生き物好き気象予報士&理科教員、公認心理師・金子大輔(金兵衛)のブログ~通り雨の旅路~

拙著10冊目出版、ぜひ読んでね!おかげ様で19年続いている老舗ブログです。

『JKシリーズ』『高校事変』に続いて『探偵の探偵』。隠されたテーマは?

2024-07-12 | 音楽・文学・美術・芸能
『JKシリーズ』『高校事変』に続いて読みました。
松岡圭祐先生の『探偵の探偵』



2015年にドラマ化され、
2016年には漫画化もされている大ヒットなので、今さら感もあるが、
万人にお勧めできる名作だと思うので書き留めておく。

松岡先生は意図したのかわからないけれど、
『走れメロス』がテーマに織り交ぜられていると感じました。

未読の方のためにネタバレな詳細は避けますが、
善意が勝つか悪意が勝つか、の違いはあります。

走れメロスは童話調で、健全な「善意」が勝つが、
人間の醜さが浮き彫りになるような「悪意」が勝つよう
別味に料理されたのが本作なのではないでしょうか。

嗚呼、人間って嫌だ! 汚らわしい!
という厭世的な気分ももたらすが、
その様は文学的にも圧巻、息を飲むほど”美しい”

『JK』のように脳が飛び散ったり、眼球を抉り取るほどの
グロテスクな暴力シーンはないので、安心してください。


ヒロインの紗崎玲奈は、『JK』の有坂紗奈
『高校事変』の優莉結衣と違い、
人間離れした身体能力を持っているわけではありません。

しばしば罠に嵌められたり、重傷を負わされたりします。
涙を流したり、比較的感情を露にしたりもします。

だが三人に共通するのは、
はねっかえりなのに心底優しい心を持ち、
頭のキレが凄まじい美人であること。
「普通の生活」には戻れない天涯孤独
であること。

※個人的に頭のいい人が大好きなので、
このようなヒロインに強く引かれてしまう面は否めない。
松岡先生もきっとこういった女性が好きなのだろう。
「萌え」とは異なり、人間として尊敬できる女性だ。


今までに紗崎玲奈、有坂紗奈、優莉結衣みたいなレベルで
頭のキレる人間には、お目にかかったことがありません。
実在するのかもわからないし、いたとしても
きっと能力は、ひた隠しにするものと思われます。

たとえば
さらし粉にアルコール、硫化ソーダー、
洗剤、菓子の詰め合わせ、ライター、バッテリー液……

有機化学の専門家でもないのに、
これらを見ただけでマスタードガスの可能性を一瞬で思いつく人が、
はたしてこの世界に何人存在するでしょうか。

マスタードガスの化学式をパッと書ける人すら
レアであるのが現実でしょう。

こういった人物を創作する松岡先生は、
彼女たち並みのキレモノなのか、とも思ってしまうが、
何ケ月、何年とアイデアを暖めて考え出していることでしょう

そう信じたい笑……。


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松岡圭祐先生の『JKⅡ』に漂う悲壮美

2024-01-20 | 音楽・文学・美術・芸能

2023年の個人的ベスト、と以前紹介した
松岡圭祐先生『JK』『JKⅡ』
https://blog.goo.ne.jp/cameleotino/e/4037f50883adc5f7b1070ca700e7c8aa

『JKⅢ』が出たので、引き続き読んでみた。

https://amzn.to/48HLqnU

全体に漂うのは悲壮美である。
この物語に救いはない。

だが、『JKⅢ』まで読んだ読者であれば、
ヒロイン・有坂紗奈の大ファンになっているはずだ。

なんとか、これ以上ないほどの絶望的状況から、
紗奈を救う手立てはないものか……本気で考えてしまうだろう。
文学部などの授業で、議論・考察してみても面白いかもしれぬ。

あるいはどの段階で方向転換すれば、
紗奈は地獄に落ちないで済んだのか…………。

何より、松岡先生のキャラの立て方には舌を巻くばかりである。

有坂紗奈のキャラを分析すると、
『スレイヤーズ』のリナ=インバースに似ていると言えそうだが、
読んでいてイメージしたのはまったく全く異なる人物像だった。

壮大なテーマも含み、それがちりばめられているので、
特に若い人には是非読んでみて欲しい。

JK → JKⅡ → JKⅢ
と、ぜひ順番とおりに読むのがお勧めだ。

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本物の地獄を見たことがある人間は違う

2024-01-11 | 音楽・文学・美術・芸能

この前、2023年トップに挙げたい小説に
出会ったという記事を書いた。
https://blog.goo.ne.jp/cameleotino/e/4037f50883adc5f7b1070ca700e7c8aa

だが2024年に入ってまもなく、2024年トップになるのではないか
という小説に出会った。


https://amzn.to/3ScUNpP

あの中山七里先生のデビュー作である。
注意点としては、クラシック音楽や音楽理論の
基礎知識がないと、ちょっと退屈なところが多いかもしれない点。
反対に音楽好きであれば、音楽小説としても愉しめる。

ジャンルとしては、「スポ根+ミステリー」といったところ。

年末のブログで、昭和的ド根性論を反省したりもしたけれど、
それでもド根性って、やはりどこか日本人の心を鷲掴みにするものがある。
https://blog.goo.ne.jp/cameleotino/e/510a37c1ed17faf870231769c17478eb

人生に一度でも、ド根性で修羅場に立ち向かった人は、
やはり深みが違う。少し話すとわかる。『胡散臭さ』がない。

企業が高学歴者を好むのも、こうした理由だろう。

※ただ受験勉強は「向き・不向き」が結構エグくて、
軽いジョギングレベルの勉強で
東大理三をクリアするツワモノがいる。
このタイプは、理三以外ならノー勉に近い状態で
入ってきてしまうので注意が必要だ。


「ド根性で修羅場に立ち向かう」というのは、
なにも形に残る実績が残ることばかりではない。

たとえば、最重度のうつ病を乗り越えた、
といったものもあるだろう。

誤解されやすいが、
重度のうつ病では、意外に自殺しない。
治りかけや軽度のうちのほうがはるかに危険だ。

論理的に考えてみるとわかるが、
自殺するのって相当面倒くさい。かなりの行動力を要する。
重度のときは、自死を実行する気力なんて、とてもないのである。

だからこそ、うつ病を乗り越えた実績は他人から見えにくい。

でも、本物の地獄を見たことがある人間は、
意識しなくても、インフレのごとく人間的にレベルアップしているのだ。
自信を持つべきだと思う。

と、またまた昭和的な価値観の記事になってしまったが、
若いときに本当の地獄を見ておくのも悪くはないと思う……――
そんなことを考えさせられる一冊であった。


ただ、中山先生~!😭
単語の使い方の大ミスで一つの場面を台無しにしている。
公園の情景を描くところで「家族連れやアベックが……」という件があるが、
特別な意図なく「アベック」なんていう単語を使ったら、情景がぶち壊しだ……。

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今年トップに挙げたい小説

2023-12-05 | 音楽・文学・美術・芸能

12月になって、
個人的に✨今年トップ✨に挙げたい小説に出会った。
とにかく「面白いから読んでみて!」に尽きる。

ヒロインのキャラが立っていること立っていること。

ちなみにタイトルの「JK」
女子高生という意味だけではない。



ただ冒頭で起こる事件があまりに胸糞過ぎて
読むのが辛くなるかもしれないが、
フラストレーションは回収されるのでご安心を。

また、脳みそが飛び散ったり、目玉を抉り取ったりしまくるし、
性的描写もあるところに注意。
一般的には「R15」といったところか。

※個人的には、子どもだからといって
グロテスク、エロティックな表現から目を背けさせることには
疑問を感じたりもするので微妙なところ。

ストーリーがとてもシンプルで爽快、
かつテーマも明解。
勧善懲悪の童話のようでもある。

まだ「JKⅢ」は読んでいないのだが、読むのが楽しみである。

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『ゆるコワ! ~無敵のJKが心霊スポットに凸しまくる』より

2023-02-28 | 音楽・文学・美術・芸能

ラノベ風小説はこれまであまり読んでこなかったが、
書店で見つけて衝動買いしたのがこれ。



「無敵JK二人が次々と心霊スポットに凸する」
これは間違いなく面白いと思ったのだ。

読んでみたところ、
ストーリーが面白いことは言わずもがな、
キャラが立っていること、立っていること!

中学までは柔道最強で
将来のメダル候補だった桜井梨沙。

美人だが、悪趣味かつ
悪魔的頭脳をもつ茅野循。

最強の武闘家&悪魔的頭脳がコンビを組めば
何も怖いものはないように思えるが、
霊能者が
「あれだけ呪われて怖い想いをすれば懲りるでしょう」
と思っていたところを
「呪われても何とかなるものね。もっとヤバい所へ行きましょう」
となってしまう二人のメンタルもやばい。

現実に身近にいたら、毎日が絶対愉しいと思うのだが、
茅野循の弟いわく、
「だから僕は、この姉(あくま)が苦手」と……。

そんな悪趣味な茅野循も、道路に落ちているイモムシを
木にとめてやったりして、何気にいいヤツだったりする。

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なぜクリスマスは12月25日?

2022-12-20 | 音楽・文学・美術・芸能

そういえば、まもなくなんですね。

喪中でなかなかそういうムードになれませんでしたが、
(独身・彼女なしの言い訳でもありますが……)
youtubeでクリスマスソングを流しています。

クリスマスって実際はイエス・キリストの誕生日ではない、
という説もありますね。

12月末というと
冬至を過ぎて寒が極まってくる、一番暗くしんどいシーズンとも言えます。

私が思うに、明るく愉しいイベントでもなきゃ、やってらんねえ!
ということで作られたのがクリスマス。

stille nacht with lyrics
ところで、クリスマスソングといえばこれではないでしょうか↑
大学でドイツ語の授業のときに暗記しましたが、
やはりドイツ語版が一番美しいですね。

教会のオルガンが壊れるというトラブルで
大至急作曲された曲とのことです。

もし、トラブルがなければ
きよしこの夜(stille nacht)という名曲は
この世に存在しなかったことでしょう。

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『屍人荘の殺人』、最高だった!

2022-10-25 | 音楽・文学・美術・芸能

書店で平積みになっていたので衝動買い。

ミステリー界で話題となった今村昌弘氏の
『屍人荘の殺人』

個人的にはメチャクチャ面白かった。
いざ読み始めたら、
寝不足注意! 仕事放置注意!!

話題作なので、世間ではどんな意見があるのか、
調べてみると以下のような意見が多かった。

それに対して私の見解を述べてみようと思う。

●剣崎比留子のキャラが好きになれない
ヒロインの好き嫌いが大きく分かれるようです。
私は大いに好感を持て、現実にいたら付き合いたいです笑。
(高嶺の花でしょうが……)
個人的に「頭の切れる女性」って大好きなので。


●犯人の動機が弱い
私はそうは思いませんでした。
この動機が理解できないのは、「木石のよう」とまでは言いませんが、
(↑言っちゃってるぢゃん……)
些か寂しいのではないかと思います。


●本格ミステリーに〇〇〇を出すのはありか
※皆様マナーがよい方が多く、ネタバレとなる所は
〇〇〇にしていたので、私も倣って〇〇〇にしました。

私はぜんぜんアリだと思いました。
リアリティを持たせることができれば、
どんなものを登場させてもよいのではないでしょうか。

●ライトノベルっぽい
これもぜんぜんアリだと思います。
純文学、エンタメ、ラノベ、ライトミステリー……
こういった分類自体がナンセンスで、
今後はこういった境界がなくなっていくのではないでしょうか。

●トリックがわかりにくい
ここは私も少し同意します。
図を描いたり、情報を整理しないと理解できない所がありました。
すっきりわかる爽快感があると、もっと凄い作品になったのではないか。

●若い人のノリにはついていけん
著者が若かったためか、ラノベ風であったためか、
登場人物ほとんどが若者であったためか、
「若い人の書くものはわからん」みたいな意見もちらほら。

「最近の若いもんは……」という言い回しは、
遅くとも平安時代からあったそうなので、
こういう意見が出るのも然りと思います。
私は精神年齢が低いからか、十分に楽しめました。

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『家庭教師のトラコ』最終回~教育者として

2022-09-22 | 音楽・文学・美術・芸能

最近滅多に見てなかった「ドラマ」。
昨夜最終回だった『家庭教師のトラコ』
全回真剣に見てしまった。

トラコを歩道橋から突き落として殺そうとしたのは誰か、
が明らかにさらないなど、いくつか謎を残しつつ
伏線や問題がとっちらかったまま幕を閉じたところは純文学っぽい。

印象に残ったシーンの一つが
下山高志と父親とのやり取りのシーン。
父親が「お前も大きくなったんだな」と言って
高志の言い分を飲むシーンにて、

よい親は、
子どもが親を越えていくことを望み喜ぶ。
悪い親は、
子どもが成長するのを恐れたり生意気だと怒ったりする。
というのを思い出した。

ラストではトラコが金八先生化し笑、
3つの好きな言葉を述べる。

覚悟・勇気・愛

愛はともかくとして、
世の中を見ると、猫も杓子も保身、保身、保身、で
勇気も覚悟もない輩に溢れている。

その最たるものが、ネットなどに魑魅魍魎と跋扈する、
匿名かつ顔も出さずに誹謗中傷を繰り出す輩だろう。

私も教員として、
勇気や覚悟を伝えられるようになりたいと心から思った。

いち教育者としても学ぶことの多いドラマだ。

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『家庭教師のトラコ』、気になった意見

2022-09-07 | 音楽・文学・美術・芸能

最近は滅多にドラマを見てなかったけれど、
『家庭教師のトラコ』はずっと見てきた。

教育者の端くれとして、
このドラマは見なければ、と思ったのもある。

ネットの評判を見ると、
・内容が偏り過ぎている、
・どんどん冷めていく、
・痛すぎる、中二病みたいだ……
という否定的なものが目立つが、
私が恐ろしく単純なせいか、
それなりに楽しめているし共感・感動もできる。

ネットを見ていて気になった意見は
「この脚本家は富裕層に恨みでもあるのか」
というものだ。

たしかに『クソみたいなお金の使い方』として、
「宇宙へ行ったり」と明らかに
某M氏を糾弾するような台詞等も見受けられたりする。

でも実際問題、幼い頃から恵まれない環境で育つと、
恵まれた成功者を親の仇のように憎悪てしまう、
という心理はわりあい不変なものなのだ。

※「あしながおじさん」でも、
ジュディ・アボットがお金持ちを病的にディスる描写は多い。

だから、主人公(トラコ)のやさぐれた行動も、
リアリティがあると私は感じたのだが、
こうした描写を見るに堪えない(イタい)と感じている人が
どうやら少なくないようなのだ。

現代日本人(だけかわからないが)は恵まれない人に厳しく、
恵まれた人に甘すぎる。

見るに耐えないと叩かれるトラコに対して、
某M氏には「税金も収めてるんだし、努力して成功したんだからいいじゃん」
みたいな意見が目立ち、あまり批判の声はない。
(もちろんそれなりにアンチはいるけれど)

個人的にはM氏は好きになれぬ。

Mが宇宙へ言って、世界で何かが大きく変わったか。
少なくとも大きなニュースにはなっていない。

M氏が人格者であれば、宇宙旅行は
天文少年(天文少女)や余命が短い人などへ
プレゼントしていたはずだ。

年収100億円稼いだのであれば、
99億を寄付して、1億でつつましく生活する。

それがトラコの言う正しいお金の使い方であり
富裕層の品格ではないか。

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「ほん怖」が弁護士から抗議された件について

2022-08-25 | 音楽・文学・美術・芸能

先日このブログでもお話した、
ほんとにあった怖い話 夏の特別編2022について。

動画でもお話したところ、



「霊感商法を助長させる」と
便後紙が抗議をしたということだ。

★紀藤正樹弁護士 フジ〝ほん怖〟で
霊能者出演に抗議「放送倫理に触れる可能性がある」
https://news.yahoo.co.jp/articles/469514a98763fac9a6fbd47b86b72ff1ca9c201a


「霊感商法が跋扈する」という現象と
「霊的なものを信じる人が増える」という現象は
切り離して考えるべきだと思う。

※「霊的なものを信じる人が増える」結果、
危ない世界に走る人が増えることへの対処は
以下ブログで触れました。

●妙な宗教に絶対洗脳されない技術
https://blog.goo.ne.jp/cameleotino/e/066994788c716becd91ee6131af34d07

とりあえずは、霊感商法やカルト宗教が
跋扈することへの対処療法を考えてみたい。

マルチ商法の勧誘においては
特商法で『ブラインド勧誘』が禁止されている。

つまり、「お茶でもしない?」と誘い出して勧誘するのは犯罪。

「アムウェイっていうマルチビジネスを始めたんだけれど、
あなたを勧誘したいから時間をちょうだい」
と目的・身分を明らかにして呼び出さねばならない。

※たしか去年、初の逮捕者も出ました。

宗教の勧誘にも「特商法」を拡大解釈し、
『ブラインド勧誘』を禁止してはどうか。

宗教活動をしようとするときには、
あらかじめ「スズメガ愛好教の金子大輔と申します。
あなたを勧誘したいのでお時間をください」
のように、所属と本名、目的を告げることを義務付ける。

あくまで対処療法だけれど、
これで宗教や霊感が絡む被害をかなり減らせるはずである。

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