・チーミングは、協同するという「活動」を表す造語であり、組織が相互に絡み合った仕事を遂行するための、より柔軟な新しい方法をしめしている。チームに対する従来の考え方とは違い、チーミングは静的な集まりではなく、活動的なプロセスなのだ。
・集団的学習を経験しているときの個人の学習行動には次のようなものがある。
①質問する
②情報を共有する
③支援を求める
④証明されていない行動を試みる
⑤失敗について話す
⑥意見を求める
・成功しているチーミングは次の4つの特別な行動を伴っている
①率直に意見を言う
②協働する
③試みる
④省察する
・ジャズ・アット・リンカーン・センターの芸術監督を務めるウィントン・マルサリスは、ほかのジャズ・ミュージシャンたちとの仕事についてこう述べている。
「いつだって緊張感が高まってくる。緊張感をコントロールするのは仕事のうちだ。もし緊張感がなかったら、仕事に真剣じゃないってことだね」
・次の4つの戦略は、対立を緩和し、チーミングの成功に欠かせない協調的な取り組みがしっかりできるようにするものである。
①対立の性質を見きわめる
②優れたコミュニケーションを具現化する
③共通の目標を明らかにする
④難しい会話から逃げずに取り組む
・私は研究から学んだことをポジティブなものもネガティブなものも両方を、4つのリーダーシップ行動としてまとめた。
①学習するための骨組みをつくる
②心理的に安全な場をつくる
③失敗から学ぶ
④職業的、文化的な境界をつなぐ
・職場環境における対人リスク
①無知だと思われる不安
②無能だと思われる不安
③ネガティブだと思われる不安
④邪魔をする人だと思われる不安
・職場での心理的安全性によって7つの明確メリットがもたらされることが明らかになっている。
①率直に話すことが奨励される
②考えが明晰になる
③意義ある対立が後押しされる
④失敗が緩和される
⑤イノベーションが促される
⑥成功という目標を追求する上での障害が取り除かれる
⑦責任が向上する
・心理的安全と責任(4つの組織的元型)
高い
心理的安全性 快適 学習
低い 無関心 不安
低い 責任 高い
・心理的安全を高めるためのリーダーシップ行動
・直接話のできる、親しみやすい人になる
・現在持っている知識の限界を認める
・自分もよく間違うことを積極的に示す
・参加を促す
・失敗は学習する機会であることを強調する
・具体的な言葉を使う
・境界を設ける
・境界を超えたことについてメンバーに責任を負わせる
・失敗から学ぶのが難しい理由
・自尊心とポジティブな錯覚
・失敗は話題にするのが難しい
・組織は失敗に対して罰を与える
・責任のなすり合い
・失敗は次の3つのタイプに大別される。
①防ぐことの失敗 十分に理解された領域でのプロセルからの逸脱
②複雑な失敗 プロセスまたはシステムの故障
③知的な失敗 失敗に終わった試み
・失敗から学ぶための戦略
①失敗に気づく
②失敗を分析する
③失敗を進展させる
・複雑な組織でのチーミングに突きつけられる、よくある3つの境界を次に示す。
①物理的な距離・・・分離による相違には、異なるタイムゾーンや通りを少し先に行ったところにある建物など、場所に関する違いが含まれる。
②地位・・・格差による相違は、特定の属性が持つ社会的価値に従って、人々を順位付けする。人々は仕事をやり遂げるために集まるわけだが、チーミングの際には間にある地位の違いにしばしば直面する。
③知識・・・多様性による相違は、経験や知識、専門知識、教育の違いを述べている。チーミングを行うときにこのカテゴリーで直面する主な境界は、組織の一員であることや専門技術に基づく知識の違いである。
・境界をつなぐには、あらゆる種類のグループ内やグループ間に存在する障壁を超えて通じ合おうとする意図的な試みが必要になる。技術の急速な発展やグローバル化の重視により、今日の職場環境においては境界をつなぐ重要性が非常に高まってきている。
・学習しながら実行することの土台
学習しながら実行する
・診断する
・デザインする
・行動する
・査察する
学習するための組織づくり
・境界を超えては通じ合う
・失敗から学ぶ
・心理的安全性を生み出す
・学習するための骨組みをつくる
チーミング
率直に意見を言う 試みる 協働する 省察する
・医療ミスに関して、これまで医療界は長く苦しい道のりを歩んできた。しばしば「医学のABC」-咎める(Accuse)、悲観する(Blame)、批判する(Criticize)-と呼ばれる文化は、事故の原因について、システムのどこに異常があったのかを詳しく分析するより、個人の能力不足に焦点を当てることが多かった。
しかし残念ながら、このアプローチは厳しい監視の目が光っているときでさえ、間違いのない医療を生むこともなければ医療みすを減らす方法を示すこともなかった。ABCの考え方は、起きてしまったミスの原因をごまかしなく正しく調査することにつながらず、むしろ避難すべき個人を探してしまう。
私に言わせれば、ABCの考え方が最も得意とするのはミスの報告を封じてしまうことだ。
・最も成功するリーダーはおそらく、ほかの人たちの才能を伸ばせる人だ。また、最高の形で活かされれば、チーミングは人々の能力を明らかにして高めることができる。
感想;
これまで言われなかったような組織論のように感じました。
上記の本と合わせて読むと理解が進むように思いました。
人を育てるリーダー、人を育てながら仕事をするリーダーが実績を上げるように思いました。