会場内に華麗に流れるBGMは今話題のアニメ「鬼滅の刃」からLiSAが歌う「紅蓮華」
狙いは的中!皆、鼻歌混じりに口ずさんでいるよ。
ステージ上に備え付けられている機材類は一流ブランドの最上機種ばかりだ。
ベースアンプはアンペッグ。
ギターアンプはローランドの何にでも対応可能なる頼れるロングセラーJC-120
マーシャルJCMハーフスタック(SPはTOPのもの)
ドラムセットはパール製。シェルはブラック。
換気とサウンドチェックも含めてバンドの入れ替えには25分も用意されています。
余裕をもって進行。多少は巻きになるかも・・・・。
まあ時間のことでピリピリせずプレイにリラックスしながらも100%専念できるということはけっこうなことだ。
1,17:00~17:30
マ・シェリ
J-POP
地元・札幌からの出演。
初々しくも若さはじける4人編成だ(残念ながらギタリストは欠席・・・・)。
普段は札幌を拠点に活動中。
他のバンドメンバーたちはステージ以外、各自バラバラにくつろいでいるものだけど、マ・シェリは楽屋でも仲良く横並びに着席していて、ずっと語り合っていたのが印象深かったよ。チームワームが鉄壁な証拠さ。
バンド名からもお判りでしょう。椎名林檎と東京事変をレパートリーとしています。
残念ながら椎名嬢のソロ曲「マ・シェリ」は時間の都合上演奏されませんでしたが・・・・。
ちなみに「マ・シェリ」とは「私のかわいい人」という意味なんだそうです。
それはともかくも、椎名嬢の楽曲は超がつくほどに中々一筋縄ではいきませんよ。
流行に便乗して結構カヴァーするバンドが多いけど、ちょっぴりと残念な形に終始しているんだよね。
でもこのバンドはただでさえオープニングアクトという重圧があるのに、それらをいともあっさりと吹き飛ばすほどに克服してくれました。頼もしき存在。今後の活動状況が楽しみでもあり要注目株だよん。
メンバーの内訳は・・・・・ドラムスはツカサ君、ヴォーカル&ギターにトモちゃん(赤いボディカラーのビルローレンス森高千里モデル!リッケンバッカーシェイプ。当時は男性ファンたちにも付属特典のポスター欲しさに飛ぶように売れたものだ)、キーボードがアキちゃん(KORG KROSSを使用)、そしてベースがウミ君(渋い黒のフェンダー・ジャズベース使用。ローズ指板)だあ!
トモ嬢は「音が良くて気持ちよかった!」とのこと。
良かったね、クボタくん!!
このバンドとはつい先月にも小樽公会堂で対バンしたばかり。
だから手の内はある程度把握しているつもりだったけれども、更なるスケールアップを図ってきて驚愕。
ギターレスで相当に大変だ(どのパートが欠如しても同様だけど)。
STAも以前小樽ライブ本番当日に急遽ギター不在の事態に陥った経験があるだけにその気持ちがよくわかる。
心中お察し申し上げます。ところが当の本人たちは至ってクールかつ楽しそうにこなしているではないかあ!!??
これは只者ではない。各音の輪郭がよりクッキリと浮き上がっていてタイトな響き。
曲が曲だけにその辺は力業で一致団結克服して乗り切った。というか全く違和感なく不覚にも心地よいサウンドに酔いしれてしまった。マ・シェリ恐るべしだ。
それもそのはずでここのメンバーたちは他でも色々と活動中。
トモちゃんはお馴染みザードのブレッツア・メンバー。この日はもう1つ掛け持ちだもんね。
マルチプレイヤーなんだよ。
リードボーカル以外にもコーラスガール、ギター、サックス、グロッケンまで巧みにこなしてしまう。
麗しのリーダー・アキちゃんも現在4バンドに在籍。
STAのメンバー達とも交流があるアクティブウーマン。オフステージでは笑顔を絶やさない癒し系のレディだけど、いざステージにスタンバイすると頼もしき存在で場を一手にキリリと取り仕切るのだ。
さてさて、主催者でもある彦ちゃんが現れて、まずはこの日の注意事項やイベント趣旨などを中央マイクに向かってコミカルに交えつつも(天然…!?笑)アナウンス後いよいよライブスタート宣言!
「よろしくお願いします。1曲目は……椎名林檎で群青日和!!」
2004年9月8日発売のデビューシングル。
アルバム「教育」に収録。
オリコン週間2位を記録。
開巻からトモちゃんによるギターストロークが刻まれる中を妖艶なる幕開け。
詩がこちらサイドのハートに遠慮なくグサグサと突き刺さってくる様は圧巻。
一語一語が心なしか爽快で強烈だ。バックボーンの情景がいやが上にも淫靡に浮かび上がってくるのだ。いろいろな意味にもとらえられるストーリーが秀逸。
恐るべし才色兼備の椎名林檎嬢。そのジェットコースターのごとき変化に富んだ複雑なる楽曲をクールな表情を浮かべつつ巧みにこなすマ・シェリ。
私が椎名嬢を知ったのはほとんどの人たちがそうだと思うけど「ここでキスして」の大ヒットから。
宇多田ヒカルと双璧をなすカリスマ性で、すでにかっこよく君臨していた。
天才職人ベーシスト亀田誠治氏の手腕も随所で光り輝いている。
テクニシャンのウミくんは細部にわたってそれらを忠実にプレイ。
ツカサ君とともに貫禄のボトムキープにて更なるパワー・グルーブを阿吽の呼吸で演出。
トモちゃん以外マスクを着用しているけど呼吸は苦しくないのかなあ・・・?と余計な心配をしてしまった。
そのツカサくんによるスティックカウントから、東京事変5枚目のシングルで「キラーチューン」
2007年8月22日発売。アルバム「娯楽(バラエティ)深夜枠」に収録。オリコン週間5位を記録。
タイトル通り必殺のサウンドエナジーが炸裂する。
歯切れのよい愉快痛快なるアップテンポナンバー。でも単純明快なポップロックに収まらないところがしたたかなる東京事変。
危険この上なき仕掛けがあちこちに張り巡らされている。次々に軽々と鬼門をクリアしてゆくマ・シェリ。
これってある意味ではプログレッシブ。
トモちゃんがギターを外して速やかにハンドマイクスタイルへチェンジ。
物おじしない佇まいが好感度高し!堂々たる振る舞いは圧倒的だ。
アンサンブルも不敵な面構えで進行。
キュートなトモ嬢は相当に新名林檎フリークのようだ。
リスペクト精神がそこかしこに滲み出ています。
トリッキーなるベース・ソロも鮮やかに彩りを添える。研究熱心なのが如実に伝わってくる。
日頃から鍛錬を積んできたモノが花を開いた瞬間だ。
努力は決して裏切らない。血と汗と涙の美しき結晶。リズムセクションのコンビネーションもバッチリ。
肝ともいえるセンス良きパワフルでリズミカルな疾風のごときドラミングに引き続き、軽快なる鍵盤さばきのアキちゃんが常に引き締め役を一手に担う。
オフステージでのニコヤカなる雰囲気はステージ上では完全に封印。チャーミングな頼もしきキーボーディストに徹しています。
「改めまして、こんばんは!・・・あ!?・・・・初めまして。皆さま(笑)マ・シェリと申します。え~とですねえ、世の中こんな状況ではありますが今日は最後まで頑張りますので、どうぞよろしくお付き合いのほどお願いいたします!
次のライブは4月11日にススキノ810です。無料配信みたいなものをやっているみたいです。
YOU TUBEホームページからぜひチャレンジして見てください。
それでは次の曲にいきます。怪しい大人の行いの歌です(笑)」
3曲目「秘密」
意味深なタイトルのこちらも東京事変から。2006年2枚目のアルバム「大人(アダルト)」に収録。
いかにも椎名嬢らしい楽曲だなあとしみじみ実感した。
ベン・フォールズあたりを彷彿とさせる、ハードかつアグレッシブなタッチのピアノロック。
ここいら辺はアキちゃんの真骨頂。満を持して伝家の宝刀を惜しげもなく大胆にね。まるで女性版ジェリー・リー・ルイスを見ているようだ。
嬉々として鍵盤上を指先が滑らかに舞っていましたよ。時には虎視眈々とふてぶてしく、時には怒涛のごとき豪快に、時には抒情的に軽やかに奏でてくれる・・・・・。
ピアノの一音一音がまるでプリマドンナのようにホップステップジャンプしてはじけまくる。
エッジの効いたベース・ランニングソロも聞き応え満点。
ウミくんは曲調によってフラットピック使用やフィンガーピッキングに切り替える。その振り分け方の妙技はお見事の一語に尽きる。
ここでも亀田氏によりジャジーなるアレンジワークが冴えわたる。
全体に何場面にもわたる演劇風な展開が施された実験的要素が満載でひじょうに面白い。
並外れた才能の集まりだけにここでも一気に見せる、繊細に聞かせる、誘うように躍らせる、ノリノリに惹きつける!
巧みによくぞここまで再現しているねえ、と感心しきり。
濃厚なるエロスが漂う歌詞でありながらも潔ささえ伝わってくる難攻不落な世界観。
エキセントリックなまでに偏執狂的でデンジャラス。無意識のうち癖になりそうだ。
もうここいら辺でバッチリと掴みはオーケーでしょう。
アクの強い楽曲なんだけどねえ。
ボーカル以外のメンバーたちはマスク姿。
ボーカルも飛沫の飛翔を意識しつつも熱唱。はやく自由自在にステージ狭しとばかりに心置きなくパフォーマンスできる日が来ることを皆で祈ろう。
ハイタッチ、必要以上の観客への煽り、メンバー間の接近、鳴り物使用や声援、密集は厳禁なんだもの・・・・。
それはどこでも同様なんだけど、もうしばらくの辛抱だよ。
ボーカルのトモ嬢は曲ごとにギターを装着したり外したりと忙しい。この辺へのこだわりも椎名仕込み。
「今日は寒いね・・・・」「寒いよ~~!」「ありがとうございます!!(笑)私たちは東京事変や椎名林檎のカバーをやっているのですが次の曲・・・ギブスではぜひとも優雅な鍵盤に酔いしれていってくださいませ!!」
トモちゃんがそっとギターを肩から外してスタンドに立てかける。
再び個性派シンガーソングライター椎名林檎5枚目のソロ曲。
2000年1月26日発売。オリコン週間5位を記録。2枚目のスタジオ・アルバム「勝訴ストリップ」に収録。
椎名嬢初の記念すべきバラードソング。デビュー前に交際していた相手宛てに書かれた作品。
初期の頃からよくステージで披露されていた。
ここでも名手・亀田誠治氏による冴えわたる手腕に感服。
イントロではアキちゃんによる哀愁の旋律が思わず涙腺を緩ませてくれるのだ。トモちゃんもよりエモーショナルにセクシーヴォイスを振り絞っての追随。
アキちゃんの愛して愛してやまない大好きなナンバーなんだよね。
カバーするマ・シェリのメンバーたちも陶酔の表情。
ところがそうは問屋が卸さなかった!
瞬間、不意を突いたかのように物凄いノイジーな音壁が押し寄せてくる様は騒然だ。鬼気迫るくらいに轟き渡る迫力とはまさにこのこと。鳥肌が立つ思い。
じっくりと身を委ねて曲に浸りきってみるのも一興。マ・シェリの虜になった輩もちらほらと見受けられます。
バック陣のメリハリあるアクセントが出色の完成度を誇っている。
それだけの自信がなければとてもじゃあないが、この曲には取り組めないでしょうよ。
いやはやなんとも刺激的な体験をさせてもらいました。
浮遊するようなトリップ感が半端なく強烈。数々の音符がそこいら中に漂って見えるようだ。
「え~と風邪の予防はしっかりとしてくださいね・・・・・・永遠の不在証明」
再び東京事変から。2020年リリースのアルバム「ニュース」に収録。
歌姫・椎名林檎の作風が冴え渡る。
同年2月29日の土曜日に先行配信。劇場版「名探偵コナン 緋色の弾丸」主題歌。
非常にスリリングな曲調がご機嫌。この手の類は東京事変にとってはお手のモノらしいよ。したたかなるバンドだ。
で、マ・シェリも懇切手寧エキゾチックに披露。
抑え気味にささやくような序盤から徐々に爆発していく流れもすこぶる絶品。
曲の要所要所ではしっかりと各パートの見せ場をふんだんになまめかしく盛り込んでもいましたよ。ドラマティックなムード作りの攻防もポイント高くて秀逸だね。
しっかし、椎名林檎が作り出すメロディって唯一無二の存在。
それはタイトルや歌詞、衣装、ステージングにも言えることなんだけど。そこに亀田氏がタッグを組んでいるんだから最強だ。
マ・シェリの面々も各パートごと真面目に責任をもって取り組んでいるから、緻密に構築された独創的ないぶし銀の空間が如実に生み出される次第。
一度引き込まれたらもう病みつきになって2度と抜け出せないなあ、この火花散るほどの魅力に痺れちゃったらさあ。
ところで椎名林檎の前世って誰なんだろう?・・・・などという永遠のちょっとミステリアスな疑問がふと脳裏をよぎった。
「次でラストです。よろしくお願いします・・・・」「ええ!!??~~~」
「(笑)私たちのことをこれからも応援よろしくです。この後にも素敵なバンドが続々と出演しますので楽しんでいってください・・・・・東京事変で・・・・・透明人間!!」
2006年発表。アルバム「大人」に収録。
この曲、先月は時間の都合上割愛されていたね。こんないい曲が聞けないなんてもったいないな。
あ、ピンクレディのじゃあないよ、それはわかってるね(笑)
マ・シェリのステージ締め括りには飛びっきりもってこいのヘヴィーさだね。アクティブ志向の賑やかなるフィナーレソング。
椎名流ロックンロール宣言を提示。
当然だけど歌詞が相変わらず奇々怪々でユニークこの上ない。
手拍子の要求にオーディエンスも即座に応える。会場中が一体化した瞬間だ。コール&レスポンス。
これぞライブならではの醍醐味。
トモちゃんの相棒ミーちゃんは客席最前列センターにて元気いっぱいに頭上高く隠し玉のフラッグを振り続けている。
これ本家本元の林檎さんが実際に行っている営みさ。
だからというわけでもないでしょうに、異様なくらい和気あいあいの光景。
アキちゃんのピアノも一触即発気味なほどに鬼気迫る熱き迫真の音数で雪崩込み。
アキちゃんいわく「ビキビキ!!」にはじけまくって転げまわる。
まだまだ足りないよお、とばかりにもっと陽気でコケティッシュに攻めまくり。
ピカピカ電飾付きにタンバリンを一心不乱に叩き続ける猛者も出現。熱狂の嵐が吹き荒れる。
ホンのわずかの余力を残すこともなく一生懸命思う存分に頑張りました。完全燃焼、真っ白な灰になるほどに。
達成感に満ち溢れていてメンバー全員の表情も輝いている。お疲れさん!!
残雪もその熱量で溶けちゃいそうだ。
暗く陰鬱なる世の中にとっても素晴らしい一筋の光明を見たような気がします。
「ありがとうございました!!」
****ライブレポートPART,3へと勢いそのままに続くよ!!****