【現代思想とジャーナリスト精神】

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首相の伊勢参拝は違憲だ

2022-01-10 07:17:21 | 転載
首相の伊勢参拝は違憲だ

         前川 喜平
2022年1月9日東京新聞視写



 岸田文雄首相は四日に伊勢神宮を参拝した。首相の正月の伊勢神宮参拝は1967年の佐藤栄作首相以来の慣行だ。

 岸田氏が個人としてどの神社にお参りしようとそれは全く自由だ。しかし岸田氏は内閣総理大臣といsて参拝した。信教の自由の保障と政教分離原則を定めた憲法第20条は、第三項で「国及びその機関は・・・いかなる宗教的活動もしてはならない」と規定している。内閣総理大臣は国の機関だ。伊勢神宮参拝は宗教的活動だ。だから内閣総理大臣は正月に伊勢神宮参拝をする慣行は憲法違反だと考えざるを得ない。


 仏教寺院であれキリスト教教会であれ、首相の立場で参拝すれ憲法違反だ。しかし伊勢神宮の違憲性はもう一段高い。なぜなら日本国憲法の政教分離原則の狙いは天皇を神格化した国家神道の廃止にあったのであり、天皇の祖先とされた天照大神を祀(まつ)る伊勢神宮は国家神道の最高位の神社だったからだ。


 首相の靖国神社参拝にも同じ憲法問題がある。過去の軍国主義との関係やA級戦犯の合祀(ごうし)の問題に焦点が当たることが多いが、1985年の中曽根康弘首相の靖国神社参拝公式参拝については、1992年の福岡高裁と大阪高裁の判決が政教分離原則に照らして違憲の疑いがあると述べている。首相の靖国神社参拝も外交問題である前に憲法問題なのである。(現代教育行政研究会代表)