

豪族の跡継ぎ・真桑が林で出会ったのは、異形な美しさを持つ女。真桑は女を納屋に匿い世話を焼くうち、次第に愛情を感じるようになる。ある夜、強引に女を抱いた真桑。幸福感に浸っていたが、翌日から女はまったく笑わなくなる。(サカズキという女) 細々と商いをしていた、腕の良い細工職人の広足。弟・浄足が、自分の細工で詐欺を働いていたと知り、言い争いののち、思いがけず殺めてしまう。誰にも見られていないはずだったがーー。(髑髏語り) 妻の初産を待ちわびていた広公。しかし産屋で産婆から手渡されたのは、蹴鞠のような肉の玉だった。広公は複雑な思いを抱いたまま、山の奥に肉玉を捨てに行くがーー。(舎利菩薩) 日本最古の説話集『日本霊異記』を、大胆かつ奔放に潤色! 直木賞作家・朱川湊人の新しい扉が開く!
サカズキという女
髑髏語り
射干玉国
夜半の客
狐と韃
蛇よ、来たれ
塵芥にあらず
舎利菩薩








どれもこれも読み応えのあるお話・・・
不思議で怪しい
「夜半の客」
やだ、キョンシーを思っちゃったわ。
「舎利菩薩」が後引いた。
子の誕生を待ちわびていたが生まれてきたのは泣かぬ、人の形ではない、肉玉のようなもの。
不吉の験のようなもので赤子とは思えぬゆえ、山の奥深くにでも、捨てるほうがよいだろう。
ただ、母親の多知波奈は肉玉を抱いて離さない。ついに夫の広公は妻の手から受け取り山中に入った。
泣きながら、次は人の形で、世に来るのだぞと、肉玉を収めた籠を置いてくる。
が、亡骸を野ざらしにしているのは忍びない、せめて墓でも。と夫婦で肉玉のところに行くと・・・
お話はここから始まります。
「目前に生きて在る命に何を見、何を学ぶかは、その人の心次第
それならば、少しでも善きものが見つけられるよう、人は精進の道を歩み続けなければならない」
むむむ朱川作品・・・
楽しめました。
★★★★☆
