https://news.yahoo.co.jp/articles/bb538107667c8107686a568ce6bcc57bfad379db 1/28(木) 16:12 ニューズウィーク日本版
<食品ロスが社会問題になる一方で飢餓が広がるのは、それだけ格差が大きくなっているため>
日本では食品ロスと飢餓の問題が同時に起きている
新型コロナウイルスの影響で、日本社会は大変な状況が続いているが、昨年は天候が良く、農作物の育ちが良い豊作だったそうだ。しかし外食産業の落ち込みで需要が減っているので、供給過剰で値崩れが起き、農家は頭を抱えている。いわゆる豊作貧乏だ。
【グラフ】日本で急上昇する飢餓経験率
余剰の農作物は廃棄されるという。コロナ禍で1日1食という人もいるのだから、困っている人、お腹を空かせている人に届けることはできないものだろうか。食べられる物を捨てる、いわゆる食品ロスが社会問題化して久しいが、今の日本では対極の問題(飢餓)も起きている。
飽食の国・ニッポンで飢餓なんてあるはずないと思われるだろうが、統計で見ても「食糧の不足」という原因で死ぬ人は毎年いるし、死までいかなくても十分な食べ物がない状態で過ごしている人となると、裾野はかなり広がる。
それはデータで示せる。2017~20年にかけて各国の研究者が共同で実施した『第7回・世界価値観調査』では、「この1年間で、十分な食料がない状態で過ごしたことがあるか」と尋ねている。18歳以上の国民のうち、「しばしばあった」「時々あった」と答えた人のパーセンテージを出し、49の国を高い順に並べると以下のようになる。
<表1>
飢餓経験率の国際比較だ。予想通りというか、発展途上国では数値が高くなっている。アフリカのナイジェリアやジンバブエでは、程度の差はあれ、半数近くの国民が飢えを経験している。最近、日本人がよく出向くようになっているタイやフィリピンは3割弱で、大国のアメリカは12.5%だ。
日本は9.2%で、国民の1割弱が飢餓を経験している。世界全体では低い部類だが、お隣の韓国や中国、ヨーロッパのドイツと比べると格段に高い。英仏や北欧のデータはないが、先進国の中では飢餓率が高いとみていい。
<アメリカに迫る日本の飢餓経験率>
飢餓経験については、2010~14年実施の『第6回・世界価値観調査』でも尋ねている。この時点の数値と比較すると、日本の問題状況が露わになる。以下の図は、日本、韓国、中国、アメリカ、ドイツという主要国の時系列変化だ。
<図1>
韓国、中国、ドイツでは飢餓率が下がっており、アメリカは微増というところだが、
日本は増加幅が大きくなっている。5.1%から9.2%に伸び、日本では最近になって飢餓がじわじわと広がり、アメリカに迫る勢いになっている。
日本の飢餓経験率を年齢層別に見ると、若年層と高齢層で伸びが大きい。20代は7.1%から11.5%、70歳以上は5.2%から14.2%へと上がっている。20代で増えているのは、大学進学率の高まりにより単身学生が増えていること、若者の非正規化・賃金低下、またソロ化(未婚化)という事情が考えられる。高齢層は年金削減に加え、身寄りのない単身老人が増えていることなどが大きいだろう。
50代でも4.3%から8.3%に増えている。厚労省の『人口動態統計』によると、「食糧の不足」という原因での死者(餓死者)は50代で最も多い。人件費が高いという理由でリストラされても、年齢が再就職の壁になり、生活保護を受けようにも「まだ働けるはず」と申請が通るのは難しい。いろいろ苦難が降りかかるステージだ。飽食の国といわれる日本だが、目を凝らしてみると、ご飯にありつけない飢餓が広がっていることが分かる。
<日本で拡大する格差>
日本では、国民1人が茶碗1杯分の食べ物を毎日捨て、余剰の農作物はバンバン廃棄される。狭い島国の中で、こうした食品ロスと飢餓が同時並行で起きるのは不可思議だ。それだけ富の偏り(格差)が大きくなっている、ということだろう。
求められるのは需要と供給をしっかりと結びつけること、すなわち飢える人に対し有り余る食物を届けることだ。近年ではフードバンクの取り組みが盛んだが、区市町村に1つは官製のフードバンクを設けることを義務付けてはどうか。余剰の食べ物を備蓄し、困った人が利用できるようにするためだ。
あと一つは、困ったら助けをためらうことなく求められるようにする「SOSの出し方教育」の充実だ。近年、子どもの自殺防止策として、こうした「SOSの出し方教育」が重視されている(2018年、文科省通知)。「恥の文化」がある日本人は、困った時でも他人に助けを求めるのが苦手だ。福祉にしても「使う」ではなく「頼る」という言い回しがよくされるが、正確なのは前者だ。福祉は「頼る」ものではなく、困った時にはいつでも気軽に「使う」ものに他ならない。厚労省も本気になってきて「生活保護を積極的に利用してほしい」と呼び掛けているが、SOSを発するメンタルを子ども期から育むことが大切だ。
食品ロスと餓死、空き家と住居難民......。こうした奇妙な組み合わせが同居するというのは、社会の資源が適正に分配されてないためだ。資源を供給すること、その使用を遠慮なく申し出ること――。地に足がついた形でそれを後押しするのは国の役割だ。
<資料:『世界価値観調査』>
舞田敏彦(教育社会学者)
感想;
日本は貧国国になっています。
そして飢餓の人も増えています。
曽野綾子さんが「日本で食べられない人がいないでしょう」とアフリカの飢餓の人々と比較して、「だから日本は貧困ではないのよ」と発言されたことがありました。
貧困国は世帯収入は半分以下の人々の率がOECDで下位です。
さらにその「食べられない人がいないのよ」までもが崩れています。
4月に小中校が一斉休校になり、給食で栄養補給していた子供たちの問題が挙げられました。
全く意味のない、逆に問題を多くした一斉休校でした。
菅首相は「最後は生活保護がある」と発言されました。
生活保護になるまでに救う手立てはないのでしょうか?
また生活保護受給はハードルが高いのが現状です。
政治が腐ると国民は困窮します。
ご自分は5万円の高級ステーキクラスの会食を毎晩。
そして朝は2万円のホテルで会食。
それを今自粛されてそのためストレスが溜まっていると読売新聞の記事。
声をあげないともっともっとひどくなっていきます。