一定周期に、季節も朝昼晩も問わず、無性に気になり始めて聴きたくなってくるのが、スティーリー・ダン、そしてその中心人物でもあるこの人、ドナルド・フェィゲンです。
私が学生時代、テレビの深夜番組で偶然デビューしたてのスティーリー・ダンによるスタジオ・ライブ2曲を観たのがことの始まり(この映像は貴重です!)。
一般的にはデビュー曲「ドウ・イット・アゲイン」が有名ですが(数多くのカバーもあります)、自分がまだ若造だったからなのか、一種独特のラテン風な曲調のそれよりも(野暮ったく感じた?)、アップテンポでカラッと突き抜けるほどに軽快なノリのロックンロール・リズムに早口言葉っぽくまくし立てるドナルドのボーカル、そして圧巻は当時在籍していたジェフ・スカンク・バクスターがテレキャスター弾きながらピョンピョンと飛び跳ね、ツナギを着た巨漢ギタリスト、デニー・ダイアスと徐々にヒートアップしてゆくツインバトルを繰り広げた「輝く苦節」で圧倒されてからでした。
それ以降、私の周囲には誰一人としてスティーリー・ダンなんていうバンドに興味を持っている者がいない中で、自分だけが発見した凄いバンドなんだぞ!と密かな楽しみとして田舎で堪能していました。
若い頃ならば、素晴らしいバンドなどを知ったら会う人、会う人にその魅力を触れ回ってアピールしつつも同士を増やそうと躍起になるものですが、このバンドの時には何故かそうはなりませんでしたね。
その後も、リリースされるアルバムを逐一入手しながら、まったく捨て曲無しの完成度高い構成、卓越したプロデュース力、そして曲ごと贅沢に配されたバックミュージシャンのテクニカルなプレイ、追随するものを許さなきオリジナリティに今も圧倒され続けています。
バンド解散後のソロ、再結成後もドナルド・フェイゲンはわが道を往く的音楽活動に一切の妥協もぶれも、時流にも飲み込まれる事もなく多大なる影響力を与え、リスペクトされています。
写真はスティーリー・ダンではなく彼が今までに発表した4枚のソロと、意外なるジャズ・ロック・ピアノ教則ビデオを。
特にファースト・ソロ「ザ・ナイト・フライ」は歴史に残る名盤でお勧め。声を大にして「黙ってこれを聞け!」と言いたくなります。白黒ジャケットもカッコイイねえ!!
結局、ソロでもバンドでもいつの時代でも彼の曲は錆付くことなく永遠にドナルド・フェイゲンそのもの。聴いた瞬間にでもわかる音と声、唯一無二の崇高なる存在です。