・河合さんと差し向かいで話をしていて僕がいつも感心するのは、彼が決して自分の考えで相手を動かそうとしないところである。相手の思考の自発的な動きを邪魔するまいと、細心の注意を払う。むしろ相手の動きに合わせて、自分の位置を少しずつシフトさせていく。
・なぜ小説を書きはじめたかというと、なぜだかぼくもよくわからないのですが、ある日突然書きたくなったのです。いま思えば、それはやはりある種の自己治療のステップだったのだと思うのです。
・結局、癒されるのと癒すのとはもう相身互いですからね。まさに相手によります。お互いの関係が深くなればなるほど、場合によっては危険もあるんです。
・河合先生が落ち込んだりするんだろうか……。
よく落ち込んでいますよ。落ち込むから、一方でバカばなしをするのです。
・ぼくは夢というのもぜんぜん見ないのですが……。(村上)
それは小説を書いておられるからです。(河合)
・ぼくも、ただひとつだけ見る夢があるのです。空中浮遊の夢を見るんですが、地面からちょっとだけ浮いているのです。・・・
空中浮遊というのは、要するに、物語づくりですからね。バーッと一挙に高いところまで昇る夢を見るのは子どもですよ、大人はまずありません。
・いま必死になって、”蟷螂の斧”というか、それで大きい相手と闘っているとも言えます。(河合)
・ぼくがノモハンについて読んでいていちばん感じたのは、軍隊組織というのは、ほんとうはシステマティックでなくてはならないはずなのに、実はカオスのシステムになっている。そこに恐怖を感じたのです。
感想;
ノモハン事件;
・関東軍が中央と対応の観念を持ち、中央からの連絡を無視したことも満州事変以来の悪習であり、断固改革しなければならない、統師の要は人にあり、関東軍をコントロールするには適正な人事が必要で、首脳部の更迭は実行すべきである。
・まったく勝ち目のないような戦況になっても、日本軍のみが持つとされた精神力と統師指揮能力の優越といった無形的戦力によって勝利を得るという、いわば神憑り的な指導で終わることが常であった。
・ノモハン事件を起こした責任者を処罰しなかった。一時的に左遷させたがすぐに復帰して、その責任者がその後の大きな戦いに同じ間違いを犯してしまった。
物語を書きたいと突然湧いてきた気持ちを大切にされたのでしょう。
それまでバーを大学卒業後にやられていました。それを止め、収入が途絶えてもやりたいことに取り組まれたようです。
村上春樹さんは、小説を書く時、全体のストーリーを考えずに書きはじめて、ご自分でも先が分からないそうです。
だから逆に読者を惹きつけているのかもしれません。