チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

大浦湾での工事開始か! 本部塩川港から大浦湾への石材投下(海上ヤード工)のための石材搬送が始まった! --- 沖縄平和市民連絡会は知事宛に、「大浦湾での工事開始に関する要請書」を提出!

2024年01月05日 | 沖縄日記・辺野古
 今朝(1月5日・金)から、本部塩川港での基礎捨石(石材)の積出が始まりました。大浦湾の海上ヤード造成工事に着手したものと思われます。国による設計変更申請の代執行を受け、とうとう大浦湾での工事が始まります。
 沖縄平和市民連絡会はちょうど知事に「大浦湾の工事着手に関する要請書」(末尾に全文掲載)を出そうとしていたのですが、捨石搬出の連絡を受け、ただちに県を訪れ、「実施設計協議も行われておらず工事着手は埋立承認の際の留意事項違反であるため、ただちに中止させること」等、4項目の申入れをしました。
 しかも、石材は海中投棄するものですが、洗浄した形跡がなく全く濡れていません。2017年当時の護岸工事では、海に投下する石材については、1次洗浄として採石場でダンプに積んだ状態で150秒間洗浄、そしてシュワブの現場でも、水槽に付けて2次洗浄するとされていました。海上ヤード造成等では膨大な量の石材が使われますから、洗浄をしない場合、大浦湾の深刻な汚濁を引き起こします。もちろん、環境保全図書の内容に反しています。
 対応した県の担当者は、これらの問題について防衛局に照会すると約束しました。県には、違法な工事を中止させるための毅然とした対応が求められます。

 

 (本部塩川港で始まった捨石の海上搬送)

 

      (工事は、まず、海上ヤード造成から始まる(設計変更環境保全図書)

 

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<本日、知事宛に手出した要請書全文>

 

沖縄県知事 玉城デニー様           2024年1月5日

                                   

  辺野古新基地建設事業・大浦湾での工事着手に関する要請書

                         沖縄平和市民連絡会

 

 昨年12月28日、国土交通大臣は沖縄防衛局が提出していた辺野古・設計変更申請を知事に代わって承認してしまいました。地方自治体の法定受託事務を国が代執行したのは全国でも初めてのことで、憲法で定められた地方自治の本意をないがしろにしたものです。私たちは、知事が代執行訴訟の不当判決に屈せず、辺野古新基地建設反対の立場を貫かれたことを評価し、心からの敬意を表します。

 今後はまず、最高裁の上告審で大法廷への回付を求め、徹底した審理が行われるよう全力をあげてください。そしてこの間、何度も要請してきたように、再度の埋立承認の撤回に向け、有識者による第3者委員会の設置を検討されるよう要請します。

 ただ、設計変更申請が代執行で承認されてしまったことにより、防衛局は、1月中旬にも大浦湾での工事を始めると報道されています(今日(1月5日)、本部塩川港から捨石(大型石材)の搬送が始まっており、海上ヤードの工事に着手した可能性があります)。しかし、まだ工事着手の条件は整っておらず、このまま大浦湾の工事に着手することは認められません。

 知事として、防衛局に対して毅然とした対応をとられるよう、下記のとおり緊急に要請します。 

1.実施設計の事前協議が終了するまで大浦湾の工事に着手させないこと

2.海上ヤード工事等で投下する大量の石材の洗浄方法を確認すること

3.A護岸の造成には、再度の設計変更申請が必要であること

4.遺骨混りの沖縄南部地区からの埋立土砂搬送を許さないこと

  

          記

 

1.実施設計の事前協議が終了するまで大浦湾の工事に着手させないこと

 辺野古新基地建設事業の埋立承認書(2013年12月27日)には、「工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと」等の留意事項が付されています。

 民間の事業では、実施設計認可の申請を要するという免許条件が付された場合、「不認可の処分があったときは、埋立免許はその効力を失う」(公有水面埋立法第34条)とされています。国の事業では、実施設計についてのこの条文は準用されず、今回のように承認の際の留意事項で「協議」を指示する場合が多いようですが、実施設計の重要性は民間の場合と異なるものではありません。

 昨年3月16日の「是正指示」に関する福岡高裁那覇支部判決でも、「承認等の申請に対する審査の後に、実施設計を行う段階において、より詳細な審査又は協議が行われることが予定されている」とされています。設計変更申請が代執行で承認されたとしても、その後の実施設計で、「より詳細な審査又は協議」を行わなければならないのです。

 今回、防衛局は、昨年9月21日、大浦湾の4件の護岸工事等の「実施設計書」と称する文書を提出しました。これに対して県は、「変更申請が承認されていないため実施設計の協議には応じられない」と回答したと報じられています。

 2015年当時、防衛局は大浦湾の一部の護岸工についての「実施設計書」を提出しましたが、県は、「一部ではなく、全体の実施設計が完了しなければ環境への影響が判断できず、協議を開始することはできない」、「実施設計は、本体工事だけではなく、埋立承認願書の『設計の概要』の工事について行うものである」(2015年9月30日 県の防衛局への文書)として、防衛局の主張をはねつけたはずです(防衛局は一方的に協議を打ち切りましたが)

 実施設計の問題点について下記のとおり要請します。


1-1.県は、防衛局が昨年9月21日に提出した「実施設計書」と称する文書等の公文書公開請求に対して、開示決定の期間を延長しました。そのため、この文書の詳細は分かりませんが、防衛局が提出したのは、「一部の護岸工」だけではなく、全ての実施設計書だったのでしょうか。また、その内容は、「より詳細な審査又は協議」といえるものでしょうか。そして県は、すでに実施設計の協議に入ったのかを説明してください。

 2015年当時の県の対応からすれば、昨年9月に提出された文書はいったん差し戻し、改めて補正した文書を提出させるべきと考えます。この文書についての県としての見解をお示しください。

 

1-2.防衛局は「1月中旬」(1月12日という報道が多くあります)にも大浦湾での工事に着手するとしていますが、実施設計協議が終るまでは着工しないよう防衛局を厳しく指導してください。 

 

2.海上ヤード工事等で投下する大量の石材の洗浄方法を確認すること

 設計変更申請が代執行で承認されたことにより、まず大浦湾の奥(瀬嵩近く)で海上ヤード工事が始まります。この工事は、大浦湾の奥に3年以上もの長期間(設計変更申請「環境保全図書」1-37)にわたって大量の基礎捨石(約9万㎥(ダンプトラック約3万台分))を投下し、ケーソンの仮置場となる巨大なマウンド(台座)を造成するものです(その後、K5~7護岸工、N1~2護岸工、揚土場、ケーソン護岸工等の造成でもさらに大量の石材が投下されます)

 大量の石材投下により海の汚濁が危惧されるため、当初の環境保全図書等では「石材の洗浄」が条件とされていました。また、当時の護岸工事の特記仕様書(「シュワブ(H26)傾斜堤護岸新設工事」等)でも「石材の洗浄」が明記されていました。

 それでも、2017年当時の傾斜提護岸の造成の際、石材投下に伴い海が白濁したことから、石材が洗浄されていないのではないかと問題となりました。当時、防衛局も、「<1次洗浄>採石場でダンプトラック1台につき、150秒間の洗浄」、「<2次洗浄>シュワブ内で、石材をバックホウで水槽に入れて洗浄」を行うとしていたのです(「シュワブ(H26)傾斜堤護岸新設工事」施工計画書等)。

 ところが今回の海上ヤード工(「シュワブ(R5)C1護岸新設工事」)の特記仕様書には、従来の工事にあった「石材の洗浄」の記載が無くなっています。今回の工事は投下する石材の量、投下期間等からいっても、従来の工事以上に慎重な汚濁対策が必要となることはいうまでもありません(すぐ西側の塊状ハマサンゴ群落への影響も危惧されます)。さらに徹底的な石材の1次洗浄、2次洗浄が必要です。

 さらに海上ヤード設置箇所の海底は、N値ゼロの軟弱な地盤です。防衛局は海上ヤード周辺のBK1、BK2、BK3、BK4の4地点でボーリング調査を行いましたが、どの地点でもN値ゼロという軟弱な地盤が厚く続いています。このままでは海上ヤードの安定性は確保できません(辺野古調査団のS氏(土木技術士))は、「-12mマウンドの安定性は確保できない」と指摘しています)。

 海上ヤード工について、下記のとおり要請します。

 

2-1.海上ヤード工等では大量の石材が海に投下されますが、採石場での1次洗浄、シュワブでの2次洗浄を2017年当時以上に徹底するよう防衛局に指示してください。

 

2-2.2017年当時、県は、石材洗浄の状況等を確認するために採石場への立入調査、試料提出等を求めましたが、防衛局が許否した経過があります。今回は石材の量も多く、深刻な影響が危惧されるため、採石場への立入調査を必ず実施してください。

 

2-3.海上ヤード設置箇所の基礎地盤がN値ゼロの軟弱な地盤であり、安定性が確保できないという専門家の指摘があります。県は実施設計協議において、海上ヤードの安定性について審査してください(2015年当時、防衛局は「仮設構造物は実施設計協議不要」と主張していましたが、海上ヤードを存置するのであれば仮設構造物とはいえません)

 なお、海上ヤードは設計概要説明書や環境保全図書では事業終了後、撤去するとされていますが、防衛局は、「撤去するのか、生物の生息場として存置するのかを改めて判断する」(「設計変更申請 環境保全図書」1-126)ともいっています。撤去しないのであれば環境保全図書の変更となり、埋立留意事項に基づき、知事の承認が必要ではありませんか。

 

2-4.防衛局に対して、石材の洗浄、海上ヤードの安定性等についての確認が終るまで、海上ヤード造成のための石材の投下は行わないよう指示してください。 

 

3.A護岸の造成には、再度の設計変更申請が必要であること

 今回、代執行で承認された設計変更申請書の「4.設計の概要」には、A護岸工について、「地盤改良船を用いたサンドドレーン工法による地盤改良を行いつつ、杭打船による二重鋼管矢板の打設でA護岸を造成する」(P10)とされています(「設計の概要」の「A護岸工の構造」には「基礎工:地盤改良(サンドドレーン工法)」の記載はなく、「A護岸については、中詰土の沈下対策として、必要な個所に地盤改良(サンドドレーン工法)を行う」という記載があるだけである(P8))

 しかし、今回発注された「シュワブ(R5)A護岸新設等工事」の設計図書には、A護岸部に地盤改良(サンドドレーン工法)の記載はありません。

 この問題について、下記のとおり要請します。

 

3-1.A護岸工の造成にあたってサンドドレーン工法による地盤改良を行わないのであれば、設計変更申請書の変更となりますから、改めて設計変更申請を行わなければなりません。防衛局に対して、それまでは、A護岸を造成してはならないと指示してください。

 

4.遺骨混りの沖縄南部地区からの埋立土砂搬送を許さないこと

 今回の設計変更申請では、沖縄南部地区(糸満市・八重瀬町)だけで、辺野古埋立に必要な岩ズリ量(1,690万㎥)の2倍近い岩ズリの調達が可能とされているため、遺骨混りの土砂が大浦湾の埋立に使用されるおそれがあるとして大きな問題になってきました。

 知事は、2021年11月、設計変更申請を不承認とした際の記者会見で、「今般の変更申請については、先の大戦で犠牲となられた、ご遺骨がいまだ残されている場所から採取された土砂が、基地建設のための埋立工事に用いられる可能性が示されている。-- 政府はこの土砂問題に関してまだ何も決まっていないと説明するだけで、明確に否定されていないが、悲惨な戦争を体験した県民、国民や遺族の思いを傷つける行為はあってはならない。人道上、許されるはずもない」としながらも、「具体的な採取場所や調達量については、契約段階で決定されますから、現時点では決まってはいない」ので、「南部地区の土砂が使用されることについては、直接、今回の審査には反映させていない」として、設計変更不承認の理由とはしませんでした。

 しかし今回、設計変更申請が代執行で承認されたため、このままでは沖縄南部地区からの土砂搬送が強行されるおそれがあります。この問題について、下記のとおり要請します。

 

4-1.公有水面埋立法施行規則第3条では、埋立願書に添付すべき文書として、「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」をあげています。また、埋立承認申請の審査事項でも、「埋立土砂等のすべての採取場所が表示されているか」、「搬入経路が表示されているか」(『公有水面埋立実務便覧』P396)とされています。防衛局は、土砂の「採取予定地」ではなく、「採取場所」を示すべきでした。

また、埋立承認の際(2013年12月27日)の留意事項でも、「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取場所を記載した図書を変更して実施する場合は、知事の承認を受けること」とされています。

防衛局は、「土砂の採取地は、工事の施工段階で受注業者が決める」としていますが、土砂採取地については、防衛局や受注業者が決めるものではなく、知事の承認事項であると防衛局を指導してください。

 

4-2.設計変更申請書では、「採取予定地」が記載されただけでしたから、実施設計で実際の土砂採取地を明確にする必要があるのではないでしょうか。

 

4-3.知事はこの問題を設計変更申請の不承認理由とはしませんでしたが、「人道上、許されるはずもない」、「県としては政府に対して、県民、国民の切なる思いを伝えないといけないと思っている」と述べられました。

 今後、遺骨混りの南部地区の土砂を埋立てに使わせないためにどう対応されるのか、政府に対してどう要請してきたのかを説明してください。

                                                        

                            (以上)

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