・カウンセラーは心の専門家であるから、さぞかし家庭や職場での人関係はうまくいっているように思うだろうが、実際は人と変わらないストレスをかかえて生きている。
・カウンセリングの援助とは、問題解決の現実的な対応策を教えることによって悩みを解決しようとするものではない。それは具体的な問題解決とは異なる次元、つまり「心の次元」で行われ、その結果は、必ずしもクライエントの当初の望みが叶えられるとは限らない。
・カウンセリングとは自分の悩みの源を知り、悩みを整理・自覚していく、ただそれだけの作業である。
・カウンセリングの理論は、悩み苦しむのはクライエントが自分の欲求を十分に自覚していなかったり、それを隠したり、誤解しているからだと考える。
・カウンセリングはこういった心の状況を正確に「知る」過程を援助する。そのための技術である。
・カウンセリングとは、①受容⇒②気づき⇒③自立
①カウンセラーとの心の交流によってクライエントの「やすらぎ」を得て、
②その結果、より自分らしい欲求に気づき、自分に対する古い「思い込み」が解けて、
③以前よりも自信を持って毎日の生活を楽しめるようになる。そのための援助である。
・怒りはカウンセリング技術の未熟さに由来する。
・クライエントがカウンセラーに持つ特別な感情を「感情転移」、逆にカウンセラーがクライエントに対して持つものを「対向感情転移」と呼ぶ。
・十分な受容ができるためには、カウンセラーは自分の欲求や不満に敏感で、自覚的でなくてはならない。
・うまく受容できているかをチェックする
①助言をしていないか
②支持、繰り返し、明確化だけを行っているか
③評価・解釈・診断・操作・是認的態度を避ける
・「解釈」とは、さまざまの物語や感情が無秩序に語られ始めたときに、それらがまとめられて、ある「思い込み」に行き着くであろうと、予測させてくれるものである。
・「解釈」と持つことが、カウンセラーを安定させ、静かに見ていることを可能にするか。それは、「解釈」がその先の希望を見せてくれるからである。
・深い心の緊張がとれると私たちは無駄な不安や心配事から解放されて、自然と「腹が据わって」くるのである。
・自分が何を望んでいるかを正確に知っていれば、思い込みは生まれない。
・カウンセラーはクライエントの死、自分の死とを考えなければならない場合がある。死を前にしてカウンセラーとクライエントの関係は全くの平等になる。孤独や死にたいする共通の恐怖や、それを乗り越える知恵がここにはあるかもしれない。生きている人間が、まったく経験の及ばない死を考えて底知れぬ不安に直面するという、心の最大の矛盾を解決するには、多分、このもっとも奥底まで降りていく必要があるのだろう。
カウンセリングは、気づきの作業を通じて思い込みを解除し、脳全体の情報伝達をスムーズにする高度な技術である。その過程で『超自我』という自動処理機構の内容が再検討され、書き換えられる。また、外部世界を映し出す鏡の歪みも修正され、誤解されて要求が正される。その結果、外界と欲求と自我、そしてまだ知らない脳のさまざまな部分に、より調和した連携がもたらされる。
こういった非常に精妙な調整は、手術や薬によっては不可能で、言葉さえも不十分である。脳機能の調整は、心が心に向かい合うことによってのみ、可能となる。
脳が調整されると、情報がよく流れる。すつろ、ものがよく見えてくる。
その過程は、心の表層(第一層)から深層(第二層)へ、されに純粋(第三層)へと視界が開けてくることである。昨日まであたふたしていた表層の自分であったが、今日はより深いところで昨日までの自分の全体を見渡している。悩んでいたのは、ものが見えなかったからだ。見通しがつけば、悩みは消える。
気づきとは、情報が流れて、ものがよく見えてくることである。
カウンセリングは脳機能を調整する技術である。
・(カウンセラーが)クライエントに対してリードを保っていられるのは
①『普通の成人の心』を持っているということと、
②カウンセラーが『ある問題』をかかえている当事者ではないという二つの理由だけである。
この二つの条件をはずれたときには、カウンセリングは成り立たなくなる。
・私が出会った何人かのクライエントが私に教えてくれたことがある。
「この病気になってよかったですよ。病気っていうのは、不幸な事故や偶然の出来事じゃないんです。私にはとても大切なメッセージだったのです」
・心の治癒を経験した彼らは、病気になった意味をくみ取り、そこから大切なメッセージを受け取る。メッセージの内容はもちろん、人によって違う。それは、病衣という難問に隠されているのだ。それを解くことがその人の人生に与えられた課題なのだ。そして、メッセージを解読したときには、彼らの人生は変わり、10年、20年の意味が分かるのである。過ぎ去った過去には戻らないが、それ以上の価値を手に入れると、時間はそのためにどうしても必要であったと分かる。時間はその時、戻るのだ。
・彼女が見つけた一番の価値は、自分の心に正直であることによって、心を広げることだ。自分の心に湧いてくるあらゆる感情を圧し殺したり、無視したりしないで、そのまま感じることである。曲がった感情も、美しい感情も自分のものとして静かに眺めること。すると、心が大きく広がり、彼女は今まで感じなかったものを感じられるようになった。
・人と人との触れ合いがこの人生の価値を左右していう。自分の心に向かい合って、日常生活を見直すカウンセリング技術は単に病気を治す技術としてではなく、自分を理解して、この人生の価値を考える技術としてもっと利用されてもいいのではないか、本をまとめてみてそう思うようになった。
・後輩の医師や臨床心理士、看護婦や保健婦などにカウンセリングを教える機会があるが、その時にまず伝えているのは、カウンセリングは「治療」ではなくて「出会い」なのだ、ということである。もちろん、彼らは専門職として責任をもって「治療として」カウンセリングを行っているのであるが、そこで行われている心と心の交流は、単なる治療ではない。
この出会いには二つの意味がある。
①クライアントとの出会い(多分一生に一度の)
②カウンセラー自身との出会いである。
後者はクライアントの心に接することによってカウンセラー自身が知らなかった心の側面を見つけるということ、自分をより深く知るということでもある。
言い換えれば、クライアントと出会って、カウンセラー自身も成長するということである。専門職としてカウンセリングの責任をもつということ、しかし、それが自分自身の成長の過程でもあるという二つの認識(二重性)が、カウンセラーには必要だと思う。それが専門家としての責任と、謙虚さになり、カウンセリングを深めていく。私はそれがカウンセリングの本質だと思っている。
この謙虚さの部分をきちんとみつめることができると、カウンセリングは治療室内の限定した交流だけではなくなって、日常生活での人と人との出逢いの技術に広がっていく。
感想;
人間関係の難しさ。パワハラ、セクハラ、モラハラなど会社でも虐めがあります。
また会社の指示で不正なことをしてしまうことがあります。ビッグモーターの街路樹に除草剤を撒いたのは上から言われた社員でしょう。手を汚すのは下で、上は言うだけです。そして「そんなことはいっていない」と言うのです。
また病気、災害など苦難があります。
そういった時、気持ちをどう維持して前を向いて歩くか、とても難しいです。
自分の心なのに、Out of Control状態です。
カウンセリングの知識や技術はままならぬ自分の心をコントロールすることに大きな手助けをしてくれように思います。
そのためには知ることなのでしょう。
胃を切除した人の集まりの場があります。それをαクラブと言います。
胃を切除することは日常生活に支障を来します。個人差はありますが。
私は、下痢と便秘を繰り返し、そして痔。
ヨーグルトを摂ることでコントロールできるようになりました。
また食事の内容、時間も気をつけるようになりました。
つまり胃がんになって胃を切除したことはマイナスだけど、それから食事や睡眠に注意することで、胃がんにならなかったとして生きた人生より、プラスα長生きしようとの考えです。
心身の病気での苦難でいろいろ大変だけど、その苦難を体験したことでもっと大きな価値を見出せるように生きようとの考えです。
「うつのトンネルには必ず出口がある」──『うつヌケ』著者・田中圭一インタビューhttps://www.gqjapan.jp/life/grooming-health/20190522/utsu-nuke-interview-1
現在は京都精華大学 マンガ学部 マンガ学科新世代マンガコースで専任准教授を務めながら、株式会社BookLiveにも勤務している。
売れない漫画家がうつ病で苦しんだがそのことを漫画にして30数万部のヒット作を出しました。
そして大学で先生もされています。
うつ病で苦しみぬいたことを生かされたのだと思います。