【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

日本報道界の見識《JNN報道特集》感想ノート

2018-02-17 20:17:43 | 政治・文化・社会評論

2018/02/17

                      櫻井 智志


(Ⅰ)オリンピック
 羽生選手のスケーティングは芸術のように素晴らしい。ただ、団体で羽生選手がいない間に、田中刑事選手や宇野昌磨選手が健闘して団体チームをフォローしたことは称賛に値する。大怪我から立ち直った羽生弓弦選手は感動を与えた。

(Ⅱ)大地震
 メキシコ7.2の大地震、先日の台湾の大地震。このような地震と原子力発電所は両立することはない。目先の利益で、壊滅的な破壊を負うことはあまりに悲しい人間のさがだ。福島原発の悲惨さを学ばぬ安倍政権の愚かしさは悲喜劇としか言いようが無い。


(Ⅲ)民族統一の悲願は遠いけれど
 平昌オリンピック開会式を中継で見て、韓国のオリンピック委員長のスピーチを聴いて感激した。開会式そのものが朝鮮の神話や古代史から、CGを取り入れコンピューター機器を駆使して技術の高さを感じた。何よりも韓国オリンピック委員長の挨拶の、しっかりした歴史観・世界観・人間観の思想的高さは、秀逸だった。同時に、北朝鮮の高官らと韓国の大統領らの、現状認識と今後の展望をもつ交流は、予想を超えて重要な貢献を果たした。日本の大手報道機関は「微笑み外交」「美女軍団」と部分的なセンセーショナリズムに終始した。民族が分断された国家(大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国)は、超大国の代理として、戦後ずうっと奔放され、いまだ背後のソ連とアメリカの代理戦争である朝鮮戦争は、一時停戦のままの状態である。平和条約締結による正式な終戦の戦争終焉を終えてはいない。
 1950~60年代に、核兵器を持たぬ北朝鮮がアメリカに核兵器廃絶を要請した。だが北朝鮮の周囲は核大国と核大国支援下の国家群によって取り囲まれていた。そこから北朝鮮の核兵器開発が始まった。北朝鮮の軍事政策は、対極に活発な米韓日の軍事同盟戦争演習で取り囲まれてもいる。文在寅韓国大統領の決断は叡智を感じさせた。南北朝鮮が、一気には融和から統一へとはなるまい。米国ペンス副大統領は帰国後事態の進展に応じようとしている。トランプ大統領の意のままの安倍首相は「対話よりも圧力を」と平昌まで行きながら、情勢を見極められずオウム返しの口調。情けなくなる。南北の終戦問題は、日本にも重大な影響がある。軍拡日本こそ東アジアに危険な存在になりつつある。


(Ⅳ)若者たちと教育者たち
 国会混乱を脇目に見て、国民に影響ある戦争準備基盤は進行中。安倍政権の政策の結果、富裕層と貧民層の二極分化は、若者たちにしだいに兆候から実態として「経済的徴兵制」をもたらしている。社会文化から平和思想に関わる行事、講演会などを公的機関が断る例が増えている。そんな中でも若者たちはSealdsとその後継「未来への公共」など、自立的な個人が市民運動に結集し、柔軟で瑞々しい働き掛けの動きもある。「戦争体制」は国民が自然にそうなるわけではない。系統的組織的計画的な長年の「戦争推進」派の周到な取り組みによるものだ。国家主義的軍隊と人民的軍隊と二種類はない。日本の没個性主義下、軍隊そのものが戦争遂行集団、自衛隊も内部の差別構造や女性自衛隊員への強姦事件が隠蔽されつつ告発されている。

 戦争末期、知覧の基地から若者たちが特攻隊として飛びたっていった。自分はわずかな時差により、一足あとで敗戦を迎え、死ぬことなく戦後を迎えた。ペスタロッチ賞を受けた和光学園長丸木正臣先生は、戦後を二度と若者たちが戦場へむかって死ぬことのないよう、平和の感性を育む教育に心血を注いだ。日本教育史学会や日本教育学会などの会長を務め、同じペスタロッチ賞の中野光名誉教授も丸木正臣氏と同じ教育を、桐朋学園小学校、金沢大学、和光大学、立教大学、中央大学で実践なさった。この世代には山﨑昌甫静岡大学教授、海老原慈善東京学芸大学教授らもいて、熱心に実践なされた。丸木先生とお二人はいまは鬼籍に入られた。合掌。