白い粉末がテーブルにこぼれている。
「これ、なんだろう?」
ごく少量を指につけて、味を見ようとした。
「なんで舐めるの? 口に入れて平気なものか、わからんのに」
すかさず突っ込まれたが、
「いやいや。テーブルにこぼれてるんだから、
せいぜい砂糖か塩か味の素系でしょ」
そして、
「まさか青酸カリじゃなかろうし、
こんなところに洗剤がこぼれることもなかろうし……」
不自然な間が空いた。
「あっ、ごめん。洗剤だよ。
さっきここで、洗剤の袋を移し変えたんだった」
ぐびっ!
どうやら、
「食べられるか食べられないかわからなければ、喰ってしまえ。
もし腹痛になったら、後のことはそれから考えればいいや」
みたいな思考をそろそろ改めないと、
命が何個あっても足りなくなりそうだ。