一月の初めに田原アルプスを縦走したときにジオンさんから面白い山歩きのお誘いを戴いた。
干支の山猪子山から繖山へ縦走しようというのだった。 山渓の1月号に載っていたそうで猪の名が付く縁起の良い山がいくつか提案されていた。 猪子山(いのこやま)と思ったら(ししこやま)というのだそうだ。 あれ? 読み方関西風?
古墳や史跡がいっぱいある山で登山対象としては少々物足りないと言うことで繖山(きぬがさやま)への縦走となった。
参加者11名 神戸から一人 地元滋賀からご夫婦でふたり 福井一人 大垣五人 そして三河が二人。 不思議なつながりの団体。
今回は特に地元のお二人に 下見 車のデポなどで細かいお世話を戴く。そして私たち三河組は 大垣の和たんに 現地まで車で連れて行って頂くことにした。 いやぁ おんぶにだっこ状態だった。
安土城博物館の駐車場に車を一台残し 猪子山の麓迄車二台で移動。神社の鳥居辺りに車を置かせてもらうけれど 平日だというのにまぁ 大にぎわい。 みんな猪子山詣で?
鳥居の右手から整備された階段があったけれど 史跡を巡りながら歩こうと言うことで車道を登っていく。
岩舟神社 神社の裏に大きな舟のような形をした岩が鎮座 苔むしている。 何でも比良の神様がこれに乗って琵琶湖を渡っていらしたとか
「うそやな」「こんな大きな岩じゃ絶対沈むよ」とつっこみが入る。
更に行くと北向11面観音への参道に出る。 長い長ーい階段。 こつこつ登っていくけれど なかなか付かない。
実はこんなものは序の口 只のウォーミングアップに過ぎなかった。「お参りに来る年寄りは 大変じゃぁないの」と山登りに来たことをおいといてぶつぶつ
やがて巨石の積み重なった一角にたどり着く。観音様はその巨石の祠に安置されていて更にそれを守るようにお社が建てられていた。
地元の人々が拝殿に座り込んで熱心にお参りされている。
その前の岩がビューポイント。 琵琶湖方面の美しい田園風景が広がっている。能登川の町が見える。おてんきがとても良いのに 春霞の様に霞んでいて遠方の景色は見づらい。 見えるはずと じっと見ていると 何となくいただきに白いものをまとった比良の山が見えるような・・・残念。
観音堂自体が巨石で出来ているので 罰当たりと言われそうだけれど 岩のてっぺんに登ってみる。もう一度絶景が楽しめる。
春の様な陽気が気持ち良い。 時々吹き付ける風に まだ二月を思う。あわてて降りて次に向かう。
「こりゃ 山渓に取り上げられた記念やな」
私もそうおもう。 誇らしげに見える。標高267.5メートル
さてここからは尾根歩き 繖山まで行くぞ~!
と思ったのだけれど そう簡単ではなかった。時々階段を上ったり降りたりしながらも樹林帯の続く尾根を歩いていくのは気持ちよい。
しかし 階段多すぎ。 みんなと同じ二本足で歩いているはずなのに 長さがだいぶん違うらしい。 たちまち差が付いてしまうんだよね。慣れていないグループの中で迷惑をかけないように歩こうとすると必死。 写真を撮ろうものなら直ぐに前の人の姿が消える。
あれれ? 何処行った? どうなっとるんや?
この山あちこちから登って来れるらしくて良く分岐に出会う。ぶぃーんという木の切り出し音にびっくりした頃 左下の方から石段が現れる。 立派な参道の様だった。 石馬寺からつながっている。何処に行く参道?
直ぐに行く手にお社が現れる。 雨宮龍神社
雨乞いの神社なのだろうか?
ここにも大きな岩があって 和たんと チー様が登る。「よく見えるの?」「ううん 見えるかもしれんと思って。」
私たちは高いところを見るとつい登りたくなる 不思議な習性がある。 大分来たからそろそろ繖山と思ったら おっとどっこい まだ3分の一ぐらいしか来ていないんだって。 え~~っ! 何だって? ゆったりお気楽ハイクではないの?
「嫌 まだ地獄越えを過ぎていませんから。」
「地獄?地獄は見たくありませんけどぉ・・・」
何だろう? 地獄越 とても恐ろしげな名前では無いですか?
「昔の戦場の舞台で この辺り傷ついた兵士の血で真っ赤だったとか・・・」そうですか? だから地獄 でも私にはそれが 険しさを表わす名前の様な気がしてならない。
行く手を見ると 山頂に三本の木が立っている山が見える。あれが繖山山頂らしい。
遠い~~ はぁ
眺めが良すぎ。 いえ 文句言うつもりは全くないのですが 左も右もすっかり開けていて 森林限界を過ぎていないのに 木が無い。
展望が実に良い。
良く見ると 所々に黒こげの丸太が転がっている。
10年ほど前の山火事で この辺一体がすっかり焼けてしまったのだそうで 今少しずつ緑の再生がされてはいるけれど まだまだ何年も掛かりそうな感じ。 原因が何だったのか知らないけれど おおごとだったに違いない。
ここで行く手の鞍部を見て顔が引きつる
え~~っ? 先遣隊が 遙か下の方で立ち止まっている。あそこまで降りる? そして 登るんだ。 やっぱりこれは戦場の地獄越えでは無くて 地獄の様なのぼりみちだ~~
山の稜線に続く一本の道 それは まるで空に続く道のよう。 先遣隊の影は 空中の回廊を歩いているようだった。 ここに空からかぐや姫のお迎えの車が来ても 信じるね 私。
ここからは文字通り地獄越えだったけれど 和たんと ゆったり楽しんで行こうね と半ば開き直って 景色を楽しみながら 歩く。 日陰には雪が残り 右に左に開ける展望は相変わらず嬉しく・・・ この辺りから ごつごつした岩が目立つようになる。カレンフェルト?きっとそうに違いない。 巨石好き和たん 斜面に降りていって写真を撮ろうとしている。ああ危ないよ!
登っても登っても付けそうにない階段だったけれど 最後の階段を右に上って着いたところが山頂。 やったー。 山頂はとても展望が良かったけれど 少々風が強いので 風のないところに移動。 え~~っ! おなか空いたんだけれど・・・
みんなの顔にも落胆のいろ。
でも その先 少し行ったら まぁ あつらえたようなうってつけの場所が。 一体何の場所だったんだろう?すり鉢状に落ち込んだ広間の様。 階段があるわけではなし しかし 樹木が全くないところを見ると 建物が建っていたのだろうか? 観音寺城の山だもの
ランチは 家業がうどん屋さんの乱丸さんから手打ちうどんの鍋焼きが ラブさんからはスパゲティミートソース 大垣組からは 鍋 自家製野菜入り SIVAさんからは 北陸の郷土料理へしこ ハイジさんからお抹茶入りのお茶と和菓子 チーさんから果物やカステラ のこさんから おいしいおつけものや果物 うわーっ ごちそうの饗宴だー
私たち三河組は 朴葉みそで味付けた牛肉とやきもち オモニさんから自家製ヨーグルトと自家製マーマレードを出してもらって 足が悪いのを良いことに食べるの専門にやっていたら写真撮るの忘れた。 (ρ゜∩゜) グスン
おなかいっぱいになったし 帰るばかりと思ったら まだ行くところがあるらしい。 観音正寺。そして観音寺城址
観音正寺は平成5年に焼失して今真新しい本堂になっている。これはあの山火事に関係あるのだろうか? 親しくさせて頂いているネット仲間が火事で焼ける直前に 地蔵盆でにぎわっている所に出会ったと言っていたけれど・・・
下って下って大下り この道を上らないといけないことを考えるとなんだか不安になる。そんな道だったけれど岩の中に祀られたお社をこえて 降りると鳥居が・・・その鳥居の向こうは通行止めの柵が・・・ありゃありゃ 入っちゃいけなかったの? でも上からは良いのかしら???
大きな大きな杉の木が 歴史を語っているような気がした。
ここから先に進むと 分岐がある。一つは先ほどの頂上に戻る道。 もう一つは桑実寺に行く道。桑実寺は500円いると書かれていた。「止めよっ!」
でも今とても後悔している。 うちに戻って歴史をひもといていたら 此の桑実寺も実はとても重要な役割をしたお寺だったとか。 朝廷の仮の宮殿だったりしたわけで もちろんそれは観音寺城の主佐々木氏と 深く関わっているとは思うのだけれど 変にお金をけちったばかりに 失敗失敗。
桑実寺へ行く手前に 観音寺城址はあった。 石段や 石垣に当時の面影を残しているのだけれど 本当はここに見えるだけのの小さなものでは無かったらしい。全山に遺構が見つかったと言うから かなり立派なものだったと思われる。う~~ん もう少し調べていくべきでした。 残念。
この後 私としてはとんでもないことが待っていた。三角点に戻るべく 観音正寺に向かって戻って行きつつあるときに 「ここにマジックで 三角点って書いてある。 いけるかも知れん。」と誰かがつぶやく。 いたずら書きの様な字を私は信じない。 だってそれがさしていた方は 道とは思えず みんなは踏み後があるよっていうんだけれど 私には 只の崩れた斜面にしか見えなかった。
「えっ? ここ登るんですか?」 まぁ すべること滑ること 誰かが私の背中を ぐいぐい押してあげてくれたけれどね。一人で あるいは私の仲間では絶対しない冒険だった。 いつ「やっぱりあかん もどろっ」って言われるかと どきどきしていた。
ところがこれが良かったんだね。 あんなに大下りで また登るのを心配していたのにあっという間に 先ほどの食事場所に着いた。 あっという間に・・・さすが山姥軍団
こうして繖山の三角点に戻り 後は最初に車を駐めた安土城博物館に転げるように落ちていくだけ。
そうそう ここの三角点変なところにあるよ。 だって階段の中だよ。みんな知らないで三角点踏み踏み歩いているかも・・・ 階段を作る場所が無かったのか 謎だ~
途中安土城址まで下っていく道もあった。 面白いことに山の稜線に 道が俯瞰で見える。木々が生い茂るまでは 迷うこと無いかもしれない。いつかこの山が緑生い茂って本来の姿になったときどんな顔をしているのだろう?
それを見届けることは 私には出来ない。 何度も振り返って稜線を目で辿りながら 別れを告げた。
次に来るときには 今回図らずもけちって見損ねた 安土城址と 桑実寺を巡る山歩きとしよう。
天気もよく展望も素晴らしかったようです。どらさんの日頃の行ないがよかったのでしょう。
尾根道をるんるん歩きしている様子がよくわかります。
それにしても三角点が登山道のソバにあるなんて・・・気をつけろ!といわれても知らない人は踏んづけたり腰をかけたりするのでは?
ここに登山道を造った人が三角点を知らなかったのかも知れませんね。
いずれにしてもめずらしい三角点の一つになりそうです。
三角点 踏んづけそうというより 躓いて転びそうですよ。