【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【自民党総裁選】大手マスコミ「#報道ステーション」「#news23」の報道検証

2020-09-08 23:57:42 | マスコミ報道への私見
2020年9月8日放送分

#報道ステーション
Ⅰ:報道ステーションの報道検証
自民党総裁選に立候補している3人の政策を特集した。

 ❶アベノミクス
菅義偉候補は「アベノミクスで雇用が増大した」と述べた。不破茂候補は「雇用がふえたのは高齢者や女性で正規雇用は増えていない」と述べた。岸田文雄候補は「格差が増大している。中間の層が二極化している」と述べた。キャスターが菅氏の「自助、共助、公助」説に疑問を呈すると菅氏は「絆」を加えた。

❷新型コロナ特措法の改正
菅氏は3月に改正したと述べた。この改正は、従来あった法を新型コロナに対応させたものだ。石破氏は「コロナを収束させるために知恵を出し合うのが国会である」と述べた。菅氏は「いまは新型コロナに全力を雨あげるべき」と言いつつ、実態に応じて法改正は、パッケージで決めた法があると述べた。

❸安倍政権「負の遺産」どうする?
菅氏は自死した赤木氏に悔みのことばを言いつつ、財務省、警察、検察、国会で十分尽くしたので再度の検証には及ばないと述べた。不破氏は「国民の不審や官僚の意欲を殺ぐ。結果は検証に入ってみなければわからない、国民の側を見なければいけない」と述べた。菅氏は「官僚主導でやるべきでない」。岸田氏「透明性やルールへの不信を招くので慎重であるべき」と述べた。
菅氏は「国民が最大の要望はコロナ解決なので解散すべきでない」と述べた。

❹まとめ

テレ朝のキャスター・コメンテーターは、比較的客観的で冷静であった。3候補の中で派閥の圧倒的多数を集めたという菅候補は、安倍首相と大同小異。自民党総裁になることに異論はないが、首相の器ではない。野党が総選挙で多数をとり、自民党よりも議席を国民から信頼を得る以外に選挙による議院内閣制で首相の座を得るしかないだろう。


#news23
Ⅱ:news23の報道検証
自民党総裁選に立候補している3人が出席した。

❶首相になったらこれだけは

石破氏「地方に雇用と所得を」
菅氏「規制改革」
岸田氏「経済分配 新しい資本主義」
星氏「PCR検査なぜ少ない?」
菅氏「コロナでも縦割りの規制が強い」
「地方分権なぜ進まない?」
石破氏「私が担当者の時も取り組んだ。政府としてしっかり地方分権を進めていく意識が必要」

❷質問のキャッチボール

➀岸田氏から石破氏へ「非核三原則をどう考える?」
石破氏「核のかさの実効性を論じることは必要ではないか。
岸田氏「非核三原則は必要と思う」
石破氏「アメリカと欧州とのやりとりがあるが、アメリカは日本から聞いたことがない」

➁菅氏から石破氏へ「辺野古見直し」
石破氏「普天間の負担を改善、辺野古も負担を減らしたい」
菅氏「石破氏から埋め立て中止の意見を聞いたが」
石破氏「負担を減らす観点が重要」

➂石破氏から菅氏へ「憲法改正9条・自衛隊は?」
菅氏「自衛隊は台風や災害に出動し国民に歓迎されている。自衛隊を憲法に位置づけたい。」

❸アベノミクス
石破氏「70点。格差が広がっている。低所得者に雇用と光」
岸田氏「80点。7年8か月前に比べると成果があがった。地方や低所得者への広がりがかける、金融緩和。成長戦略が課題。」
菅氏「80点。政権交代前と比べると、はるかによい。地方に効果が上がっている。27年ぶりに。600世帯と生活保護世帯も減っている。」

❹官邸主導人事の検証
岸田氏「官邸に人事局を集めた。意味はあったが、忖度の疑念が国民にあり晴らす必要がある。
菅氏「非常に誤解されている。省庁の大臣が決めている。私がはじめて海上保安庁長官を私が決めた」
遊佐部長「公文書の管理は?」
菅氏「徹底している」
不破氏「600人もの人物が把握できるか。不健全であり、辞めるべき」
菅氏「大臣の納得のない人事はやっていない」
星氏「もし総理になったら解散総選挙は?」
菅氏「コロナ対策が国民のこえ。コロナ収束の度合いによる。」

❺まとめ
「報道ステーション」の放送と録画とどちらが先か。石破氏と菅氏のやりとりが互いの政治観の根本に関わるので本物の議論だった。山本キャスター、遊佐部長の発言は公正だった。星アンカーは立場上と思うが、円滑に進めるために菅氏への配慮や岸田氏への親近感が若干見られた。3人の対談で最も自民党多数派閥の支持を得てほぼ当選間違いあるまいといえそうな菅氏の論理、政治観が最も劣る。それが自民党の平均値か?



Ⅲ  短い私見

 TBS「news23」もテレビ朝日「報道ステーション」も、現在の報道番組においては良識と常識をわきまえた番組である。それだけに番組内容への制作サイドの苦労と苦心がしのばれる。
 だが、具体的事実を扱う報道では
➀ 報道内容
➁ 報道の信憑性
➂ 報道の客観性
④ 報道の主張の適切さ
が問われる。
 さらにここ10年間の政府与党のテレビ局への介入は高市総務相の「放送免許とりあげ」会見以後、実に放送現場のかたがたの筆舌に尽くしがたいトラウマに、外からいい加減なことをいってすむような簡単なものではない。
 両番組と関係者のご発展とご健勝を願っています。<了>