現在、本部港(塩川地区)と琉球セメント安和桟橋から辺野古埋立のための土砂海上搬送が続いている。多くの問題があるが、まず、本部港(塩川地区)の岸壁使用許可の問題について指摘したい。県と本部町が条例の趣旨どおり運用すれば、辺野古への埋立土砂搬送を大幅に遅らせることができる。
本部港(塩川地区)は県の港湾だが、一部の事務が本部町に委譲されている。岸壁使用許可は本部町に委譲されており、岸壁を使用するためには、沖縄県港湾管理条例施行規則に基づき岸壁使用許可申請書(3号様式)を事前に本部町に提出し、町長の許可が必要である。
下の3号様式を見ても分かるように、「着岸日時」と「離岸日時」を記載するようになっている。これは、毎回の着岸、離岸の毎に申請が必要という意味である。
ところが、この手続きは現在、全く無視されてしまっている。下は、今回の辺野古への土砂搬送船の岸壁使用許可申請書である。ここでは、「着岸日時:6月1日、離岸日時:9月30日」として申請されている。この申請に対して本部町は、「6月1日~6月30日」という岸壁使用許可を出した。すなわち1ケ月の間、入港・出港が自由ということとなっている。これは前述のように、3号様式の趣旨を逸脱したものであり、条例施行規則にも抵触することは明らかであろう。
このような岸壁使用許可の出し方は本部町だけの問題ではない。以前、奥港から辺野古への石材搬送が問題となったことがある。奥港の岸壁使用許可は県が出しているが、その際、県は、「出港予定日時:平成27年4月10日、出港予定日時:平成28年3月31日」というような1年間の岸壁使用許可を出してしまった。今回の本部町の1ケ月の岸壁使用許可も県の方針に従ったものであろう。
8月30日、オール沖縄会議現闘部会が謝花副知事と意見交換した際、我々は「条例の趣旨どおり、毎回の入港・出港の際に岸壁使用許可申請をさせるべきだと指摘した。
同席した上原土建部長は、「船舶の施設使用に関しては、天候や波浪等の状況で変更を生じる場合がある。細かな日時までそのたびに提出させることは難しい」と弁明した。しかし、施工条例の3号様式の(注)には、「この申請書は、入港の前日の正午又は24時間前までのいずれか早い時刻までに必ず提出すること」と記載されている。入港の前日までに、そのたびに提出させることは港湾管理条例の定めであり、それを勝手に、1ケ月単位の許可を出すことは許されない。
県、本部町は、港湾管理条例にもとづき、毎回の入港・出港のたびに岸壁使用許可を提出させなければならない。そうすれば、辺野古への土砂搬送のペースも大幅に遅らせることができる。
私たちは無理難題を言っているだろうか? 条例を遵守せよと言っているのだ。辺野古新基地建設をどうして阻止させるか、あるいは大幅に遅らせるかという観点から、条例・規則等を活用しなければならない。県の再考を期待したい。