知事が防衛局の辺野古・設計変更申請を不承認としたため、防衛局は大浦湾側の工事は一切できず、辺野古側の埋立工事だけを続けている。
辺野古側は浅いため、埋立に必要な土量は約319万立法メートル程度である(全体土量は2020万立法メートル)。防衛省の説明では、本年4月末時点で約299万立法メートル、すなわち約94%の土砂投入が終ったという(2023.5.18 沖縄等米軍基地問題議員懇談会への防衛省回答)。すなわち、残りは約20万立法メートルにすぎず、このペースでは遅くとも本年7月中には、辺野古側の埋立は完了する。
ところが沖縄防衛局は、本年4月28日、「シュワブ(R5)造成工事」(1工区)、同(2工区)の2件の工事の入札公告を行った。それぞれ約50万立法メートルの造成工事で、工期は13ケ月。開札予定日は7月20日なので8月初めには契約を終え、これらの工事が始まる。
下の図のように、辺野古側の埋立区域は西側から1工区、2工区、3工区とされている。今回、防衛局は、埋立工事が完了した後も1工区、2工区に土砂を仮置きする工事を発注したのだ。2件の工事で合計約100万立法メートルもの土砂であるから、辺野古側の埋立に必要な土量の3分の1にもなる大量の土砂だ。
(前川土建部長らへの申入れ)
沖縄防衛局の設計変更申請書では、「埋立土砂等の仮置き」として、「外周護岸の概成前から埋立土砂等をあらかじめ調達して事業実施区域に運搬し、仮置きしておくことで、-- 埋立工期を短縮することが可能となる。そのため、埋立土砂等を陸上からも搬入するとともに、最も早く埋立てが完了する埋立区域②に埋立土砂等を仮置きする」とされている(設計概要説明書P3)。
すなわち、辺野古側の埋立が必要な高さまで完了したにもかかわらず、さらに辺野古側に土砂を積み上げるのは、まさに設計変更申請の内容を先取りしたものである。設計変更申請が承認されていない現状で着手すれば、それは公有水面埋立法に違反した工事となる。
この問題について、オール沖縄会議現闘部会として知事宛の質問要請書を提出していたが、今日(6月15日・木)、山城博治部長、本部町島ぐるみの2名、そして私の4名で県庁に赴いた。県は、前川土木建築部長、砂川統括監、辺野古対策課長、港湾課長、海岸防災課長らが対応した。
土建部長らは、「指摘を受け、6月7日、防衛局に『辺野古側埋立は何時頃、終わるのか?』、『その後、土砂を積み上げる計画はあるのか」等を照会した。防衛局からは、『工事の進捗については天候等の問題もあるので、お答えできない』という回答があった」と説明するだけだった。防衛局が辺野古側で2件の埋立工事を発注していることについては触れていないという。
県の担当者らが、現在、辺野古で進められている工事の現状や、防衛局の発注内容についてほとんど把握していないことにも呆れるほかなかった。
ともかく残りの20万立法メートルほどの土砂投入が終れば、防衛局は工事を停止しなければならない。本部塩川港や安和桟橋からの埋立土砂海上搬送も止まるのだ。県は、防衛局に毅然と工事中止を指示しなければならない。
もし防衛局が県の指示を無視し、工事を強行すれば、県は埋立承認を取消す等の対応策を講じるべきである。違法工事であるから、当然、本部塩川港の港湾使用許可も認められない。
6月19日(月)に、「県の具体的な対応策を示すこと」を求めて再度、話し合うこととなった。
終了後、知事公室長と面会した。公室長は、6月19日には自分も出席すると約束した。