http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e4%b8%89%e8%8f%b1%e8%87%aa%e3%81%ae%e6%8e%92%e3%82%ac%e3%82%b9%e4%b8%8d%e6%ad%a3%e3%82%92%e6%8b%9b%e3%81%84%e3%81%9f%e3%83%a6%e3%83%ab%e3%81%84%e5%b7%a5%e5%ad%a6%e6%96%87%e5%8c%96/ar-BBsH5gH?ocid=spartandhp
独自動車メーカー大手・フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題が、昨年、世界的に大きな注目を集めた。わずか1年のちに、今度は、日本を代表する大手自動車メーカーの排ガス不正が明るみに出た。三菱自動車の排ガス検査の改ざん問題だ。
一方で、トヨタと世界一の生産台数を争ってきたフォルクスワーゲンと、日本では屈指の巨大企業グループである三菱の自動車メーカー。伝統も格式もある大手自動車メーカーによる立て続けの不正ということで、「いったい、どうなっているんだ」と嘆きたくなる人もいるかもしれない。
ただ、日本企業、とりわけ自動車産業に関わる企業のスキャンダルの社会問題化はほかにもある。例えば、トヨタ自動車の米国での「意図しない急加速」問題を巡る集団訴訟や、タカタのエアバック問題などだ。特に最近の大手日系企業による不正は、まさに目を覆いたくなるほどだ。
結局、トヨタは訴訟で和解に至ったものの、タカタはより深刻な課題に直面している。リコール台数や約1890万台にまで拡大し、リコール費用も、高く見積もった場合には、約4000億円に上るのではないかとみられている。同社の純資産をも超えるリコールを費用をどう負担するのか、ともすればタカタの存続の危機となる可能性すらある。
■「大きければ大丈夫」が最早通用しない日本企業の不正リスク
ただ、過去の日系企業の不正を振り返ると、そのリスクの根は深い。約10年にも及ぶ長期にわたって損失を隠し続けたオリンパス事件も、粉飾会計がまかり通っていた。しかも、自ら招聘した英国人経営者・ウッドフォード氏の勇気ある告発によって、ようやく露見した格好だ。
現在、すでに明らかになっているところでは、当時のオリンパスの経営陣には、オリンパス事件そのものを隠蔽しようとしたり、ウッドフォード氏を社長から解任しようとする動きさえあったという。
ただ、ウッドフォード氏の解任だけで事態が落ち着かなかったのはむしろ、幸運だったかもしれない。同氏はオリンパス社長を解任された後、メディアや外国政府に対して情報提供するなど、捜査を後押し。訴訟問題に発展したことで不正が明らかにされ、真相が明るみに出た。稀有な告発だということもできそうだ。
一方、三菱自動車の排ガス不正についても似た関係がありそうだ。同社の不正についても、三菱自が受注していた軽自動車のOEM生産の発注元であった日産からの指摘がきっかけて発覚。奇しくも外からの目が不正を明るみに出した点は同じだ。
トヨタ自動車、タカタ、東芝などの社会問題化した事故や不正を振り返ると、もはや「大企業はしっかりしていて、不正とは無縁」とは主張できそうにもない。
■繰り返された三菱自の不正
しかも、三菱自動車の事情はより深刻だ。同社の不正が、今回のスキャンダルで三度目だからだ。
三菱自の排ガス不正を招いたユルい工学文化(写真=Thinkstock/Getty Images) ((ZUU online))© (ZUU online) 三菱自の排ガス不正を招いたユルい工学文化(写真=Thinkstock/Getty Images)
かつて同社は、2000年に発覚する大規模なリコール隠しを行っていた上に、2004年にもトラック・バス部門によるさらなるリコール隠しで批判の的になった。当時のことを覚えている人もまだまだ多いかもしれない。
同時に、三菱自の経営も大きくぐらつき、三菱自・三菱ふそうは信頼を失い販売台数が激減、当時筆頭株主だったダイムラー・クライスラーから資本提携を打ち切られるなど苦境に陥った。国土交通省の指導の下、社内改革に努めることになった。
他方で、その帰結はというと、三度目の不正問題を起こした三菱自が実施してきた「社内改革」は何だったのかという事態に陥った形だ。現時点では第三者委員会などを立ち上げて真相究明を進めている段階だが、今後の成り行き次第では、より大きな危機に発展する可能性も否定できない。
■自動車メーカー不正の温床はユルい工学文化
今回の三菱自動車の不正は、燃費に関連する「検査データの改ざん」である。国の指定基準を通すために、意図的に検査データを修正して合格とし、車を販売した。
燃費性能の検査データはカタログ値に反映されるもので、実際の燃費とは必ずしも一致しない。つまり利用者から見ると、気づきにくい。一般道を走る車は、カタログ通りの性能が出ないことは周知の事実だからだ。もしかするとそうした点への甘えが出ていたのかもしれない。
さらに言えば、今回の不正問題には大手企業ならではの隠蔽体質がほの見えてくる。加えて、その根底にある大きな原因のひとつとして、一部にみられる工学におけるモラルの失墜、つまりユルさにあるのではないかと指摘したい。
端的に書けば、大学の工学など理系分野の学部で、実験の一環としてデータを捏造して、報告書や論文を書く、といった行為に手を染める者もいるといわれている。
もちろんすべての工学部やその卒業生、教員が該当するわけではないものの、そうした不正行為に教育期間中になれてしまう技術者がいてもおかしくない。今回の三菱自動車の排ガス不正もそうした習慣が根底にあるとも想像できなくはない。
理系という共通点で言えば、STAP細胞で話題となったあの小保方晴子氏も、一連の騒動で早稲田時代の学位論文が再調査され、データミスや改ざんが数多く発見されたことで、結局は授与されていた博士の学位が取り消しになってしまった。
ともすれば、大学や大学院における理系分野のモラルハザードが一部に巣食っているようだ。しかしこうした状態が企業における不正問題、経営危機につながるのだとしたら、放置することはできない。不正を許さない技術分野での規律の徹底とそれに見合う環境の整備が求められているのではないだろうか。(ZUUonline編集部)
感想;
誰だって不正を働きたいと思う人はいないと思います。
不正を働くのは、必ずその背景があるのだと思います。
よく言われる背景は上層部からの強いプレッシャーです。
期限を設定された達成目標があります。
それを達成できないと、”能力がない”と判断され、担当者の評価が下がる、場合によっては左遷もあるでしょう。
それが強ければ強いほど、一時的と知りながらごまかしてしまうのだと思います。
また、ごまかすことができる仕組みだったことも問題です。
会社がごまかすことのできる仕組みを放置していたことになります。
確かに偽証した人が悪いことは誰も否定はしないと思いますが、それを行わせるような背景があったことも問題の一部だと認識しないと、いつかまた起きると思います。
小保方さんの件はこの問題とは別のように思います。
本人は偽証の認識はなく、科学に対する認識の甘さがあったように思います。
それに周りも気づかなかったのだと思うのですが。
1)偽証しなくてもよいような企業風土がある。
2)偽証をチェックする仕組みがあるので、偽証ができない。
この二つがないと繰り返すように思います。
独自動車メーカー大手・フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題が、昨年、世界的に大きな注目を集めた。わずか1年のちに、今度は、日本を代表する大手自動車メーカーの排ガス不正が明るみに出た。三菱自動車の排ガス検査の改ざん問題だ。
一方で、トヨタと世界一の生産台数を争ってきたフォルクスワーゲンと、日本では屈指の巨大企業グループである三菱の自動車メーカー。伝統も格式もある大手自動車メーカーによる立て続けの不正ということで、「いったい、どうなっているんだ」と嘆きたくなる人もいるかもしれない。
ただ、日本企業、とりわけ自動車産業に関わる企業のスキャンダルの社会問題化はほかにもある。例えば、トヨタ自動車の米国での「意図しない急加速」問題を巡る集団訴訟や、タカタのエアバック問題などだ。特に最近の大手日系企業による不正は、まさに目を覆いたくなるほどだ。
結局、トヨタは訴訟で和解に至ったものの、タカタはより深刻な課題に直面している。リコール台数や約1890万台にまで拡大し、リコール費用も、高く見積もった場合には、約4000億円に上るのではないかとみられている。同社の純資産をも超えるリコールを費用をどう負担するのか、ともすればタカタの存続の危機となる可能性すらある。
■「大きければ大丈夫」が最早通用しない日本企業の不正リスク
ただ、過去の日系企業の不正を振り返ると、そのリスクの根は深い。約10年にも及ぶ長期にわたって損失を隠し続けたオリンパス事件も、粉飾会計がまかり通っていた。しかも、自ら招聘した英国人経営者・ウッドフォード氏の勇気ある告発によって、ようやく露見した格好だ。
現在、すでに明らかになっているところでは、当時のオリンパスの経営陣には、オリンパス事件そのものを隠蔽しようとしたり、ウッドフォード氏を社長から解任しようとする動きさえあったという。
ただ、ウッドフォード氏の解任だけで事態が落ち着かなかったのはむしろ、幸運だったかもしれない。同氏はオリンパス社長を解任された後、メディアや外国政府に対して情報提供するなど、捜査を後押し。訴訟問題に発展したことで不正が明らかにされ、真相が明るみに出た。稀有な告発だということもできそうだ。
一方、三菱自動車の排ガス不正についても似た関係がありそうだ。同社の不正についても、三菱自が受注していた軽自動車のOEM生産の発注元であった日産からの指摘がきっかけて発覚。奇しくも外からの目が不正を明るみに出した点は同じだ。
トヨタ自動車、タカタ、東芝などの社会問題化した事故や不正を振り返ると、もはや「大企業はしっかりしていて、不正とは無縁」とは主張できそうにもない。
■繰り返された三菱自の不正
しかも、三菱自動車の事情はより深刻だ。同社の不正が、今回のスキャンダルで三度目だからだ。
三菱自の排ガス不正を招いたユルい工学文化(写真=Thinkstock/Getty Images) ((ZUU online))© (ZUU online) 三菱自の排ガス不正を招いたユルい工学文化(写真=Thinkstock/Getty Images)
かつて同社は、2000年に発覚する大規模なリコール隠しを行っていた上に、2004年にもトラック・バス部門によるさらなるリコール隠しで批判の的になった。当時のことを覚えている人もまだまだ多いかもしれない。
同時に、三菱自の経営も大きくぐらつき、三菱自・三菱ふそうは信頼を失い販売台数が激減、当時筆頭株主だったダイムラー・クライスラーから資本提携を打ち切られるなど苦境に陥った。国土交通省の指導の下、社内改革に努めることになった。
他方で、その帰結はというと、三度目の不正問題を起こした三菱自が実施してきた「社内改革」は何だったのかという事態に陥った形だ。現時点では第三者委員会などを立ち上げて真相究明を進めている段階だが、今後の成り行き次第では、より大きな危機に発展する可能性も否定できない。
■自動車メーカー不正の温床はユルい工学文化
今回の三菱自動車の不正は、燃費に関連する「検査データの改ざん」である。国の指定基準を通すために、意図的に検査データを修正して合格とし、車を販売した。
燃費性能の検査データはカタログ値に反映されるもので、実際の燃費とは必ずしも一致しない。つまり利用者から見ると、気づきにくい。一般道を走る車は、カタログ通りの性能が出ないことは周知の事実だからだ。もしかするとそうした点への甘えが出ていたのかもしれない。
さらに言えば、今回の不正問題には大手企業ならではの隠蔽体質がほの見えてくる。加えて、その根底にある大きな原因のひとつとして、一部にみられる工学におけるモラルの失墜、つまりユルさにあるのではないかと指摘したい。
端的に書けば、大学の工学など理系分野の学部で、実験の一環としてデータを捏造して、報告書や論文を書く、といった行為に手を染める者もいるといわれている。
もちろんすべての工学部やその卒業生、教員が該当するわけではないものの、そうした不正行為に教育期間中になれてしまう技術者がいてもおかしくない。今回の三菱自動車の排ガス不正もそうした習慣が根底にあるとも想像できなくはない。
理系という共通点で言えば、STAP細胞で話題となったあの小保方晴子氏も、一連の騒動で早稲田時代の学位論文が再調査され、データミスや改ざんが数多く発見されたことで、結局は授与されていた博士の学位が取り消しになってしまった。
ともすれば、大学や大学院における理系分野のモラルハザードが一部に巣食っているようだ。しかしこうした状態が企業における不正問題、経営危機につながるのだとしたら、放置することはできない。不正を許さない技術分野での規律の徹底とそれに見合う環境の整備が求められているのではないだろうか。(ZUUonline編集部)
感想;
誰だって不正を働きたいと思う人はいないと思います。
不正を働くのは、必ずその背景があるのだと思います。
よく言われる背景は上層部からの強いプレッシャーです。
期限を設定された達成目標があります。
それを達成できないと、”能力がない”と判断され、担当者の評価が下がる、場合によっては左遷もあるでしょう。
それが強ければ強いほど、一時的と知りながらごまかしてしまうのだと思います。
また、ごまかすことができる仕組みだったことも問題です。
会社がごまかすことのできる仕組みを放置していたことになります。
確かに偽証した人が悪いことは誰も否定はしないと思いますが、それを行わせるような背景があったことも問題の一部だと認識しないと、いつかまた起きると思います。
小保方さんの件はこの問題とは別のように思います。
本人は偽証の認識はなく、科学に対する認識の甘さがあったように思います。
それに周りも気づかなかったのだと思うのですが。
1)偽証しなくてもよいような企業風土がある。
2)偽証をチェックする仕組みがあるので、偽証ができない。
この二つがないと繰り返すように思います。