生き物好き気象予報士&理科教員、公認心理師・金子大輔(金兵衛)のブログ~通り雨の旅路~

拙著10冊目出版、ぜひ読んでね!おかげ様で18年続いている老舗ブログです。

台風10号関係の一連の大雨

2024-08-31 | 天気・気象

台風10号本体の雲は、屋久島の高い山に当たり、
短時間で形が崩れてしまいました。

しかし、それでは終わらないのが
今回の台風の厄介なところ……。



台風10号は形が壊れてからも猛威を奮う
「ガラスの破片型」の台風と言えましょう。




台風の循環に伴い、
南から非常に湿った暖かな空気(赤道気団)+南海上の積乱雲を
次々と呼びこみ、太平洋側で大雨傾向が続いています。

南海上の積乱雲は
①上陸したとき
②山を登るとき
などに急発達することがあるので特に恐れられます。
しかも、今回は大気の状態も不安定。
積乱雲の急発達が起こったところでは、雷が鳴ったりしています⚡

なお一時「台風消滅」がtwitterのトレンドになったりもしましたが、
まだ台風10号は生きています

広範囲でこんなにボコボコ積乱雲が湧くのは、
通常の状態ではない(「赤道気団」が入り込んでいる)し、
反時計回りの循環も維持されています。



たしかに風速が弱まってきたことは否めないので、
近日中に熱帯低気圧に変わるでしょう。

台風の最期として
①温帯低気圧になる
②熱帯低気圧になる

の2パターンがあります。

寒気が流れ込んで構造が変わるのが①、
風速が弱まって17.2mを下回るのが②。

今回は②パターン。
風は弱まるが、依然として熱帯の空気(赤道気団)を伴い続けるので、
雨に注意が必要なことは変わりありません。

江戸川区では、またライ様⚡が鳴り始めました。
今後の最新情報にご注意ください。
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台風7号が華麗に関東地方から逸れた原因

2024-08-17 | 天気・気象
940hPaという前代未聞の勢力
関東地方に上陸すると恐れらた台風7号。

もし上陸していれば、2019年の房総半島台風を上回る
大惨事になっていた可能性もあります。
(房総半島台風は955hPa)



しかし台風7号は、奇跡的に、直前に進路を北東に変えたため、
千葉県の銚子や館山すら
暴風域に巻き込まれない
ありさまとなった。

【最大瞬間風速】
千葉県銚子市:26.7m
千葉県館山市:20.0m
東京都心:16.3m


【24時間雨量】
千葉県大多喜町:171.5mm
千葉県勝浦市:158.5mm
千葉県鴨川市:156.5mm
東京都心:90mm




台風が逸れた原因はいろいろ考えられるが、
一つとしては、予想されたほど発達しなかったこと。



一般に台風は、太平洋高気圧の縁を進む。

台風は低気圧のなかまなので、上昇気流が起こって雲を作る。
太平洋高気圧は、高気圧なので下降気流で雲を消す。

台風で上昇させられた空気は、最終的に
太平洋高気圧で下降していくので、
台風が発達すればするほど、
つまり上昇気流が強まれば強まるほど、太平洋高気圧も強化
される。

すると、太平洋高気圧を避けるように
台風の進路も西に寄っていくというわけである。

今回は940hPaまでなかなか発達しなかったため、
太平洋高気圧の勢力が予想より弱めになり、
進路が大きく東に逸れたと思われます。

台風と一般の温帯低気圧の違いは、
風雨が強い範囲の広さです。
台風では、温帯低気圧に比べてかなり暴風域が狭いので、
ほんの少し進路をはずれるだけで、だいぶマシになります。


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【自由研究ネタに】マニアックトーク~雲の巻

2024-08-13 | 天気・気象
空を見上げると、雲にも実にいろいろあり、
まったく同じものは二度と現れません。

人間は「分類」が大好きな生き物なので
無数の雲を10種類に分類しました。

分類の際は「形」「高さ」「降水の有無」
に着目します。

形:もくもくしていたら「積」
  平たくスーっとした感じなら「層」


高さ:高層なら「巻」、中層なら「高」
   下層は何もつけない


降水:まとまった降水をもたらすものは「乱」


以上により命名すると、以下の10種類になります。
(雄大積雲は積雲の一種)



まとまった雨や雪をもたらすのは乱層雲か積乱雲ですが、
にわか雨は積雲から、霧雨は層雲から、
ごく弱い雨は高層雲や層積雲からもたらされることもあります。

夏の積乱雲は、ときに高度17000mくらいまで成長します。
またソースは不明なのですが、オーストラリア沖などでは
高度20000mを越える巨大積乱雲もしばしば現れるといいます。

さらにマニアックには10の雲形は、たくさんの種に分けられます。
下位の種については、また別記事で書きたいと思います。

●巻雲
・毛状巻雲
・鉤状巻雲
・濃密巻雲
・塔状巻雲
・房状巻雲

●巻層雲
・毛状巻層雲
・霧状巻層雲

●巻積雲
・層状積巻雲
・レンズ状巻積雲
・塔状巻積雲
・房状巻積雲

●高積雲
・層状高積雲
・レンズ状高積雲
・塔状高積雲
・房状高積雲
・ロール状高積雲

●層積雲
・層状層積雲
・レンズ状層積雲
・塔状層積雲
・房状層積雲
・ロール状層積雲

●層雲
・霧状層雲
・断片層雲

●積雲
・扁平積雲
・並積雲
・雄大積雲
・断片積雲

●積乱雲
・無毛積乱雲
・多毛積乱雲……いわゆる「かなとこ雲」

※高層雲、乱層雲は下位の種をもちません。
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【自由研究ネタ】日本式天気記号のすべて

2024-08-09 | 天気・気象
小学校、または中学校で学習する天気記号。
マイナーなものも含めると、なんと21種類あります。

晴れや曇りなど毎日のように使われるものから、
雹やちり煙霧のように、
何十年に一回しか出現しない激レアものもあります。

せっかくなので、
ここですべての日本式天気記号を紹介します。
自由研究などなど、何かで使えるかも……。

※なお国際式天気記号では100種類の天気記号を使います。



・快晴:全天で雲が1割以下
・晴れ:全天で雲が2~8割
・曇り:全天で雲が9割以上


・ちり煙霧:小さい粒子が風塵に吹き上げられ、
空気中に浮遊した状態。しばしば黄砂に伴う。

・煙霧:ごく小さいかわいた粒子が大気中に浮遊している現象。
風塵が原因と特定できない。

・砂じんあらし:砂嵐。砂漠で頻発。空中の砂塵により、
見通しが著しく低下する。


・雨強し:1時間に15㎜以上の雨が降っている状態。

・雪強し:1時間に3㎜以上の降水が雪として降っている状態。
※1㎜の降水が雪になれば、積雪は1~10㎝程度。
(気温や湿度に大きく左右される)

・にわか雨・雪:積雲や積乱雲から降る雨・雪。
急に強くなったり弱まったりする。

・地吹雪:積もった雪が強風に飛ばされ、舞い上がっている状態。

・みぞれ(霙):雨と雪が混じって降っている状態。



・あられ(霰):直径5㎜未満の氷の粒が降っている状態。

雪あられ、氷あられ、凍雨がある。
雪あられ、氷あられは積乱雲から降るが、凍雨は主に乱層雲から降る。
氷あられは季節問わず降るが、雪あられ、凍雨は冬の低温時に降る。

・ひょう(雹):直径5㎜以上の氷が降っている状態。
たいてい激しく雷を伴う。


※1917年6月29日には熊谷で
直径29.6㎝の雹(カボチャ大)が降った。

・天気不明:天気がわからない状態。
人のいない海洋ブイや無人島の観測地的でよく出る。
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最暑の夏!?明治からの気温を調べてみた

2024-08-02 | 天気・気象
2024年7月は、観測史上最も暑い7月になったというが、
とにもかくにも、今年は暑い!

そこで、明治の頃からの東京における年間最高気温を調べてみた。

昭和に入ると38℃越えの日が出現し始め、
平成以降は39℃越えもちらほらみられるようになった。



体感温度は、気温以外に湿度も大きく影響する。
一般に湿度が高いほど、暑く感じる。
中東の人からも、東京の夏はしんどいと言われる所以である。

湿度が低いと、汗が蒸発しやすく、
どんどん気化熱を奪ってくれるが、
湿度が高いと汗があまり蒸発しない。

湿度が高い日本では、
ベッタリとした蒸し暑さが風物詩になるというわけである。

温度&湿度を組み合わせた物理量としては
「露点」もしくは「蒸気圧」を見るとよい。

2024年7月の東京で、私が見た範囲で
なかなかだと思ったのは、

蒸気圧:37.7 露点:28.0℃
気温:29.2℃ 湿度93%(27日19時)

蒸気圧:37.4 露点:27.8℃
気温:34.6℃ 湿度68%(28日15時)


35℃近くで湿度70%近いって、蒸し風呂そのものである。
そのうち、露点30℃超えも出るかもしれない……。
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850hPa(上空1500m)の気温と雨雪判断

2024-02-17 | 天気・気象

東京で雨になるか雪になるか……
を考察するときには、
館野(茨城県)の上空約1500mの気温を使うことが多い。

地表気温は正確な予想が難しいうえ、
変化が大きいのでデータとして扱いにくい。

東京の雨雪診断では
わずか0.5℃の誤差で、結果に雲泥の違いが出る。

その点、上空1500mになると日照の影響をほとんど受けなくなり、
純粋に寒気・暖気の動向が捕らえられるのである。

過去の大雪事例を見てみると
やはり「-3℃は欲しい」というのがわかる。

-5℃以下になれば
安定して大雪となる可能性濃厚だ。

-9℃クラスともなれば、
銚子や館山、静岡でも積雪ゲットの可能性が出てくる。

※ただ、1995年3月4日のように
-5.7℃でほぼ雨で経過した事例もあるから難しい。
このときは「東京で20~25cmの大雪」という予報が出ました。

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【2024年2月5日】関東大荒れ!大雪と激しい雷

2024-02-06 | 天気・気象

東京は2年ぶりの大雪
昨日は明らかに、
生徒たちのテンションも上がっていました笑
雪が滅多に降らない地域あるあるですね。

最大積雪深は、東京8cm、河口湖26cm、秩父27cm、甲府12cm
前橋11cm、宇都宮4cm、水戸1cm、横浜4cm、千葉3cmなど。

多くの所で、気温がプラスの状態で降ったので、
降水量のわりに積雪が伸びなかったパターンといえよう。

今回の大雪の特徴は、なんといっても発雷の激しさです。
雨雪問わず、南岸低気圧でここまで発雷するのは、
極めて珍しいのではないでしょうか。

そんなことも含め、動画にまとめてみましたので、
是非是非ご覧ください。 

【2024年2月5日】関東大荒れ!大雪と激しい雷

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【2024年1月13日】東京・千葉など大荒れ!関東では珍しい雷雪

2024-01-14 | 天気・気象

13日は関東南部、東京や千葉を中心に
「夕立の冬バージョン」と言ってよいほどの、
シビア現象に見舞われた⛄⚡。

千葉県を中心に落雷も激しく、激しい降水で
瞬く間に真っ白になってしまった地域もあるようだ。

上空の寒気で「チラ雪」が降るのはさほど珍しくないが、
関東で夏の雷雨のような様相を見せるのは極めて稀。

「雷を伴った雪」も日本海側では日常茶飯事だが、
東京では10年に1回レベルの椿事だ。

過去、関東での雷を伴った強い雪としては、

2014年2月14日(南岸低気圧)
2000年2月8日(ポーラーロー)
1998年3月1日(ポーラーロー+南岸低気圧)
1998年1月8日(南岸低気圧)
1994年2月12日(南岸低気圧)
1992年2月1日(南岸低気圧)

などが思い浮かぶ。

※動画にまとめてみたので、ぜひご覧ください。
【2024年1月13日】東京・千葉など大荒れ!関東では珍しい雷雪

なお、他人のことはあまり言えないかもしれないが、
雷雪の情景ウオッチングで気づいたのは、
都会人は危機意識が低過ぎるということ。

空が真っ暗になり、雷が鳴り出しても
外で遊んでいる親子(小さな子ども)が少なくないのだ。
土砂降りになってから、ようやく帰ろうとする……。

――あんたがた、文明社会に守られて生きていられるかもしれんが、
大自然の中へ行ったら、まず五体満足で帰って来られんぞ――。

こういう「都会人」が、登山やキャンプ、山スキーなどに
興味を持つことがないように、と思ってしまう。

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東京は大雪? 下一桁が4の冬はヤバい説

2023-12-16 | 天気・気象

この冬、個人的には東京で大雪が降ると思っている⛄。

過去の状況を見て見ると、

2014年:2月8日、14日と2週連続で東京27cm。
2004年:何もなし
1994年:2月12日東京23cm
1984年:東京で降雪29日、大雪警報4回という伝説の冬

2004年以外、下一桁が4の年には
東京が記録的な大雪、豪雪に見舞われているのだ。

さらにもっと昔まで見て見ると、

1974年:東京で降雪17日、3月27日に7cm(晩雪)
1964年:東京、2月後半に8日降雪
1954年:1月24日に東京30cm?

1984~2014年に比べると些かインパクトが小さくなるが、
やはり下一桁が4の年は要注意
というジンクスは成り立つようである。

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気が狂いそうな激情、どうすればいいのか

2023-06-30 | 天気・気象

世の皆さまは、気が狂いそうな激情をどう処理しているのだろうか?

28日は悔しさのあまり、本当に頭がおかしくなりそうで、
とりあえず寝て感情を静めましたZzz。
いわゆるふて寝というやつか……。

いったい何が起こったか?





そう、江戸川区が、超一級の積乱雲にギリギリで避けられたのです!!
こんなこと、許せますか~??

「来るぞ、来るぞ~……」とカメラフル充電で備え、
植木への水上げもしないで雷雨に期待していたのに!

「宝くじ1等を1違いで逃した人」
「江戸川乱歩賞に最終選考で落ちた人」
なんかが味わう感情とよく似ているのかもしれない。

巨人が負けたときの昭和おじさんなんかも。

そういった方々は感情の処理をいったいどうしているのだろうか。

毎年のこととはいえ、
気象予報士(気象ヲタ)としては気が変になりそうである笑

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