この間、防衛局が、辺野古側に大浦湾埋立用土砂を仮置きする2件の工事(シュワブ(R5)造成工事(1工区、2工区))を発注した問題を取り上げてきた。辺野古側への土砂仮置きは、設計変更申請の内容であるため、知事が設計変更申請を不承認としている現状では違法工事となる。
我々は6月15日、19日、沖縄県知事公室長・土木建築部長への申入れを行い、6月19日には沖縄防衛局長交渉で追及した。県は「重大な疑義がある」として、2回にわたって防衛局に質問、入札手続きの中止を求めたが、防衛局は契約を強行してしまった。8月17日に防衛局から2回目の回答が来たので、今月中にも県と再度、話し合う予定だ。
そうした中で、この2件の工事について、また、新たな問題が見つかった。
国会議員さんにお願いしていた2件の工事の設計図書が一昨日、送られてきた。特記仕様書を見ると、仮置きする土砂(岩ズリ)の細粒分含有率が「40%以下」と指定されている。これはおかしいとすぐに気がついた。
細粒分含有率とは、材料(粒径75mm未満)に含まれる細粒分(粒径0.075mm未満)の割合で、粘土などは微粒子分が多いので細粒分含有率が大きくなり、砂の場合は小さくなる。埋立に細粒分含有率の大きい土砂を使うと海の汚濁につながる。
当初の環境保全図書では、辺野古の埋立に使用する土砂の細粒分含有率を「概ね10%前後」としていたが、2018年、防衛局は辺野古の埋立工事を始めた際、細粒分含有率を「40%以下」として発注した。実際に搬送された土砂も、赤土混りの粘土だった。
このことが問題となり、県は再三、行政指導を繰り返し、当時の謝花副知事も「これだけ政府の対応がひどければ、2回目の承認撤回を考えざるを得ない」と防衛局を批判した。しかし防衛大臣は、「外周護岸により閉鎖的な水域をつくり、その中に土砂を投入する場合は、10%でなくてもよい」と弁明して埋立工事を強行したのである。
今回、辺野古側に仮置きする土砂は、大浦湾の埋立のためのものである。大浦湾の埋立は、外周護岸を仕切る前に土砂を投入する先行埋立が行われる。その土砂の細粒分含有率が「40%以下」というのは、当時の防衛大臣の説明からいっても通用しない。
この土砂仮置き工事に着手させてはならない。県の毅然とした対応が望まれる。