『トロッコ 』(2010年)

映画「トロッコ」が公開されたころから芥川龍之介の同名作品をモチーフにした映画と知っていた。
であるが視聴は初めて。
原作にヒントを得た、あるいはトロッコを題材にした監督の独自の世界観の表現が正確かも知れない。
歴史背景のある家族の物語であるが二人の男の子の成長物語でもある。
「（日本に）帰るんだ」と意気揚々とトロッコを押したり乗ったりして出かけたが・・・
したのこどもが家に帰ると言い出し線路を駆けて行くのをうえのこが追いかける。
そのうちしたのこの草履の鼻緒が切れて泣きじゃくるのをうえのこが自分の草履を履かす。
はだしのうえのこはしたのこを励ましながら何とか家に辿り着く。
心配していた母がうえのこを叱責する。
うえのこは「僕の事嫌いなんでしょ」と。
その言葉にはっとして母親は「一番大事」と抱きしめる。
夫を亡くし二人の子とこの先どうしようかと思い悩む気持ちが吹っ切れた瞬間だ。
しかし、義父は日本に帰ることを薦め車の姿が見えなくなるまで見送り
やがて一人だけになった家路へとゆっくり歩き始める。
10年前近くに録画したのだがいい映画だったと初めて見て感動した。


-------------------------
監督・脚本：川口浩史
出演者：尾野真千子
　　　　原田賢人
　　　　大前喬一
公開：2010年5月22日
上映時間：116分
製作国：日本