛ぶ。
これを蒲公英の絮と呼ぶ。
草地で保育園の園児たちが遊んでいた。
そこには蒲公英が百も二百も咲いていた。
たんぽぽの絮吹くところ見られけり
半月を落さむばかり春疾風
春の強風、突風をいう。
前線を伴った低気圧が日本海を通過するときに吹く南寄りの暖かい風で、荒れ模様の天気となることが多い。
涅槃西風、彼岸西風などの季語に比べ、より身近で実感のある季語である。
昼下がりの空に上弦の月が出ていた。
その半月を落さんばかりに、一日中、春疾風が吹き渡っていた。
武蔵野の雑木林や春嵐