・ずっと、ずっと重くのしかかっている、なぜ自分には恋人がいないのか。恋愛をしたい。セックスをしたい。恋人が欲しい。何気ない会話を女性としてみたい。それができない自分は、どこかに欠陥があるんじゃないか。人間として十分な基準を満たしていないんじゃないか。街を歩くカップルの姿が、マッチングアプリの広告がはるか遠くにある。それどころか、ここにたどりつけないお前は劣っているのだと、突き付ける脅しにさえ見える。焦りだけが募っている。もう、恋人をつくることでしか、自分の価値は証明できないのではないかと思う。
・この本は「非モテ男性はなぜモテないのか」の原因を解明するものではないし、またこの本を読めばモテるようになるということもない。「モテにこだわっているから苦しんだ」などと啓蒙するわけでもないし、また読めば煩悩がなくなるということもおそらくない。ではなくて、一部の男性が「非モテ」という苦悩を抱くまでの過程や、苦悩の内実を描く内容になっている。
・非モテ研というクローズなグループで語り合いを行うと、一人のメンバーが語った苦悩や気づきに対して、「わかるなあ」という共感が他のメンバーから寄せらることある。
その気づきは二つの効果をもたらす。
①「非モテ」男性たちの間に緩やかなつながりを生み出す点である。規範からずれているがゆえに、「自分がおかしい」とこれまで押し殺してきた個別の経験。それが仲間と共有されることによって、本人に「自分だけではない」という安心感がもたらされる。さらにその安心感が、自身の経験を整理し、順序立てることを可能にしていくのである。
②「非モテ」男性が抱く苦悩を、個人の問題としてだけでなく、社会の問題として論じることが可能になる点である。
・非モテ研のメンバーの多くが抱えているのが「自分は一人前の人間ではないのではないか」という感覚である。
・からかいは男性同士の間だけ起こっているわけではないが、男性内の序列関係を背景として仕掛けられていると言えるだろう。
・その結果、「非モテ」男性は自分のアイデンティティを自分で決める権利を奪われているのである。
・実際にはその集団から離れるという術も残されているのだが、そこにしか自分が存在証明されれる世界がないと思い込んでいる。/思い込まされているために、必死に中心メンバーとの関係性に縋りつき、男性同士のからかいや会話形式や「男らしさ」をめぐる競争の文化を無自覚に維持していく。こうして抜けることのできない自己否定の沼にはまっていく・・・。
・田中俊之『男がつらいよ-絶望の時代の希望の男性学』は「男性の生きづらさ」への対処として、まずは落ち着いて理想の男性像と自分を比較するのをやめるべきだと男性たちに提案する。
・サークル活動、受験勉強、ボランティア。時に新たに打ち込むものを見つけることで、「非モテ」男性の苦悩が和らぐことがある。
・「非モテ」男性が生きてきた世界は非常に狭いと言わざるを得ない。そこは権威を持つ男性が他の男性をからかい、誰しもがいつ排除されるか不安を抱え、また排除されないよう「達成」を目指し続ける世界である。所属する男性たちはお互いにまなざしを向け合いながら、「標準的な男性像」から逸脱した部分を粗さがしするようなコミュニティの力学によって強いられている。それでも男性たちはその世界に所属し続ける。なぜなら、からかい合いの波の中にしか男性同士をつなぐ親密性は生じないと思っているからである。男性たちには「その世界しかない」のである。
・ボランティアを始めたり、学校の外に目を向けたりすることで偶然たどり着いた新しいコミュニティで、これまでとは違う他者との関わり方に遭遇する。カタリヤ活動が否定されずに受け入れられ、そのカタリヤ活動そのものによってつながること。この関係性がもとになったコミュニティの中で、「非モテ」男性の苦悩は徐々に和らいでいく。
・みなさん、なんで非モテ研に来てるのかってあります?
・やっぱり面白いってのはありますね。自分と同じところが見えて、それを笑い会えるのがいいですね。
・笑い合えるのいいですよね。失敗が再解釈されて、消化されていくような気がする。・・・僕ら苦しんでたことがあって、これを楽しむ術をみつけたんじゃないですか。
・非モテ研は、いわばできるだけ「非モテ」をこじらせないためのグループと言えるだろう。
感想;
非モテ男性は、男性どうしで集まるのかとの疑問があります。
コミュニケーション苦手だと、女性だけでなく男性とのコミュニケーションも苦手な場合があります。
また、独りが好きな場合もあります。
この本のように、集まって話をすることもよいのでしょう。
何よりも良いのは、眼差しを外に向けて活動することが良いようです。
非モテは女性にとってメリットの弱い男性と言えるかもしれません。
お金があれば、そしてそれを女性のために使っていると非モテではなく、モテになると思います。
あるいは、何か秀でた才能を持っているのも大きなモテになるかと思います。
女性を楽しい気持ちに出来るかどうかも大きいでしょうね。