昨日(6月13日・火)は、那覇地裁で、知事の辺野古・設計変更申請不承認を国土交通大臣が取り消す裁決をしたことに対して、辺野古・大浦湾周辺住民が裁決の取消を求めた抗告訴訟の第4回口頭弁論を傍聴した。
福渡裁判長は、この間、とんでもない判決を出し続けている。辺野古埋立承認撤回をめぐる周辺住民の抗告訴訟では、その前の裁判長が執行停止に関して4名の原告適格を認めたにもかかわらず、全員の原告適格を認めなかった。石垣の住民投票の地位確認訴訟でも住民の訴えを却下した。米兵によるタクシー強盗致傷事件でも、米側に代わって国が賠償金を支払えという遺族の訴えを認めなかった。いつも、権力の側におもねる判決が目立つ。
この訴訟の訴訟指揮もひどいものだ。前回の口頭弁論では、原告の意見陳述の事前提出を求め、「辺野古新基地建設は国家犯罪」等の表現の修正を求めた。何故、原告が「国家犯罪」と言うことを禁じるのか。これは「検閲」に他ならない。前回は、原告団・弁護団は、不本意だったが、口頭陳述をすることを優先して、修正に応じた。
昨日の口頭弁論では、原告団・弁護団は意見陳述の原稿の事前提出を拒否した。すると福渡裁判長は、「中身の必要性、相当性が検討できない」として意見陳述を不許可とした。今まで多くの裁判にかかわってきたが、原告の意見陳述の原稿を事前に提出させ、文言の修正を指示する裁判長など初めてのことだ。
弁護団は強く抗議した。本来、「訴訟では『口頭主義』をとっており、言い分は書面に提出するだけでは足らず、声に出して『陳述』しなければならない」のだが、通常は、裁判長が「陳述しますか」と尋ね、弁護団が「陳述します」と答えることで、書面を全文読んだとみなされている。しかし、昨日は弁護団が、「意見陳述をさせてもらえないと、書面を読ませていただいて、法廷に集まった方々に届けたい」として、第2準備書面を30分ほどかけて全文、読上げた。「口頭主義」の原則があるものだから、裁判長も止めることはできない。当初、裁判長は、「今日は15分しか時間がとれません」と言っていたのだが、黙って聞き続けた。
さらに、「次回も原告意見陳述をさせてもらえないのなら、106頁に及ぶ第3準備書面を4時間ほどかけて、全文、読上げます」と通告したものだから、裁判長はオロオロして合議のために退室。結局、今月28日に進行協議を入れ、今後の弁論の持ち方について話し合うことになった。
福渡裁判長の訴訟指揮には呆れるほかないが、弁護団の毅然とした対応が素晴らしかった。
なお、この日、原告は、設計変更申請の地質調査の不備や地盤の安定性等、技術面から細かく検証した元ゼネコン技術者の膨大な意見書を書証として提出した。上記の第3準備書面も、この意見書に沿ってまとめられたものだ。この意見書については、後日、紹介したい。