【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【永岡浩一さんからの通信】 西谷文和 路上のラジオ(2021/2/12更新) 

2021-02-12 20:47:26 | 転載と私見
【序語】
永岡浩一氏とは、長い知り合いである。ジャーナリスト篠田博之氏が主宰する月刊『創』の読者投稿欄に永岡さんの投稿がない号はほとんどない。週刊金曜日投稿欄でもよく永岡氏のお名前の投稿を拝見した。その永岡氏が、毎日丹念に、ラジオのジャーナリズム報道番組を追い続けている。以下に永岡浩一氏の持続する問題意識を読者の皆さんと共有したいと思う。

【本文】
【永岡浩一さんからの通信】 西谷文和 路上のラジオ(2021/2/12更新)青木理 アベ・スガ政治の危険性とテレビのあり方を語る、嘘つき安倍氏とポンコツ菅氏のデタラメを許した原因はマスメディアにもある、そのマスメディアも経営はしんどいが、ジャーナリズムを維持しないと民主主義は破綻する!


 永岡です、西谷文和、路上のラジオ、Radio on the Street、第46回、今回のゲストは満を持しての登場の、ラジオジャーナリズム界の首位打者、ジャーナリスト&ノンフィクション作家の青木理さん、3・11以降無数のラジオニュースの書き起こししてきたものの、青木さんと西谷さんはラジオでは初顔合わせです(昨年ABCテレビのキャストでの西谷さんアフガニスタン報告の際のレギュラーは青木さんでした、その際にジャム・ザ・ワールドに西谷さん出してほしいとメールしたのがこの形で実現です、https://www.radiostreet.net/radio/722/ )。そして、森会長の後任に決まったはずの川淵氏が辞退、どうやらツイッターデモが功を奏した模様です(あるいは中止確実なので川淵氏逃げたか…)。



その前に、TBSラジオの、荻上チキセッション、東京オリンピックの森会長が退任、そして後継指名?された川淵氏辞退ですが、森氏、延々と演説、この件澤田大樹さんが報告されました。

 澤田さんも記者会見に出られて、15時に組織委員会理事会があり、森氏が辞意表明、16時半まであり、17時から組織委員会記者会見、こちらは内容未定、しかし森氏は延々30分演説、それもバッハ氏に褒められたと自画自賛、この件でツイッターに森氏の演説が長いと書き込み殺到!澤田さんは記者会見会場に入れず、森氏は反省していない、そして老害というのは森氏の発言=他人の批判ではなく、女性蔑視を無意識にしているのが自分の問題なのに森氏自覚していない。

 クラブハウスを使用してチキさんと澤田さんこの記者会見対応を検討されて、オリンピック中止の検討も次の会長にあり、JOC理事もオリンピック実現困難との発言もあったほど。チキさんも森氏の周囲がちゃんとレクチャーしていないと説かれて、澤田さん、組織委員会で森氏と話を練り合わせず、それで森氏の差別発言をさせてしまい、組織委員会で森氏の差別発言の問題を理解していなかった=森氏自身差別体質だと説かれました(今夜のTBSラジオのアシタノカレッジは平尾剛さんがオリンピック批判をされます、テレビだと森氏を叩けてもオリンピック中止とは口が裂けても言えないみたいです)。



 路上のラジオ、この番組は何の忖度も自粛もなく、リスナーより、毎回厳しいネタも聞ける、政治家は国民の幸せを泥棒している、西谷さんに泥棒と闘ってほしいとの声があり、非常事態に菅総理は官僚の作文を読むだけ+ウソツキ、菅・安倍氏らを追放しないと国が亡ぶと説かれました。

 青木さんはテレビでも冷静な展開をされるものの、時間制限が厳しく、ラジオでは毎週レギュラーでも、1時間丸々青木さんのゲストは珍しいです。リスナーから青木さんを出してくれとリクエストも殺到、安倍・菅政治の危険性について、菅政権は支持率低下、コロナでデタラメ、これだけポンコツだとダメ、青木さんは政治記者ではなく、それには死んでもなりたくない(笑)。共同通信社会部、外信部にいて政治記者はなりたくなく、政局の生々しい話は知らず、その点リスナーと似て、しかし菅政権はポンコツ、支持率は発足時の半分、コロナ対策は後手後手+デタラメ。補正予算のうちGoTo15兆円、コロナ対策4兆円は、編成が緊急事態の前、GoTo予算が積まれて、それも3月まで、1月末収録、しかし3月で緊急事態解除はあり得ず、解除でもGoToは無理=予算は組変えるべき。しかし、メディアも伝える観光族のドン、二階氏に配慮か?GoTo中止に二階氏は菅氏に激怒、しかしコロナ禍でGoToにとどまらず、ひどい政権をもって我々は不幸。

 安倍政権も不幸だが、今は不幸の二乗、しかし、青木さんは安倍氏の逃げ足は見事(笑)、安倍晋三氏に取って最善の時にズラトン、青木さんは安倍三代も書かれて、しかし自民党の他がダメで7年8カ月の最長+秋冬にコロナ拡大+秋にトランプ氏敗北+オリンピック中止=8月末しか腹痛で逃げるタイミングはなく、メディアもそうだが、市民全員、安倍氏に責任を取らせるべき。安倍氏は潰瘍性大腸炎というが、辞任時に診断なし、2007年の辞任は医師も同席、今回は医師の同席はなく診断書なし+辞めたとたんにワインを飲み、しかし国際的には最高指導者の病気はトップシークレット、しかし安倍氏は隠して、青木さんは逃げるタイミングの嗅覚の鋭さに唖然(笑)、後始末は菅氏、菅氏も官房長官で共犯だが、潰れそうな店から最初に安倍氏は逃げて、逃げ足の天才+嘘をつく天才。

 青木さんは、岸井さん(ニュース23の方)、毎日新聞政治部記者、岸井さんは安倍氏の父親の番記者、総理を約束されて、竹下氏がなり、岸井さん、秘書をしていた安倍晋三氏について、父親はどうしようもない奴だが言い訳をさせたら天才(笑)、言い訳の天才と嘘をつく天才は違うが、安倍氏は桜のみで国会で118回嘘をついて、ウソツキ+逃げ足早い、大したもの(笑)。西谷さんも絶妙のタイミングで逃げたと説かれて、青木さん、あの後やっていたらコロナで叩かれて、最長記録になりズラトン。

 菅氏、アセアンをアルゼンチンといい、国民皆保険をなくすetcで側近の足を引っ張り、菅氏は安倍政権の官房長官=政権のスポークスマン、詰められたらご指摘は当たらないと望月さんから逃げて、菅氏は鉄壁のガースーと言われていたが、漏れ漏れ「政治ジャーナリズムの責任が問われる」、こんなポンコツ総理を持ち上げたメディアは責任は大きく、読み間違えしても信念のある政治家ならいいが、菅氏はポンコツなのにばれなかった=メディアが真実を伝えていない、菅氏の7年8カ月の官房長官時代に、望月さんから逃げ回り、官房長官番記者は菅氏のポンコツに気づいていなかったか、それなら無能、知っていて書かなかったらもっと問題、官房長官の記者会見で糺すシステムがメディアにあったら安倍氏も菅氏ももっと早く淘汰されていて、青木さんは記者との丁々発止で記者も官房長官も鍛えられるべきものが、パンケーキ接待+オフレコ、ポンコツを伝えなかったマスメディアの政治部は問題。青木さんは政治部の解説をされると、記者会見は儀式、官房長官は様々な情報を持ち、それをとるのが政治部の番記者、番記者に青木さん取材されて、菅氏の知っていることを番記者はみんな熟知=記者会見はヤラセ、テレビ的に視聴率を取るための儀式=記者の背後の国民は無視、マスメディアの責任は大きく、しかしこのラジオもだが、ネットで権力の監視もあり、総理、官房長官の記者会見は追加質問ができないのはおかしい、マスメディア、特にテレビはこんなデタラメを放置した責任は大きく、菅総理のポンコツぶりには唖然だが、菅総理の発信能力のなさはメディアにも責任はある。

 西谷さん、トランプ氏はCNNはガチンコであり、記者クラブ制度問題を問われて、青木さんは記者クラブ全面否定はせず、官邸、警察に記者クラブがあるか、政府機能の近くにメディアの取材拠点はあってもいいが、閉鎖性=フリーランス排除、そして官房長官張り付き記者は癒着が仕事、警察だと捜査、公安担当だとそこに張り付いてネタを取るもので、例外的に警察の不祥事を報じた記者もいたが、結果的に組織に癒着してしまい、記者クラブは、黒川氏と賭けマージャン、大谷昭宏さんは、彼らは検察ナンバー2と緊急事態でマージャンのできるのは「優秀」と説かれた通り、彼らは黒川氏のスキャンダルを書いたら失脚+そのままだと黒川氏は検事総長=記者は黙認したら自分も出世。西谷さん、権力者と寿司を食べていないと説かれて、青木さん、ジャーナリストは食い込まないと書けないが、食い込み過ぎでミイラ取りがミイラになることもあり、そういう癒着型のジャーナリズムだけではない、しかし、懐に飛び込んで行かないとダメな例もあり、アメリカのウォーターゲート事件のネタ元はFBI、大阪地検の村木さん冤罪事件は朝日新聞の板橋記者のスクープ、食い込む必要はあるが、それでズブズブになったらだめで、世界共通のジャーナリズムのあり方、アメリカだと取材対象からコーヒー一杯もダメ、記者クラブ制度の弊害は前からあり、インターネットで、マスメディアも監視されて、官房長官会見は望月さん、ユーチューブで国民の知ることになり、マスメディアと政権のおんぶにだっこがばれて、テレビ、新聞は経営的に苦しい、特に新聞は創価学会のCMも増えて、マスメディアは安倍政権から圧力、国民の応援なし、経営的には紙の新聞は売れずマスゴミとさげすまれて問題。

 西谷さんは、菅氏、官房長官記者会見で嘘を言い、国会でも111回答弁しないというもの、菅総理はいつまで持つか、二階氏のみ限るXデーはいつか、東京オリンピックも当然中止、青木さん、東京医師会の尾崎さんと話しても、東京オリンピックは無観客でも大変、選手の検査は、東京都で1日PCR検査1万件で、とても都民とともにできず、入場料収入900億パー。無観客だと、放送権をもつNBCはどうする、外国人選手が来ず国体(笑)。

 尾崎さんは、オリンピックだと熱中症対策の医療班がいると言われている=オリンピックは無理、なら10月の総選挙まで与党の上げ潮、ワクチンも河野太郎氏デタラメ、河野太郎氏はNHKに勝手なスケジュールを報じるなと言うが、NHK以外も報じて、河野氏のみしらない、メディアに責任転嫁はトランプ氏や橋下徹氏、あるいはイソジン吉村知事、青木さんは大阪だとみんなイソジンを飲んでいると笑われました。



 後半は青木さんがコメンテイターのテレビ番組を取り上げて、テレビの問題点を解説するもの、青木さんはモーニングショーも火曜日に出られて、しかしあそこにはスシロー氏(田崎史郎氏)が出て大変だと西谷さん振られて、青木さん、政治記者には様々なものがいて、スシロー氏は確信犯、安倍氏を守るというのではなく、安倍氏を守るのは岩田明子氏、山口敬之氏らもいて、安倍氏の親衛隊は何の共感もなく、ネタをくれるから=出世のため。スシロー氏、ラジオ番組で対談して、スシロー氏は安倍政権の代理人と批判したら、スシロー氏は政治記者で、時の政権に食い込んで知らせるのが仕事と開き直り、政権に食い込むのが仕事といい、スシロー氏はメディアの使命はわかっているものの、スシロー氏の安倍擁護は度を越している。御用ジャーナリストワーストテンに入り、しかし青木さんはネトウヨに叩かれて、一昨年の週刊文春では好きなジャーナリストは10番目、嫌いは2位、1位は宮根誠司氏、3位は志らく氏、1,3位は帯、青木さんは週一、いかにネトウヨに嫌われているか。

 青木さんは、テレビの世界から足を洗おうかと説かれて、西谷さんはまともなコメンテイターとして応援されて、さらにサンデーモーニングのことも、青木さんは通信社記者として、口で発信と原稿で発信は異なり、青木さんは共同通信をやめたのは調査報道やノンフィクションをしたいため、テレビは本業ではなく、しかしテレビの影響力は今でもマスメディア最大であり、テレビでもサンデーモーニングは市民の支持を得ていて、それで青木さん活躍して、西谷さんはそれはネトウヨの組織票で青木さんワースト、市民は応援していると説かれて、青木さん、30秒、一分でまとめるのはなかなか大変。

 サンデーモーニングは黒板に書いて説明するもの、パソコンをしていたら漢字を忘れることもあるが、青木さんは黒板を書くのはそれでも緊張する、青木さんは緊張では鈍感、西谷さん、それは長生きのこつと説かれて、そしてメディアへの安倍氏、菅氏の圧力は凄まじい、コメンテイターはテレビから追放、岸井さんも安倍親衛隊から袋叩きというものがあり、青木さん、岸井さんはあれで参った、相手は組織、岸井さんは孤軍奮闘、しかし安倍晋三氏の正体を知っていたため攻撃された、籠池夫妻と同じ。しかし岸井さんは真ん中にいて、世の中の極右化で左に見えて、しかし岸井さんは政治家からネタを取る記者から、論説委員になり、立ち位置が変わり、政治家との距離感、俯瞰できて、しかし岸井さん、国谷裕子さんなど追放される人ではない。

 国谷さんはすべき質問を安倍氏にしただけ、戦争に巻き込まれたらと聞くべきことを聞いて、安倍政権以来の極右化があり、極右にいて変わった人が真ん中になり、真ん中の人が左になったのは、安倍政権の7年8カ月のため。

 岸井さんは佐藤栄作氏のテレビは出ろ発言で出たもので、岸井さん、国谷裕子さん、古舘伊知郎さんと追放されて、しかし岸井さんの前は筑紫さん、古舘伊知郎さんの前は久米宏さん、テレビ朝日とTBSのエース、メディアの迫力もなくなった。筑紫さん、久米さんは沖縄も厳しく追求されて、政権の圧力はどの政権にもあり、支配層から見たら目障り、政権のあり方ももちろん問題だが、ジャーナリズムは政権に鈴をつける役。スシロー氏は、テレビ制作者が、スシロー氏を出せば政権の意向を伝えているとアリバイ作りになるとするが、テレビにはアリバイ作りは不要。アメリカはFOXはトランプ氏全面支持、CNNはトランプ氏と対峙、しかし日本は産経などアメリカのFOXばかり、青木さんは日本テレビには出たことはなく、ミヤネ屋にも出て、上層部の意向で排除。西谷さんは後藤健二さん殺害の時にはミヤネ屋に呼ばれず、その後、ジャーナリストはどうしていくかというので出されて、安倍晋三氏が後藤さんを殺したと西谷さん言いたかった。

 報道ステーションも菅氏の側近、中村格氏(山口敬之氏の逮捕状を握り潰した張本人)の電話で古賀茂明さんをパージして、青木さんはフリー、古賀さんは経産省にいて、前川喜平さんも同じ、敵より身内の飼い犬に手を噛まれたのに怒り(笑)。

 アベ・スガ政治で嘘がまかり通り、これについて青木さんはメディアの問題であり、青木さんは政治記者ではないが、安倍政権の支持率の半分は他にないから、積極的に支持するのは多くて2割、消極的支持が大半、安倍・菅政権を批判するものも多く、一強ではなく弱く、それでメディアに圧力、そして選挙制度が小選挙区制であり、青木さんは野党を強く推すものではないが、野党に取って代わられる緊張感がないと引きずりおろされる、韓国などそれで手が後ろに回るが、政権交代のある社会で緊張感がないとダメ。西谷さんは野党共闘して政権交代をしてほしいと説かれて時間になりました。



 …いや、私も大ファンの青木さん、JAMTHE WORLDや大竹まことゴールデンラジオでも話されないネタも多数話されました、この番組はスポンサー圧力から自由になるために企業スポンサーはなく、皆さんの支援をよろしくお願いいたします。こういうラジオが続いているなら、日本は大丈夫だと思います、以上、路上のラジオ第46回でした。


【色平哲郎氏のご紹介】竹中さんおめでとうございます

2021-02-12 14:22:19 | 転載
(ゴールドマン・サックスのロバート・)ゼーリック副会長から竹中平蔵氏へ送られたある手紙の存在が明らかに出たのは、2005年8月、まさに「郵政民営化」を問うあの解散総選挙の前月に行われた、参議院特別委員会でのことでした。
民主党(当時)の櫻井充参議院議員が、竹中郵政民営化担当大臣に、こんな質問をしたのです。


「竹中大臣、あなたは今まで、アメリカの要人と民営化について話し合ったことはありますか」

この質問に対し、竹中大臣はキッパリとこう否定しました。

「いいえ、一度もございません」

そうですか、では・・・と言って、櫻井議員がその場で読み上げたのが、ロバート・ゼーリック氏から竹中大臣に宛てた手紙だったのです(第162回国会 参議院 郵政民営化に関する特別委員会より:以下要約)。


「竹中さんおめでとうございます。
あなたは金融大臣としてよいお仕事をされ、それが新しい任務につながったのですね。
この任務を小泉首相が貴方に託した事は我々にとって非常に心強く、貴方には以前と同様の決意とリーダーシップを期待しています。

保険、銀行、速配業務において、競争条件を完全に平等にすることは、私たち(米国)にとって根本的に重要です。
郵貯と簡保を、民間とイコールフッティング(同条件)にすること、つまり、これらについて今までの税制や保護、政府保証を廃止して、民間と同じ条件にしてほしいのです。
具体的には以下について、貴方を後押し致します。

(1)民営化開始の2007年より、郵貯・簡保業務にも民間と同じ保険業法、銀行法を適用すること。
(2)競争条件が完全に平等になるまで、郵貯・簡保に新商品や既存商品の見直しは認めないこと。
(3)新しい郵貯・簡保は相互扶助による利益を得てはならない。
(4)民営化するプロセスの途中に、郵便局には一切特典を与えてはならない。
(5)民営化のプロセスの途中で、米国の業者を含む関連業者に口を挟む場を与え、
   その意見は決定事項として扱うこと。

これらの改革に取りかかる際、私の助けがいる時は遠慮なくおっしゃって下さい。

貴方は立派な仕事をされました、、、新たな責務における達成と幸運を祈念致します。
貴方と仕事をするのを楽しみにしております」


手紙で触れられているのはあくまでも郵便貯金と簡保のみ、明らかに日本国民の貯金340兆円を、ピンポイントで狙いうちにした指示でした。

まさに内政干渉の極みといったこの事件、そこにいた議員たちは皆ショックを受け、室内はざわめきで一杯だったそうです。

この手のことになると日本のマスコミは一斉に「報道しない自由」を行使して沈黙しますから、翌日の朝刊にはこの委員会のことどころか、竹中氏の「竹」の字すら載っていませんでした。

郵政民営化法案は、心ある愛国議員たちによって参議院では一旦否決されます。

その翌日、ワシントンの広報誌であるウォール・ストリートジャーナルはこんな記事を出しています。


「これで我々が待ち望んだ3兆ドルは、しばらくお預けだ。
が、しかし、小泉総理は頑張るに違いない」


ええ、頑張りました。

とりわけ、アメリカからの指示を受けた竹中郵政民営化担当大臣はしっかりとその期待に応え、それまで誰も手をつけなかった郵政民営化は、小泉政権下であっさりと実施されたのです。

07年には郵便局会社・郵便事業会社・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の4社に再編され、15年には東京証券取引所第一部に上場、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険も同様に、日本郵政から株が売り出されました。

それまで安全な日本国債で日本国民のお金を運用していたゆうちょ銀行は、米系企業の株式や債券に投資する比率をどんどん上げ始め、ゴールドマン・サックスの勧めるリスク商品に投資するようになったのです。

竹中氏を後押しして郵政民営化の実現に貢献したゼーリック氏は「大金星」を上げ、世界銀行総裁、国務長官と順調に出世の階段を登ってゆき、13年には再びゴールドマン・サックスへと舞い戻り、国際戦略アドバイザー統括責任者という輝かしい椅子を手にいれたのでした。


ウォール街関係者との間でこの郵政民営化の話題に出ると、「小泉総理が郵便局の貯金を差し出し、次に彼の息子が農協の貯金をウォール街に捧げてくれる」などという不吉な言葉が出てきます。

350兆円の郵便貯金の次にウォール街が喉から手が出るほど欲しいのは、600兆円と言われる農協の貯金、そして私たちの老後を支える、130兆円の年金です。小泉進次郎議員が熱心に進める「農協改革(解体)」が完全に民営化路線なのは偶然ではありません。親子二代で貢献しています。

そして私たちの年金にも手が伸びてきました。


・私たちの年金がどんどんウォール街に流れていく

私たちの厚生年金と国民年金の管理・運用を行なっているGPIF(「年金積立金管理運用独立行政法人」)の資産規模は世界最大級です。

GPIFの運用比率が1%上がると1兆円を超える資金が市場に流入する、凄まじい規模で、ウォール街にとってはまさに垂涎(すいぜん)ものでした。

世界中どこの国でも、国民の老後を左右する年金の運用は慎重に行われています。
日本も例外ではなく、年金は6割以上が、最も安全な国内債券で運用されていました。

そこでウォール街が目をつけたのが、政権支持率を株価に支えられていた安倍政権です。
2014年10月、安倍政権の下でGPIFの運用委員会は、まず株式保有率の上限を撤廃し、年金は高リスク商品にバンバン入れられるようになりました。
国内株が25%、外国株が25%と、半分を株が占めるようになったのです。

すると15年には巨額の損失を出してしまった。
ただし国民がそれを知ったのは翌年7月末でした。
何故ならこの時期参院選があったので、不利になる情報は選挙後まで発表を遅らせていたからです。
それから19年までの5年間のうち、2年はマイナスを出し、19年には8兆円規模の損を出しています。

株式に投資する比率を跳ね上げてから、運用実績は悪くなってしまったのです。

でも政権支持率を株価に支えられている安倍政権と、年間数億円の運用手数料が流れこむ外資系金融機関および海外投資家にとっては順風満帆でした。

高い報酬を払ってウォール街から人材を入れる方針も閣議決定され、ゴールドマン・サックスらが私たちの年金を運用、利益を出しても損失を出しても、なんと彼らは毎年1億円の手数料を受け取っているのです。GPIFが運用を委託する金融機関14社に支払っている手数料は319億円。

14社中10社は外資系金融機関ですからウォール街は笑いが止まりません。

アメリカのある自治体議員にこの話をしたところ、「130兆円もの国民の老後資金を、危ない商品に投資するなんて正気なのか?」と呆れていました。
世界中を見ても、国民年金を国家レベルでこんなに株式運用している国などありません。

運用に失敗した場合、そのツケをかぶるのは私たち国民だからです。


さて、ウォール街の作った危ない商品を買い過ぎて、リーマン・ショックで1兆円を超える損失を出した農林中金も、郵貯やJAバンクと同様に、未だにハイリスク商品を買い続けています。
特に、信用の低いアメリカ企業が借りるローンを束ねた危険度の高い「CLO(ローン担保証券)」という商品を大量に買い続けているので心配ですね。

郵便局のお金、そして私たちの年金、農協のお金など、日本人の大切な資産は、ずっと前から、今も、彼らのターゲットにされてきたのです。

【堤未果「株式会社アメリカの日本解体計画」経営科学出版 2021年1月20日 52ページ】

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コロナ禍(か)で誕生した菅(すが)政権の人事を見ると、総理のブレーンに収まっているのは、元ゴールドマン・サックスのトップ(共同運営パートナー)でかつて安倍政権のIRやインバウンドを進めたデービッド・アトキンソン氏だ。

彼は前政権の頃から、日本の中小企業を「生産性が低い」と批判し、再編して数を半分に減らすべきだと主張し続けている。

政府は彼の助言に沿って、7月11日に企業の再編を促す「成長戦略実行計画」を閣議決定したが、アトキンソン氏の真のターゲットは、日本の中小企業を守っていた「中小企業基本法」の廃止だ。

成立すれば秀逸な技術を持つ日本の中小企業は淘汰(とうた)され、M&Aが盛んになり、ウォール街に巨額の手数料が流れこむ。
準備に余念がないールドマン・サックスは、早々と3月に日本で富裕層向け資産運用ビジネスへの参入を決定済みだ。

【堤未果「株式会社アメリカの日本解体計画」経営科学出版 2021年1月20日 13ページ】

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