(3月16日(金)の琉球新報の1面に掲載された。)
県が、首里城地下の第32軍壕司令部壕の説明板から、「慰安婦」「住民虐殺」を削除しようとしている問題については、このブログでも何回か触れてきた。
私は、2月27日、この問題に関する一連の文書を、県に公文書公開請求していたが、3月14日(水)、その文書が開示された。全部で160枚を超える文書だ。14日の開示の際には、県の平和・男女共同参画課の担当者2名から、文書の内容についての説明を受けた。
この日開示されたのは次のような文書だった。
資料① 検討委員会設置要綱
資料④ 第1回検討委員会次第及び資料
資料⑥ 第2回検討委員会次第及び資料
資料⑦ 検討委員会委員長から県への「報告」
「慰安婦」「住民虐殺」について触れた文案
資料⑧ 公園施設設置許可申請書
資料⑨ 現状変更申請書
資料⑩ 説明板の内容に関する部長決裁文書
「慰安婦」「住民虐殺」を削除。翻訳用説明文案も「決定」
資料⑪ 村上委員からの根拠証言検討資料
資料⑫ 証言映像記録関係検討資料
資料⑬ その他説明文検討資料
資料⑭ 説明板の記載に関する抗議・意見等件数
資料⑮ 予算執行伺
資料⑯ 支出負担行為
資料⑰ 業者との委託契約書
資料⑱ 検討委員(4名)からの削除撤回を要求する意見書
資料⑲ 県に郵送されてきた削除を求める意見書
82件の抗議のうち、「公文書」とされているのはこの書類のみ
ちょうど、高江の判決の日だったので、すぐには文書の内容を検討できなかったが、15日に改めて見直してみると、この問題についての県の対応に、多くの問題があることが判明した。午後、ちょうど連絡があった琉球新報の記者に関連文書のコピーを渡した。彼女はこれらの文書に強い関心を示し、明日の朝刊に載せたいと、すぐに、県の担当者や検討委員のメンバーらに直接取材を始めた。
翌16日(金)の琉球新報には、その記事が大きく掲載された(このページトップの写真)。なんと1面に掲載されている。 琉球新報 2012.3.16
(開示された第32軍壕説明板問題に関する公文書(165枚))
琉球新報が1面で報道した問題は、上記の資料⑩で明らかになったことだ。県は、検討委員会の文案から「慰安婦」「住民虐殺」を削除しただけではなく、英語・韓国語・中国語の説明文のための翻訳文案では、さらに、「沖縄を捨石にした」「女性軍属」を削除し、「多くの将兵と住民が命を落とすことになってしまいました」の記述を「多くの尊い命が失われました」と変更してしまったのだ。これらはいずれも「沖縄戦を特徴づけるキーワード」(村上検討委員)だが、この削除・変更についても、検討委員に何の連絡もせずに県の職員だけの判断ですすめてしまったのだ。
この問題は、県が、「沖縄戦そのものをねつ造」(石原昌家さん)しようとする大きな問題であることがますます明らかになってきた。公開された文書を続けて分析していきたい。