再三話に登場している「安東水軍」なる酒を造る醸造元を訪ねる。
鯵ヶ沢駅から海辺に向けて車を進めて、漁師町という地所にあるのが尾崎酒造で、白神山地から湧き出る水で仕込む酒だ。
もちろん、冬は仕込み真っ最中で新しい杉玉が店先に掛かる。
中にお邪魔すると、いきなり好い麹の香りが鼻を擽る。
道路に面した店舗兼事務所部分とは打って変わって仕込み部屋に歩を進めると、
歴史を感じさせる高天井で脇で案内してくれたのは当代若当主。
その先に仕込み蔵と続く。
石高はごく少な目ではあるが、従来からの手作業に依る舟作業中だった。
かわいらしい琺瑯引きの仕込樽が特徴。
やや甘口ながら切れが良くさっぱりした飲み後感は、
北はロシアから南は天竺=インドまでの大海原を闊歩して甘いも酸いも知り尽くした
水軍好みの味に仕上げられているのだろう。
2018年 睦月 尾崎酒造にて
ちょっと重苦しい写真を連発しているのでブレークタイム。
今晩、撮影地「ヒガハス」で知り合ったお仲間との初会合を大宮で。
実に楽しいひと時だった。
そんなわけで、美酒に引っ掛けて日東流=津軽の銘酒の話。
先だっても触れた、鯵ヶ沢の酒である尾崎酒造の安東水軍。
ちょっと濃いめ(=甘口ながらすっきり)の酒である。
東北の有史後の群雄割拠を平定して行く安倍氏はその流れを汲んでいるという説もあって、
その歴史ロマンに酔いしれることができる津軽の地酒。
日本海を縦横無尽に駆け巡っていた海賊の名を受け継いだ。
そんなロングランの海賊の話と、今晩の美酒の話のメインであるゴハチ話には
様々な共通点を感じて、酔いに依るグダグダ文章にて・・・
下)1982年 師走の朝の上野駅