沖縄県議選の意義と今後の或る見通し
櫻井 智志
1
沖縄県議選で、「大勝利」(翁長雄志沖縄県知事)を獲得した背景に、多くの人々の必死の努力があって、それが報われたことに大きな喜びをおぼえる。改選前の拮抗した議席を大きくのばし、翁長知事支持派が差を広げることを勝ち取った。さて、この勝利を国政にどう発展させることができるか。次の課題となる。
きょうの夜のNHKテレビニュースで、参院選にのぞむ安倍総理と陣営の様子、野党陣営の様子が報道されていた。野党四党(日本共産党・社民党・生活の党・民進党)と市民連合が参院選に共闘するために共同の結束の様子が報道されていた。
野党共闘は重要な成果である。しかし、「市民連合」(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合 ◆呼びかけ団体(有志):戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会/安全保障関連法に反対する学者の会/安保関連法に反対するママの会/立憲デモクラシーの会/SEALDs)の役割は画期的である。野党共闘の政党が、市民の役割を十二分に認識していることも素晴らしい。
市民の動きは、日本国民と在日外国人の政治的実態をよく表している。SEALDsと学者の会では、師弟で率先してとり組む姿が見受けられる。ママの会の役割も、実に創意工夫に満ちて、国民全体を活性化させている。総がかり行動実行委員会が効果的に繰り出す国民的集会は、東京中央とともに、全国各地で活発な集会が全国に轟いている。
2
かつて安倍政権は、アベノミクスや世論盛り上げ、水面下に出ない企業や連合など団体への徹底的な働き掛け、さらにマスコミ受けする自民党議員の動員など様々な対策を講じていた。世耕官房副官房長官のようにインターネット選挙に天才的。頭脳的な分析と対策をチームとして組織化し綿密な世論対策を講じてきた。
だが、肝心のリーダー安倍晋三氏が、国際的な場面で、致命的な欠陥をさらしてきた。
G7サミットでは、国民向けに公的に発言していた経済分析とは全く真逆の「リーマンショック並みの危機」を開会直後に唐突にグラフを持ち出して提言した。このことはドイツやイギリスの首相らに、驚きと違和感、反対する批判発言をもたらした。やがて、唐突な発言が、国内の「消費税10%増税延期」のために、国際舞台の成果を得て、国政選挙に、参院選は無論、うまくいったら衆参ダブル選挙で、一気に憲法廃止・自民党憲法草案をもとにした明治憲法レベルの新憲法を制定していく「合法的なクーデター」を試みる一世一代の賭けに出たものと思われる。
このことは、読み間違えなどというものではなく、安倍総理の国民観、憲法観、政治観を集約的に暴露させるものとなった。
3
このような情勢は、第二次大戦前にあった。ドイツ・ワイマール憲法のもとで、緊急立法による憲法機能の停止と国会議事堂を自ら放火してそれをドイツ共産党(社会民主党)のテロとでっち上げて一気に弾圧していった。この情勢によく似ている。しかも安倍内閣副総理麻生太郎は、はっきりと「ナチスのやりかたをやればよい」という重大な欠陥発言を公的におこなっているのだ。安倍晋三総理ひとりなのでなく、総理副総理とそろって、議会制民主主義、立憲主義から逸脱している。
このような様相のなかで、追い詰められると、ファシズムは必ずテロリズムとフレームアップに出る。その一端が、ヘイトスピーチヘイトデモの今日的様相である。大久保から川崎へと舞台を移して、市民運動や日本共産党など複数の政党も強く異議申し立てするなかで、川崎市長は公園使用を禁じた。国会でも、罰則抜きのヘイトスピーチ禁止条例を決めた。そんな中で、ヘイト団体は川崎市中部中原区の道路使用を神奈川県警に申し出て、なんと神奈川の県警はこれを認めた。国会や市議会が禁止した中での警察の動き。この不気味な懸念を阻止したのは、ヘイト団体のデモに抗議するために集結した数百人の市民たちの動きだった。県警は危険を考慮して、デモを禁止せざるを得なくなった。
今後もこのような根をファシズムとしてもつ暴力や人権侵害行為は起こりうる。
それは、熊本地震の時に、あいついで熊本に朝鮮民族が井戸に毒を入れたというデマと類似の情報がネットなどで流布した。なんとういうことか!戦前の関東大震災の時に、警察は意図的に「朝鮮人が井戸に毒を投じた」とデマ情報を流し、そのために日本人に虐殺された、韓半島から強制連行され、極寒の北海道で線路敷設などで酷使させられ死亡した朝鮮人、中国人の数は相当数いた。茨木のり子さんは長編叙事詩「りゅうりぇんれんの物語」によって、実在人物の事件を表現した。関東大震災では、憲兵甘粕中尉(大佐?)によってアナーキスト大杉栄氏とその家族が虐殺された。
4
今後、安倍政権の暴政に対して、参院選の選挙戦が展開されていく。議会制民主主義と立憲主義、憲法の根本理念にねざした平和と幸福の社会化を促進するとともに、日本社会が重要な政治的問題をかかえていることも無視しがたい。宗教法人「生長の家」からたもとをわかった勢力が「日本会議」として、安倍政権の閣僚の相当数を占めている。「日本会議」「ヘイトスピーチ」だけではない。経済のアベノミクス政策は、中間層を分解し、富裕層と貧困層の二極分化を拡大している。生活的困難で苦しむ貧困層が、アメリカでは事実は異なるのに幻想を投影して、共和党トランプ大統領候補におしあげた。そのようなすそ野の勢力と、民主的な対話と批判によって、社会の全体主義化を阻止する実践は、これから重厚な意味をおびるだろう。
櫻井 智志
1
沖縄県議選で、「大勝利」(翁長雄志沖縄県知事)を獲得した背景に、多くの人々の必死の努力があって、それが報われたことに大きな喜びをおぼえる。改選前の拮抗した議席を大きくのばし、翁長知事支持派が差を広げることを勝ち取った。さて、この勝利を国政にどう発展させることができるか。次の課題となる。
きょうの夜のNHKテレビニュースで、参院選にのぞむ安倍総理と陣営の様子、野党陣営の様子が報道されていた。野党四党(日本共産党・社民党・生活の党・民進党)と市民連合が参院選に共闘するために共同の結束の様子が報道されていた。
野党共闘は重要な成果である。しかし、「市民連合」(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合 ◆呼びかけ団体(有志):戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会/安全保障関連法に反対する学者の会/安保関連法に反対するママの会/立憲デモクラシーの会/SEALDs)の役割は画期的である。野党共闘の政党が、市民の役割を十二分に認識していることも素晴らしい。
市民の動きは、日本国民と在日外国人の政治的実態をよく表している。SEALDsと学者の会では、師弟で率先してとり組む姿が見受けられる。ママの会の役割も、実に創意工夫に満ちて、国民全体を活性化させている。総がかり行動実行委員会が効果的に繰り出す国民的集会は、東京中央とともに、全国各地で活発な集会が全国に轟いている。
2
かつて安倍政権は、アベノミクスや世論盛り上げ、水面下に出ない企業や連合など団体への徹底的な働き掛け、さらにマスコミ受けする自民党議員の動員など様々な対策を講じていた。世耕官房副官房長官のようにインターネット選挙に天才的。頭脳的な分析と対策をチームとして組織化し綿密な世論対策を講じてきた。
だが、肝心のリーダー安倍晋三氏が、国際的な場面で、致命的な欠陥をさらしてきた。
G7サミットでは、国民向けに公的に発言していた経済分析とは全く真逆の「リーマンショック並みの危機」を開会直後に唐突にグラフを持ち出して提言した。このことはドイツやイギリスの首相らに、驚きと違和感、反対する批判発言をもたらした。やがて、唐突な発言が、国内の「消費税10%増税延期」のために、国際舞台の成果を得て、国政選挙に、参院選は無論、うまくいったら衆参ダブル選挙で、一気に憲法廃止・自民党憲法草案をもとにした明治憲法レベルの新憲法を制定していく「合法的なクーデター」を試みる一世一代の賭けに出たものと思われる。
このことは、読み間違えなどというものではなく、安倍総理の国民観、憲法観、政治観を集約的に暴露させるものとなった。
3
このような情勢は、第二次大戦前にあった。ドイツ・ワイマール憲法のもとで、緊急立法による憲法機能の停止と国会議事堂を自ら放火してそれをドイツ共産党(社会民主党)のテロとでっち上げて一気に弾圧していった。この情勢によく似ている。しかも安倍内閣副総理麻生太郎は、はっきりと「ナチスのやりかたをやればよい」という重大な欠陥発言を公的におこなっているのだ。安倍晋三総理ひとりなのでなく、総理副総理とそろって、議会制民主主義、立憲主義から逸脱している。
このような様相のなかで、追い詰められると、ファシズムは必ずテロリズムとフレームアップに出る。その一端が、ヘイトスピーチヘイトデモの今日的様相である。大久保から川崎へと舞台を移して、市民運動や日本共産党など複数の政党も強く異議申し立てするなかで、川崎市長は公園使用を禁じた。国会でも、罰則抜きのヘイトスピーチ禁止条例を決めた。そんな中で、ヘイト団体は川崎市中部中原区の道路使用を神奈川県警に申し出て、なんと神奈川の県警はこれを認めた。国会や市議会が禁止した中での警察の動き。この不気味な懸念を阻止したのは、ヘイト団体のデモに抗議するために集結した数百人の市民たちの動きだった。県警は危険を考慮して、デモを禁止せざるを得なくなった。
今後もこのような根をファシズムとしてもつ暴力や人権侵害行為は起こりうる。
それは、熊本地震の時に、あいついで熊本に朝鮮民族が井戸に毒を入れたというデマと類似の情報がネットなどで流布した。なんとういうことか!戦前の関東大震災の時に、警察は意図的に「朝鮮人が井戸に毒を投じた」とデマ情報を流し、そのために日本人に虐殺された、韓半島から強制連行され、極寒の北海道で線路敷設などで酷使させられ死亡した朝鮮人、中国人の数は相当数いた。茨木のり子さんは長編叙事詩「りゅうりぇんれんの物語」によって、実在人物の事件を表現した。関東大震災では、憲兵甘粕中尉(大佐?)によってアナーキスト大杉栄氏とその家族が虐殺された。
4
今後、安倍政権の暴政に対して、参院選の選挙戦が展開されていく。議会制民主主義と立憲主義、憲法の根本理念にねざした平和と幸福の社会化を促進するとともに、日本社会が重要な政治的問題をかかえていることも無視しがたい。宗教法人「生長の家」からたもとをわかった勢力が「日本会議」として、安倍政権の閣僚の相当数を占めている。「日本会議」「ヘイトスピーチ」だけではない。経済のアベノミクス政策は、中間層を分解し、富裕層と貧困層の二極分化を拡大している。生活的困難で苦しむ貧困層が、アメリカでは事実は異なるのに幻想を投影して、共和党トランプ大統領候補におしあげた。そのようなすそ野の勢力と、民主的な対話と批判によって、社会の全体主義化を阻止する実践は、これから重厚な意味をおびるだろう。